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東京から船で24時間の自然遺産 小笠原諸島へ行ってきた!#2

 前回に引き続き,東京都東京から南に1000km,船で片道24時間かけて進んだ先にある世界自然遺産の小笠原諸島への旅行記をお届けします.


Day3 父島を満喫

ガイド同行必須の名所 ハートロックへ

 3日目は,父島の南に位置するハートロック(千尋岩)へのハイキングへ.前日の夜も訪れた小港海岸の近くより始まる遊歩道は,公認のガイドが同行しないと立ち入ることができない森林生態系保護地区となっている.
 今回はオガツアーというところでハートロックへのガイドツアーを申し込んだ.島名と同じ苗字を持つガイドの小笠原さんは,とても個性的な方であり,解説のみならず雑談も楽しみつつ片道4kmの道のりを進んだ.

遊歩道の入口付近にある常世ノ滝
右下にチョロチョロ水が流れているのがその滝である
小笠原固有種のマルハチ
シダ植物であり,幹の葉が落ちた部分に丸い跡が残り,丸の中に逆八の字があるから,マルハチ.
わらび谷
大量の枯れ草は去年のわらび
わらびの新芽が出ていた
島民はこれを摘み取って食べるそう
もふもふしてそうな2色のコケはそれぞれ別の小笠原固有種
平坦な道が続いていたが気付けばこのツアーの道中で最高地点の衝立山頂上
まわりは木々に囲まれていて眺望はない
衝立山頂上から少し進むと開けたところに出て,
目線の先には目的地のハートロックと南島!
壮大な景色に圧倒された瞬間である.
寄生植物である小笠原固有種のシマウツボ
寄生植物であるから葉緑素がないため葉は黄色い
白く小さい粒のようなのがその花

 片道約4kmという道のりにも関わらず,起伏の少ない道のりであったためか,雑談しながら進んでいたためか,気付けば今回のハイキングの目的地であるハートロックの上に到着.目の前に広がる,断崖絶壁の上から見る青い海の絶景に息を呑んだ.

西側で南島を望む
東側には断崖絶壁

 海の青,赤土の赤,森の緑のコントラストが美しい.ところが,赤土の露出しているのは,外来種であるノヤギのしわざらしい.ノヤギが木々の草を食い荒らし,森が消えて草原となるが,草原の草だけでは地盤が弱くなり,風雨で地面が流されてしまったそう.海から見たハートロックの赤いのは,赤土が流出したせいで着色したものだとか.
 ノヤギの所為?お陰?でこの景観が作られたという事実には,複雑な心境になる.

 ハートロックの上でしばらく過ごしたのちに,帰路につく.帰りはがじゅまるの森という場所を経由する,行きとは少し異なる経路で戻った.

陸軍のトラックの残骸① こちらは日産製
がじゅまるの森
ガジュマルは日陰を作るために持ち込まれた外来種だそう
想像以上に密にガジュマルが生い茂るこの空間は不思議な感じであった
陸軍のトラックの残骸②
こちらはトヨタ製で,タイヤはブリヂストンとヨコハマタイヤが両方使われている
陸軍が使っていたとみられる食器 星が陸軍のマーク
島とうがらし

父島の海岸を巡る

 ハートロックのガイドツアーが終わり,宿に戻ると15時半.日が落ちるまで2時間ある.せっかくなので,父島の青い海を見るべく,日没まで海岸巡りをすることとした.

コペペ海岸
青く透き通った海と真っ白な砂浜が美しい
扇浦海岸
ここの砂は黒色であった
境浦海岸には海岸を見下ろしながら高台から降りてゆく
戦時中に座礁した濱江丸が湾内に鎮座している
境浦海岸
サンゴ混じりの白い砂浜と青い海に夕日が映える
境浦海岸で日没を見る
この日は残念ながら夕日は雲に隠れてしまった

小笠原で過ごす最後の夜

 船内泊を含むと5泊となるこの旅も,島内での宿泊は3泊であり,気付けば3泊目,島で過ごす最後の夜となった.島で食べる最後の夕食は,あめのひ食堂という食堂でいただいた.

島魚のカツカレー
思ったよりもボリュームがあり美味しいカレーでお腹いっぱいに

 夕食ののちは,前日に夕日を見に訪れたウェザーステーション展望台へ,星を見にゆく.集落から近くアクセスのしやすいこの場所も,集落とは逆方向を望む場所であり,前日同様に満天の星空を眺めることができた.

ウェザーステーション展望台から見る星空
雲量も夕方より減っており,小笠原で過ごす最後の夜に美しい星空を眺められた.

Day4 小笠原で過ごす最後の日

父島の山々を巡る

 小笠原で過ごす最後の日となったこの日も,私は父島を満喫し尽くす気満々で,朝から宿を発った.父島には片道数十分で山頂に行ける山が点在しているということで,最終日でもたくさん山に登ってやろうという心意気で,3つの山を登った.

夜明道路沿いのアクセスしやすい場所にある旭山は片道約30分
旭山の山頂
父島の西側を望める
旭山の山頂付近にある展望台からは大村集落と二見港を俯瞰できる
サンゴ礁のある青い海が美しい
曇予報であったのに晴れてくれてラッキー!
旭山の少し南にある中央山は父島のほぼ中央に位置する山
片道10分ほどで山頂にたどり着くお手軽スポット
中央山山頂付近の展望台からは父島を360°見渡せるが,海は少し遠い.
2日目と3日目にも訪れた小港海岸の入口
脇にある遊歩道入口から片道20分の中山峠を目指す
中山峠からは小港海岸を見下ろせる
紺碧の海の色が想像以上に美しい
中山峠で海岸の反対側に聳える山々はまるでハワイのよう

父島で過ごす最後の時間

 父島の山々を堪能しているうちに,島を発つ時間は迫ってくる.気付けばお昼時になり,集落に戻ってお昼ごはんをいただいた.

「日替わりメニュー 島塩豚丼」の文字に惹かれて入ったP.I.R Haleでいただく島塩豚丼
島塩で味付けされ,海苔も入った豚丼は,程よい塩味でとても美味しかった.

 お昼ごはんを食べ,軽くお土産屋を見てまわり,最後に集落の裏山に登る.中腹には大神山神社のある大神山の展望台へは,長い階段を登らねばならず,しかし階段を登りきった先からは集落を見渡すことができ,父島に別れを言うのには最適な場所であった.

大神山神社
大神山の展望台より 集落と大村海岸を望む
曇天の中でも小笠原の海は青く美しい

島民に見送られ 島を発つ

 時は流れる.コンビニのない,不便そうな島での3泊は,億劫なのではないかとも想像していた.ところが,3泊は短かった.一瞬で過ぎ去った.気付けばおがさわら丸の,父島出港の時間である.
 定刻15時.たくさんの島民に見送られ,おがさわら丸は父島・二見港を離岸した.島を訪れた人々には,それぞれの島の時間が流れていた筈だ.だが,この瞬間は,それぞれの島じかんが集結していた.

たくさんの島民に見送られ出港
離岸したら追いかけてくる島民たち!
港の端まで追いかけてくる!
と思っていたら船に乗ってまで追いかけてくる!
たくさんの船に見送られ
最後は船から海に飛び込んでのお見送り!!
嘘でしょ!?すごすぎる…

旅の終わり

 復路の海は荒れていた.往路よりも激しい揺れであった.それゆえに結局帰りもだらだらと過ごしていた.

甲板立ち入り禁止になるほどの悪天候
外にはうっすら八丈島
さらに進んで伊豆大島 まだ揺れる
揺れなくなったら東京湾

 荒れた海のせいでずっと揺れていた船も,揺れなくなったら既に東京湾であり,途中の悪天候の影響もあって,50分遅れで東京は竹芝桟橋に到着.


 ということで,船で2泊,島で3泊の,5泊6日の小笠原への旅もこれで終わりとなりました.最初は長そうだと感じていた6日間も,小笠原の海や山といった自然を満喫していると一瞬で過ぎ去ってしまいました.この美しい小笠原には,いずれ遠くないうちに再訪したいところであります.

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