記憶に残る「3か月分」キャンペーン
GW最終日、お疲れ様です。
私が宝石サロンに勤務していた20代の頃、祭日や日曜日は忙しいので休めませんでした。
何しろ90年代頭まで、休日の宝石サロンは婚約指輪を買いにくるカップルが並んでいたからです。
『ダイヤモンド婚約指輪は給料の3か月分』
このスローガンのおかげで、ダイヤモンドの婚約指輪を買うカップルは6%から60%に伸びました。
何十年も経ったいまも、人々の記憶に残っている『3か月分』という予算の目安。実はこれデビアス社のマーケティング戦略でした。
今日は私の仕事がらみのお話です
『ダイヤモンドは永遠に』
これは、1947年にデビアス社が打ち出した販促スローガンで、マーケティングの成功例として語り継がれています。
このキャンペーンはアメリカで低迷していたダイヤモンド市場を復活させました。
1971年ジェームス・ボンドの「007/ダイヤモンドは永遠に」という同名映画にもなり、デビアス社が関与しています。
『ダイヤモンドは永遠に』というスローガンには隠されたメッセージがあります。
「買ったダイヤモンドは永遠に手放さないでね♡」
残念ながら時代は変わり、第二市場はすごい勢いで伸びています。
余談ですが、いまビックサイトで開催される業界卸の展示会では、第二市場のブースが年々広くなり賑わっています。複雑な気分…
デビアス社のマーケティング
デビアス社がすごいのは、莫大な費用をかけて世界中でキャンペーンを行い、ダイヤモンドの価値をつくりあげたことです。
デビアス社はダイヤモンド産業の世界を長年支配してきた企業です。(工業用を除く世界中のダイヤモンドの供給量と流通量をほぼコントロールしていました)
日本に上陸したのは1965年。
あらゆるマスコミ・媒体で甘いキャッチ・コピー、幸せそうな女性やカップル、メッセージを発信し、日本はこの頃世界第2位の市場となりました。
デビアスのキャンペーンの成果は婚約指輪の取得率を大きく変えています。80年代の取得率は、ほぼピークの75%強まで拡大しました。
デビアス社が行った活動はジュエリーコーディネーター検定2級のテキストにもマーケティング手法として紹介してあります。
日本の市場調査の結果、戦後のベビー・ブーマーが結婚適齢期を迎える、つまり成長市場と捉え、ここをターゲットにしてダイヤモンドのプロモーションをおこなうことにしました。
そこで注目したのは「結納」です。結納金の代わりにダイヤモンドの指輪を婚約の証として贈る習慣を根付かせようとしたのです。
結果、大成功。
宝石サロンでは婚約指輪を納品するときの決まりがありました。桐箱に入れて水引をかけて、包装するときは折り目をつけずにふわっと包む。練習したなぁ…
でも今の時代、マーケティングそんなに単純じゃないですよね
マーケティングの成功例としてJCのテキストにも書かれていますが、時代の後押しもあります。
接客販売のやり方でも経済が右肩上がりに伸びていた時代の成功例は、今そのまま使えません。
変わり続けないと、ですね。
買う理由をつくってくれたキャッチ・コピー
いまも私の記憶に残っているキャッチ・コピーが2つあります。
『私だって頑張ったんだもん、スイートテン・ダイヤモンド』
これは結婚10周年を迎えた奥様たちにダイヤモンドを買う理由を与えてくれたのです。
もちろんメーカーもダイヤモンドが10石入ったデザインのリングやペンダントを準備して売上を伸ばしました。
『トリロジー。過去、現在、未来』
3石のダイヤモンドが3つ縦に下がったペンダントが売れたのを覚えています。「これが過去、真ん中は今で、このダイヤモンドがお客様の未来です」とか言って販売していました。
実は、こういうキャンペーンにばかり頼っていると、販売力は伸びません。
私の業界はキャンペーンや企画、催事に頼りすぎかも。
最後に
デビアスのせいで買わされたのか、
デビアスのおかげで女性たちはダイヤモンドを手にすることができたのか、どっちもありです。
昔は嫁にプレゼントをする男性は少なかったと思います。(違います?)
そう考えると、まだお金を出し惜しみしない結婚前にダイヤモンドのような高価なジュエリーを買ってあげる習慣はいい♡と私は思っています。
「婚約指輪はブランドがいい~」
という彼女を選んだ方は頑張ってください♪
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