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【オーディブル】「え!?」はなんと言う?/『黄色い家』川上 未映子・著

えはえだろ。
おわり。

コトの発端はオーディブルで小説を聴いて

いつものながら聴きで、墨字で確認していないので実際はなんと書いてあるのか確認していない。

主人公の花が驚いた時などにたびたび発する「え⁈」が、私の耳には「うぉえ⁈」に聞こえるのだ。
「え⁈」はもしかしたら「うぉえ⁈」と発音するのか?私が知らないだけで…
と思った。
初めて学校で五十音を習った時に「を」は「うお」と発音すると教わった気がする。
でも周囲はそんなふうに言わなかったし、テレビニュースのアナウンサーも「お」と言うので、いや、意識していたわけではないが改めて考えるとそうなので、知らず知らずに「を」は「お」になった。

この朗読において、この読み手のクセなのか私の耳がおかしいのか「え⁈」は毎回「うぉえ⁈」に聞こえる。
はて?と、この年までそう言うのを知らずにいただけなのか、と思った次第。

その後注意して他の朗読を聞くと、まれに単純な「え⁈」とは違って聞こえることがある。
この疑問について、なにかご存知の方がいらしたら教えてください。

『黄色い家』はこれまで出会ったことがないタイプの小説だった。
17歳の花は劣悪とも言える家庭環境から抜け出し、母親の知人である風変わりな女性と同居しスナックを始める。
火事で失った店を再開するために悪事に手を染め大金を手にするが呆気なく失う。
不思議な女性とも仲間たちとも別れた二十年後、かの不思議な女性が逮捕されたと言うニュースを目にしたところから物語は回想のスタイルで進行する。

このあらすじから、花について想像する人物像は全て裏切られるだろう。
不良でもないし水商売をしても男性に身を任せることもない。
それどころか、真面目にコツコツ働いてお金を貯める。
悪事に手を染めたのも、中卒の家出少女が他にお金を貯める術がないからだ。
お金が欲しいのは贅沢をしたいのではない。
不思議な女性や仲間たちと働く店と住む家を確保したいからで、私利私欲は皆無なのだ。

そう言う純真な優しい人物がやがて世間的な幸福を手に入れて良き伴侶に巡り合って成功する話でもない。
それなりの人生のままなのである。

にも関わらず、読後感もとい、聴いた後はなんだか清々しい、
わからない、私には縁のなさそうな人たちの縁のない人生だから安心して楽しんでいるだけなのかもしれない。
社会に何かを突きつけるようなことは書いてない。
近頃クローズアップされてる、母と娘の関係性や家庭をテーマにも書ける題材に思う。
けれどそんなことは一粒も書いてない。
ドロップアウトした人々を救済しなければ!なんて問題提起もしていない。

ただそこにいる人たちのそこにあるそのままを綴ったように思えるが、フィクションなのだ。

私はこの物語を聴いて好きだと思ったのは、花が縁起担ぎに黄色いグッズを集め、部屋に黄色コーナーを作るところだ。
花はそこをいつもきれいに片付け埃をはらう。
なんてささやかな幸せだろう。

不思議な女性、黄美子さんはいつでも拭き掃除だけ丁寧にしている。
他のことはほとんどできないのだ。
私は最近、棚の上をよく拭くようになった。
黄美子さんを見習ったわけじゃない。
うまく説明できないけれど、花が黄美子さんを思う気持ちは忘れたくない、とても大切なことだと思うのだ。


※ミモザの画像はmitsuki soraさんよりお借りしています。
ありがとうございます♪




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