ワクチン接種状況✖株の有効性

だんだんと、ワクチン接種状況と株に関する有効性の数字が出て来たようです。タイトルは、「Effectiveness of COVID-19 vaccines against Omicron or Delta infection」(リンクは受け売り)。まだまだ初期段階での事例(カナダ・オンタリオ)なので数字は動くと思いますが、傾向を知るだけでも意味があると思い、紹介します。

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表が2つあります。1つ目は、「Table 1. Characteristics of study subjects tested for SARS-CoV-2 between 22 November and 19 December
2021 in Ontario, Canada」。11月22日からの4週間に新型コロナの検査を受けた人の結果を表にしたもの。年代、性別、ワクチン接種回数と最後の接種からの日数に対し、陰性、デルタ株、オミクロン株、の別が示されています。(4週の間のオミクロン株比率の急増も読み取れます。)

表2は、表1を元に有効性を整理したものです。

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そのグラフもありました。色を付けたのは、それぞれ対応する部分を示すためです。95%CI(95%信頼区間)は細い上下の線であらわされています。

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・デルタ株(紫点線)に対しては、2回接種後、すこしづつ有効性は下がるものの、70%程度は確保しているように見えます。(他の発表より、時間経過による有効性低下が少なく見えます。)3回目接種で少し有効性が改善していそうだとも読み取れます。

・オミクロン株の2回接種について(茶色)。ワクチンが一番効いているであろう時期でも期待できない。未接種とほぼ同じでワクチン接種の意味がない。むしろ時間が経つと有効性がマイナス(=未接種者よりも感染しやすくなる)。ただし、さらに時間が経つと改善する可能性があるように見えます。(但し改善しても未接種者と同じレベル?)

・オミクロン株の2回接種(水色)は、今の所、非常にばらつきが多い(データが少ない)ので何とも言えない。


つくづく医療関係の話題は、最初事例報告から始まって、傾向がなんとなく認識される、それから統計が出て来るのだ、と思いました。統計的に何か言えた時には遅い、ということですね。

希望は2回接種でやめれば、自己免疫が改善していくのではないか、という期待だと思います。

ところで信頼区間は統計学を学ぶと必ず出てきますが、日本の一般報道ではほとんど目にしませんね。それでも新型コロナのことを少しでも理解しようと思ったら、絶対にその意味だけでも知っておくべきだと思います。
例えば信頼区間が広い(上の例ではオミクロン株に対する有効性)場合、数値はばらつきが多いので、はっきりしたことが言えない。信頼区間が狭い(デルタ株の例)では、データが出そろってきたので、オミクロン株のデータより信頼できる数値だと言えます。

(それでも今回の情報は後ろ向きの評価であることに留意は必要)