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Podcast「超旅ラジオ」を支える技術①~機材編

こんにちは。超旅ラジオでテクニカルを担当しております、石川です。

超旅ラジオは、Satoruさんと岡田さんの二人が声帯を振動させ、空気を媒介にリスナーの皆さんが鼓膜を震わせて楽しむという非常にアナログなエンタテインメントです。
なんならそこに空気さえあれば成り立ちそうなこの番組ですが、もろもろの都合で各種テクノロジーが使われています。このシリーズではそれを紹介していこうと思います。

なお、裏テーマとして「超旅ラジオを聞いて、自分もPodcastをはじめてみたくなった!」という方の参考になるような記事にできればと思います。

※超旅ラジオを知らずに来た方へ…
旅の話と、日常から旅を生み出す話をするPodcastです。ホテル予約サイトの酷評レビュー対決、天下無類の奇書「トゥバ紀行」について、日本語に翻訳できない世界の罵倒語、Airbnbから損害賠償請求を受けた話、などなど。
毎週木曜12時更新。もうすぐ150回目を迎えます。

機材、要る

1回目の今回は機材編です。

要るんですね。機材が。
毎回リスナーのみなさんにSatoruさん岡田さんの元に集まっていただくことができれば空気だけでオッケーですが、そうはいかないので振動をいったんデータにする必要があります。そうすると録音機材がいるわけです。

収録中、石川の席からのながめ

超旅ラジオの機材はコスパ最優先で構成しています。ただし中には「もらったからゼロ円(本当は高い)」なものもあります。今回は裏テーマに沿って、安い代替機材にも触れつつ紹介していきます。

【ご了承ください】
※石川は音響のプロではなくわりと自己流です。
※商品リンクにはアフィリエイトを含みます。

超旅ラジオの使用機材

書くほどでもなかった機材構成

マイク

写真はSM58

マイクは4本あり、3本はSHUREのSM58です。これは音楽スタジオでも使われているボーカル用のド定番マイク。買うと1本13,000円くらいするのですが、デイリーポータルZ編集部の備品処分の際におさがりをもらえたのでゼロ円です。プロユースの機材とあって音質はバッチリ、やっぱいい機材は違うな!!

ところが最近になってゲスト用にもう1本欲しいなということで、サウンドハウスというショップのSM58クローン、CM5を買ったんですよ。1,680円。SM58のざっくり1/10の値段です。
肝心の音ですが、収録に使ってみたところ……
……素人にはまったく違いが分かりませんでした。さっき「いい機材は違う」って言ったな。

しばらく使ってみると録る音によってはけっこう違うなと思ったりしますが、Podcast用にはこれで十分だと思います。


ミキサー

イベント等で酷使してるのでツマミが曲がってる

複数のマイクの音を混ぜるためにミキサーという機材が必要なんですけど、超旅ラジオではaudio technicaのAT-PMX5Pを使っています。これもDPZ編集部のおさがりですが、買っても一万円ほどと、ちゃんとしたメーカーの同等品の中では一番安いと思います。

これのいいところは乾電池で動くところで、おかげで機材一式が完全ポータブル、野外でも収録可能です。旅のラジオ、いつでも旅支度はOKです。

間違えました。超旅ラジオ、いつでも超旅支度は超OKです。


レコーダー

家にあったやつ

いい音で録りたい場合、レコーダーはふつうのICレコーダーではなくPCMレコーダーという機材を使うのが一般的です。これはSONYのM10で、家にあったのでゼロ円です。元値はそこそこ高かった気が。

昨年まではデイリーポータルZの備品のTASCAM DR-07MKIIというレコーダーを使っていまして、Podcast用に買うならこっちのほうがお手頃です。中古で8,000円くらいで売ってます。ただこれも生産終了品で、新品がいい人はDR-05Xという現行品があるようです。


その他

機材といえるものはそのくらいですが、実は他にも地味にいろいろ必要です。

マイクスタンド……保管時にかさばるので絶対に折り畳みを買った方がいいです。いま使っているのはこれ。難点としてはテーブルの振動を拾いやすくて、パソコンのキーボード打ちながらしゃべると「ドドドド」って音が入ったりするので、100均でこういうゴムクッションを買って足してもいいかも。(未検証)

マイクケーブル……ケーブル類はサウンドハウスでそろえました。マイクケーブルにはいろんな種類がありますが、同じミキサーAT-PMX5Pを使うならキャノン⇔フォンのこちら。長さは1.5mで十分足りてて、念のため1本だけ3mにしてます。

ミキサーとレコーダーをつなぐケーブル……RCA赤白⇔ステレオミニ。これ

イヤフォン……でかいヘッドフォンのほうが「やっとる感」は出ますが、500円くらいの適当なイヤフォンでいいかなと思ってます。すごく精細に聴いたとしても、この機材構成では大した調整はできないので…。イヤフォンはミキサーにつながないでレコーダーにつなぐのがポイントです。

以上です。
すべて出そろったところで、この記事でおすすめした機材でPodcast収録機材一式をそろえると、いくらで始められるか計算してみました。

ざっくり19,000円+(3000円×人数)って感じですね。2人なら25,000円、3人なら28,000円です。
人数で割れば3人でも1万円を切ります。大人の趣味としてはけっこう安い!
超旅ラジオと同じく3人で始めて150回続いたとすると、ひとり1回あたり62円です。やっす!!!!

……なんで技術紹介の記事を書こうとしたのにこんなに金の話ばっかりしているのか。無意識のうちに、仕事辞めてフリーランスになった不安があらわれているのでしょうか。

文字が続いたので収録中の写真を。収録の9割以上の時間を熱弁で埋めるSatoruさんと、そのあいだにコーヒーを飲んで一息つく岡田さん。 #146で公開しました

収録中なにをしているのか

これはもしかしたらSatoruさん岡田さんの2人も疑問に思っているかもしれない。

僕は収録中にずっとイヤフォンで何か聴いていますが、いったい何をしているのでしょうか。やることがないのでVtuberの雑談配信を聴いているのでしょうか。全然関係ないのですが、仕事中の作業用BGMとしてよく英語圏のVtuberの配信を流しています。日本語だと原稿書くのに邪魔になっちゃうけど、英語なら意味が入ってこないから。リスニングが苦手であることの唯一のメリットですね。こういう「できないからこその良さ」みたいなの、見落としがちですが大事にした方がいいと思うんですよ。人生を楽しむ秘訣のひとつという気がします。

おっと話がそれました。そうではなくて、大事な仕事があるんです。

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