マガジンのカバー画像

[SS]光の天使、僕の居場所

25
僕は自宅に一人でいると私の表情を思い出す、僕の居場所である。家に居て仕事もせず結婚もしない、何かに取り組んでいる様子もない。少し普通の人と違う気がした、生活支援が必要な人だ。僕も… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

母の口癖がこんな所に嫁に来るんじゃなかったと言い、父がお金をくれず苦労した話しを私の前で延々した。祖母に働け、料理を作れと虐められた事を母の人生を振り返る様に語る。母は仕事をするのが苦手で、何もせずに自宅で暮らしたかった。私も他人の輪の中に入るのが苦手な事は母に良く似ていますね。

私もアラフォーで生きていくのに、命を落とす様な不安を抱えては居なかったけど、私が感じる地域の課題は決して他人事ではなかったし、このまま放っておけば必ず私に火の粉がかかってくるものだと信じていた。しかし姉からは口止めされていたので、私の頭の中には亡くなった母の事が思い出されていた。

私も部落の課題だと分かっていたが、自分でも対応出来ずに、姉からは想った余計な事を口に出すんじゃないよと釘を刺された。空いた時間に生活の中で不安に感じている事をメモ帳に記入してみると、秋に収穫する芋の苗を植えたのだけれど、無事に育つか悩ましかった。喉元過ぎれば、熱さを忘れていった。

私は犬の散歩中、火災で亡くなった男性の家の脇を通ると自宅が炎に包まれる瞬間を見た事を思い出した。男性は難聴の障害者で一人で生活するには困難があった。20年前商店夫婦が生活苦で自殺した時に、地域課題へ対応しないといけないのに今回も十分に対処出来ない。私は犬のリードを強く握りしめた。

近所では不幸な事件が続き、皆んな自分の生活を守るだけで精一杯である。悪く言えば他人に無関心で自分の事を自分でどうにかするしかなかった。時代に乗り遅れた者が福祉の目も向けられずに、生きていく事が困難になった地域で、私も将来の事を考えれば不安だったけど、生きる方法を模索し始めていた。

私の住んでいる地域では若者は、学校を卒業すると地元を離れる人が多かった。姉と同世代の人も余り居なかったし、年老いた住民が生活できなくなり事件を起こすケースもあった。私は家に残る選択をしたけど、働いたり結婚をしなかったので、不思議がられた。先日も近所の男性が火災を起こし亡くなった。

布団に入る少し前に、線香に火をつけて、香りを楽しみます。先祖に感謝する為です、私は爺ちゃん子でした。祖父は私が高校生の頃に亡くなりましたが、良く遊んでくれました。将棋を教えてくれたのも祖父で将棋盤も手作りしてくれた。私が小さい頃近所の叔父さんが家に来て将棋を指すのを眺めてました。

22時に布団に入りますが、それまでの数時間、NHKラジオを聴いて過ごします。私の部屋にはTVが置いてありません、貧しいからではなく、番組を視聴しているとまるでアナウンサーが私に話しかけてくるみたいで、落ち着かないので次第に見なくなりました。ラジオの方が私の性格にあっているのです。

食事を食べると姉が入浴の準備を始める、入浴は2日に1回です。姉の後に私も入浴します、身体を擦るのにヘチマタワシを使用するのが生まれた時から変わらないので身体にとても馴染んでいます。毎年夏になると叔父が育てているヘチマをくり抜いてスポンジを作ってくれます。身体も丈夫になるんですよ。

姉が離れに住む叔父へ食事を運び終えた後に食卓を囲みます。朝と昼は各々のペースで過ごしますが、夕食は1日の事を振り返る時間でもあります。お互いを気にする事も余りありませんが、兄への朝の電話と同じく、1日の感謝を確認し合うものだと思います。姉は食べ物の好き嫌いはないけど食が細いです。

男の子が遊びに来る度に、おしっこの事を思い出し、姉に犬の散歩の話をしないかと心配であった。しかし、男の子はこの話を胸に収めている様で、私も彼に嫌な想いはしてないかと尋ねる様な事はしなかった。私もアラフォーなのに、子供みたいな所がありました、だから自宅で過ごせているのかも知れない。

私は夕方に犬の散歩にいく、15時15分位でまだ夕方と言うには少し早い、小学生の男の子と散歩中に出会ってしまうのはごく最近である。私は散歩中におしっこに行きたくなる時があり、ある日我慢できなくなり道端にしゃがみ込んで排泄してしまった、その行為を運悪く男の子に凝視されてしまったのだ。

私は家での生活を楽しんでいたけど、近所の人からは、結婚もしないで自宅でブラブラしている様に映り、家に時々遊びに来る小学生からは、いつも何しているのと良く心配された。私はそんな時急に黙ってしまい、姉からは怖いわよと耳元で囁かれた。そのせいもあって、近所との子供との間には距離がある。

小学校の国語の先生は丁寧に漢字の書き方を教えてくれましたが、私は文章を書くのが苦手でした。しかし、絵を描くのは幼少の頃から好きで、学校に入学する前から自分で書いていました。絵手紙はTV番組で紹介されているのを知り、見よう見まねで取り組んでいます。家で収穫した季節の野菜を描きます。