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『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』

坂本龍一さんの著書、『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』を今、読んでいる。

生前の坂本さんに特に思い入れはなかった。忌野清志郎さんとコラボした歌の印象が一番強くて、その後、世界的に有名になって、活躍し続けていて、すごいと思っていたくらい。

坂本さんが亡くなられた後、『Playing the Piano 12122020』というアルバムを聴いた。生前には興味がなかったくせに、とファンには怒られるだろうけど、心に染み渡る感じがして、とても気に入っていた。そのアルバムがライブ録音で、がんの転移を宣告された翌日だったと、この本を読んで知った。

この本も、申し訳ないけれど、特に読みたかったわけでもない。最近はどうしても小説よりエッセイが読みたくて、アメリカの日系書店で数少なく売られている日本語の文芸作品の中で、たまたまあった唯一のエッセイだったという理由で買っただけ。でも、アルバムといい、本といい、何となく導かれた気がする。

本の中の坂本さんは、まっすぐな言葉と言い回しで、誠実な人だったんだろうという印象を受けた。そして、目の前のものや感じることをそのまま受け止めようとする心意気を感じた。私が今、強く求めているもの。

彼は死を意識することで、そういう心持ちになったのだろうか。それとも、もともとそういう人だったのだろうか。いずれにしても、今の私に必要な目線であり、姿勢であることに変わりはない。それを今読んで、学べているこの偶然に、そして坂本さんに感謝。

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