柴崎 聡

旅行会社でプランニングの仕事に携わり「旅と音楽」をテーマに、コンサートイベントを国内外…

柴崎 聡

旅行会社でプランニングの仕事に携わり「旅と音楽」をテーマに、コンサートイベントを国内外で企画しています。

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  • 旅は心の財産

    〜「グローバルの旅」価値のある旅へ〜

最近の記事

大草原モンゴルで馬頭琴とヴァイオリンの共演

夏になるとモンゴルを想い出す。地平線を見渡す大草原の中のゲルに泊まり、早朝の朝日で目覚めると、ハーブの緑の香りに包まれた朝の新鮮な空気に囲まれる。夜間は夏でも冷え込むので、明け方にはスタッフの方が、静かにゲルの中に入ってきてストーブの薪に火を点けてくれる。朝日がでてから徐々に気温があがり爽やかな1日が始まる。 モンゴル馬頭琴楽団との共演のためにヴァイオリニストの天満敦子さん、作曲家の小林亜星さんとご一緒に旅をした。首都ウランバートルではモンゴル国立オペラ座での演奏があり、国営

    • カナダをサイクリングする

      コロナ禍で鎖国状態だった2022年に日本の観光業界を活性化しようというカナダ観光局からの呼びかけでカナダ現地視察と意見交換会が行われた。日本から5社の旅行会社が参加してエドモントンへ向かった。大手から中小の会社のメンバーが揃いバスでバンフに向かうと、途中の路上に野生動物が無防備に現れるので驚いた。 ロッキー山脈を遠方に見ながらジャスパーの町に向かう途中でいろいろな動物と出会った。カナダは野生動物の宝庫であることを実感した。 ジャスパーに到着する車中で「レンタサイクル」の業

      • ルレ・エ・シャトー

        フランスのオーベルジュを視察しようと考え、南フランスの小さな町ヴァランスにある「メゾン・ピック」に宿泊した。交通の不便な田舎町にあるレストランには数部屋の宿泊部屋が階上にあり、フロアー毎がプライペート空間になっていた。人影がない町に夕暮れが近づいてくる頃、パリナンバーの高級車がどんどん集まってきてあっという間に駐車場がいっぱいになった。女性シェフであるアンヌの料理を目的にしてこの田舎町に集まってきた人々で町全体が活気を帯びる光景となった。食事を目的に旅をする「デスティネーショ

        • NEWTONとの旅

          科学雑誌『Newton』とのコラボレーションでツアーを企画した。最初は中国の三峡クルーズの旅であった。94年に着工し、2020年に長江の本流がせき止められる計画になっていた。ダムが完成する前に、長江沿いに住む100万人以上の住民を別の場所に移転させる必要がある巨大プロジェクトだ。『Newton』誌は「帰らざる三峡」という特集テーマで、CGを利用した完成後の光景や、発電のシステムなどをビジュアルに解説する内容であった。出版社によって、新聞の全国版に「帰らざる三峡」の全面広告が行

        大草原モンゴルで馬頭琴とヴァイオリンの共演

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        • 旅は心の財産
          7本

        記事

          ベンツで走るドイツの旅

          メルセデス・ベンツ日本と行った共同企画がある。ドイツ旅行でベンツ本社を訪れ、自分の車をオーダーする旅である。参加した者は、現地の工場で自分の好みのボディカラーや内装などを指定し、注文数ヶ月後に日本に輸送される仕組みであった。ツアーでは、ドイツ中部にあるホッケンハイム・サーキット場を貸し切りにして、最新モデルのメルセデスを試乗していただいた。F1レーサーによるドライビングのレクチャーの後、数台のメルセデスでサーキットを周回するというとびきりの体験である。「旅行業とはなんと面白い

          ベンツで走るドイツの旅

          クロアチアのバーバラ

          バルカン半島にあるクロアチアは、かつてのユーゴスラビアである。 この国には「7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、 3つの宗教、2つの文字、1つの国家」があるといわれていた。 6つの共和国とはクロアチア、スロヴェニア、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア、モンテネグロである。 さらに国境を接するアルバニアがある。このように多様性のある国が紛争、独立を経ていまはヨーロッパの主要な観光地となっている。 オーストリアのパートナー会社のシュプリンガーさんからお

          クロアチアのバーバラ

          noteで出版 その2

          ある程度noteでの記述が進んできたところで出版社 (銀の鈴社 https://www.ginsuzu.com)にレイアウトのサンプルを作ってもらった。項目ごとにどのくらいの文字と写真があれば形になるかを事前に見てみたいと思ったからだ。いくつかの写真配置のレイアウトを受け取り、文字数によって写真の大きさのヴァリエーションでページレイアウトを調整することができることがわかった。 現在6章立てで考えているので、1テーマを見開きでレイアウトできるとすると  10テーマ×2ページ×6

          noteで出版 その2

          日本の旅と神話の舞台

          皇室ジャーナリストの久能靖さんに当社の「旅の案内人」としてツアーの企画と同行をお願いしてきた。長い間、皇室を取材され、著作も多く、皇室の宮中行事のことなどについて「カルチャーサロン」で講演していただいたこともある。上皇陛下との心温まるお話しなど、普段伺えないようなジャーナリストとしてのエピソードを興味深く伺った。 久能さんは東大文学部を卒業後、日本テレビ放送網でアナウンサーとして主にニュース部門で活躍され「皇室日記」のキャスターを長年務められた。もともとは当社のお客様でいらっ

          日本の旅と神話の舞台

          ウクライナの少年

          ウクライナ ドニエプル川クルーズ サックス奏者の三四朗さんとウクライナに行くことになった。ウクライナには苦難の歴史がある。東ヨーロッパに位置していたキエフ大公国が13世紀にモンゴル帝国に滅ぼされた後は独自の国家を持たず、ロシア帝国の支配下に入りソビエト連邦内の構成国となった。1991年のソビエト連邦の崩壊に伴い現在のウクライナ国家が成立したが、現在、残念ながらまたロシアとの戦争状態になってしまった。 当時の在日ロシア大使館の文化担当官の勧めで、ウクライナへの旅を企画した。まだ

          ウクライナの少年

          天空の星空コンサート

          ストリートミュージャンという生き方 「音楽(演奏)を生業として生活する」ということは夢があり、素晴らしい生き方だと思う。その反面、それを仕事として生活してゆくことは、経済的、精神的、肉体的にはたいへんなことだと思う。 40年以上、日本と海外のストリートで演奏を続けている三四朗さんは、サックスの響きと美しいメロディーだけでなく、その穏やかな人柄に魅せられる人は多い。 彼はボストンのバークリー音楽大学を卒業してニューヨークでストリート演奏を始めた。帰国後、渋谷でのパフォーマンスが

          天空の星空コンサート

          ウィーンフィルと旅する

          世界初の挑戦 「グローバル クラシック コンサート」は旅行に参加された方にお楽しみいただけることを目的に国内外で実施してきた。第1回目の開催は1987年にサントリーホールで、そして第100回目の開催は2023年に同じくサントリーホールで実施した。コンサート事業との関わりでウィーンフィルの世界ツアーを担当しているブーフマン氏から提案があった。「ウィーンフィルが乗船する音楽クルーズを一緒に実現しないか?」この企画の中心となるのはシュプリンガーという人物である。ほどなくベルリンのホ

          ウィーンフィルと旅する

          noteで出版

          断捨離と出版 溢れ出した写真を整理する必要があり、この機会にnoteを書いて自分の本を出版し、写真の整理を同時に進めようと考えた。 今までの仕事のことや旅先での写真などを整理しながら自分史的にまとめるか、或いはテーマを決めて執筆するかと迷ったが、「書く」という経験がないので、まずは思いつくままに進めてみることにした。 写真は、デジタルカメラやスマートフォンで撮影したデータをクラウドに保存してあったのだが、プリントしたアルバムが問題だった。冊数もかなりの量になっていたので「断捨

          noteで出版

          ヴァイオリンと刀

          武道と音楽の修行 QE2のクルーズで初めてお会いした古澤巌さん。香港の九龍から香港島に渡るスタークルーズの船内に刀を持ち込んできた。居合刀である。「君も居合をやってみれば?僕は毎朝早朝に道場に行っているんだよ。」との談。連日コンサートで多忙な彼が毎日稽古をしていると聞いて驚くとともに興味が沸いた。帰国後すぐに道場に参加し、ほぼ連日夜明け前の稽古場に通うことになった。刀の使い方、身体の動かし方、体重の移動の仕方、所作振舞。すべてがヴァイオリン演奏での弓の使い方や音の出し方、無駄

          ヴァイオリンと刀

          バッハの故郷への旅

          リバークルーズの旅 東西ドイツが統一され、旧東ドイツ側の町々を訪れる旅を企画した。ライプツィヒやドレスデンなど音楽家に所縁のある場所を訪れるにはエルベ川のクルーズが最適である。ドイツで開催されたGTM(ジャーマントラベルマート)という商談会でペーターダイルマン社を紹介されエルベ川の船を見つけた。 ベルリンの郊外に停泊していた船「Katharina von Bora」号を視察してチャーターの契約をした。エルベ川クルーズの観光寄港地にはライプツィヒという町があり、バッハが活躍しそ

          バッハの故郷への旅

          グローバルとの出会い

          初めてのクルーズ体験 「QE2(クィーンエリザベスII世号)の世界クルーズに乗船してみないか?」年上の友人に誘われた。私は、初めてのクルーズで外国客船の体験に胸を躍らせて乗船したことが昨日のことのように思い起こされる。乗船時に友人から紹介された方はヴァイオリニストの古澤巖さんだった。彼はQE2のオフィシャルアーティストとして船内で演奏を行うことになっているという。サントリーホールでの演奏を聴いたことがある有名な音楽家と一緒に旅行ができるとは思っていなかった。この時クルーズに誘

          グローバルとの出会い

          望郷のバラードとルーマニア

          旅と音楽の企画がうまれる 天満敦子さんとお会いしたのは、私がまだ家業の出版社で働いていた時期だった。当時「望郷のバラード」という曲がクラシック界でのめずらしいヒットとなっていた。天満さんの自伝をCDサイズのコンパクトな本にする出版企画でご本人とお会いすることとなった。その頃、ロータリークラブで親しくしていた古木さんの会社(グローバル)がクラシックコンサートを主催していたので、天満さんを紹介することになり、その結果、グローバル「ルーマニアへの旅」(98年)の実現に繋がった。 は

          望郷のバラードとルーマニア