香港游記 1日目

 11月25日から29日まで香港に行ってきた。実は、帰国直後にインフルになって、これもnoteにかけるくらい?しんどかったため、肝心な香港の記録が滞っていた。今日からぼちぼち記録していこうと思う。皆さんもインフルエンザにはお気をつけて。吐いたり倒れたり大変。


出発


 11月25日5時18分。早起きして、諸々小さな忘れ物をしたなぁと思いながら日暮里に向かう電車に乗った。化粧下地とか、綿棒とか、何か羽織るものとか。香港も室内はエアコン効いてて寒いっていうから。私はエアコン系の人工的な寒さに弱い。

 6時5分。日暮里でスカイライナーに乗り換える。
 夜明けの東京。スカイブルーとオレンジのグラデーション。住宅街の先にスカイツリーがちょこんと立っていた。東京も悪くない街かも知れない。

 7時ごろ。成田国際空港第二ターミナル着。
 トイレに向かって、朝間に合わなかった髪の毛の微調整をする。忘れ物は後々買い足そうと思った。お金がもったいないがこれが私の人生。

 チェックインはオンラインで済ませてある。便利な世の中だ。

  そもそも、なぜ今回私は一人で香港に行くことになったのか。

 Q. YouはどうしてHongkongに?
 A.香港国際空港のキャンペーン「ワールド・オブ・ウィナーズ」にあたって、飛行機のチケットを超格安で手に入れたから。

 簡単にいえば、香港政府が世界中の観光客に向けて、香港に行ける往復の航空チケットをばら撒いたキャンペーン。各航空会社それぞれに応募するのだが、私はそれのキャセイパシフィックで当たった。
 後から聞いた話だが、キャセイは香港の主要な航空会社の中でもかなり評判の良いところで、この話を香港のことがわかる人に話すと「お〜、キャセイか。すごいね。」なんて言われるので、「ほ〜ん。」と思っていた。旅を終えた今になって思うが、確かに良かったと思う。ほぼJALしか使ったことがなかったけど、特にクオリティの違いを感じなかった。

 今回の旅は基本一人行動だが、その中で何人かお世話になる人がいる。特に、父の仕事仲間のBertさん(以下人名は全て仮名です)。最初、父が「俺の知り合いが香港にいるから案内してもらうのはどうだ」っ言った時は何か嫌で突っぱねた。でも、旅路を組むに従って、だんだん一人旅でやることも限界があることに気づき結局「すみません、Bertさんと繋げてください。」と頭を下げた時には、父は「ほらやっぱりな」とニヤついていた。
 それで、今回Bertさんに会うにあたって、父が挨拶に日本酒を持たせた。父は日本酒の大ファンなのだが、Bertさんも日本酒が好きなのだそうで、よく二人で飲んでいた。まあ、二人が日本酒が好きなのはいいことなのだが、旅に同行させるにしちゃ、重い。が、仕方ないので日本酒の瓶をスーツケースに寝かせた。荷物を預けるときは「割れ物注意」のステッカーを付けた。

 天気は快晴。フライト日和。
 香港までは約4時間。私の好きな映画が2本も見れる。ディズニーが好きだから「ホーンテッド・マンション」と「私ときどきレッサーパンダ」をみた。レッサーパンダ、原題は「Turning Red」なんだけど、邦題もそれで良かったんじゃないかと思う。ダサいので。邦題がダサいのはディズニーあるあるですかなぁ。アナ雪もFlozenの方がかっこいいでしょ。
 機内食はかまぼこのお粥。朝ごはんを空港で食べちゃったのでお腹空いてないので一口食べてパスしちゃった。見た目地味だけどお腹空いてたら美味しかったんじゃないかと思う。
 富士山が綺麗に見えた。

 4時間後

 13時25分。予定通り香港国際空港到着。こちらも快晴。26度。あったかい。施設が綺麗。看板の文字が繁体字でテンションが上がる。看板の文字が日本語じゃないだけでなんか嬉しい。
 入国審査を終え、すんなりと空港を出る。香港観光政府のディナー割引チケットをもらったけど結局今回の旅では使う機会がなかった。

 エアポートエクスプレスにのってホテルへ向かう。
 丁度香港ディズニーでは5日まえにアナ雪エリアが完成して、駅はアナ雪の広告だらけだった。今回の旅では、毎日誰かしらに会う予定があって丸一日ディズニーに費やせる時間がなかったから断念した。でも、私はディズニーヲタクなので次回こそ絶対行きたい。


西營盤



ホテルのある街。ホテルといっても、Airbnbで予約したマンションの一室だ。同居人がいる。
 西營盤の街は海鮮の乾物屋さんが並ぶ。歩くとスルメみたいな匂いがする。で、猫が多い。
 たまたまインターネットで拾った情報だが、西營盤は昔から乾物店が多い歴史のある港町で、乾物屋の店主が、売り物の乾物を食べに来るネズミを退治するために猫を飼っているらしい。西營盤の乾物屋さんを覗くと猫がショーケースの上でのんびりとあくびをしている。

 駅からホテルまでは徒歩5分ほど。超駅近の好立地。(ちなみに、駅の中をかなり歩くので、改札からだとプラス7分くらい。)
 この辺は家賃が高いと聞くのでさぞかしリッチなホスト様様だろう。

 15時ごろ。言われたマンションの建物の目の前で問題が発生した。
 カードキーがないと入れないらしい。
 マンションのインターホンの横にカードキーをかざして入っていく他の住民らしき人々。何度か自分の部屋番号を押してみるも反応はない。というのも、私が到着する時間帯にホストさんが家にいない、というのはあらかじめ知らされていたのでそりゃそうですよねと落胆するだけ。
仕方ないから守衛さんに繋がるボタンを押してみる…

守衛さん「広東語広東語広東語広東語広東語広東語」
私「あ、あ、あ、あ、」

 怖い

私「ア、アイドントスピークカントニーズ…ドゥユースピークイングリッシュ…」
守衛さん「広東語広東語広東語広東語広東語広東語」

 ヒィッ

 怖い。
 怖いので、次に通った住人さんが入っていく後にこそこそと入って行った。

 エレベーターの前に看守さんのオフィスがあって、さっきの人がいた。まためっちゃ広東語でなんかいってる。全く分からない。自分でもどうしかたよく覚えていないけど、結局エレベーター乗っていいみたいなことは理解して、エレベーターに乗った。

 29階。玄関前のレインブーツに鍵が入っていると聞いているが…入っている。鍵を開けて中に入る。
 しっかり生活感の溢れるマンションの一室が広がっていた。テーブルには飲み掛けのお茶とタッパーに入った焼き菓子。日本土産か何かの八橋の箱。テレビの前にはヨガマット。ホストさんの家族写真らしき写真が壁にかかっていた。洗面台にはホストさんの歯ブラシと化粧品。一応、キッチン周りのレンジやコンロも使っていいと言われているので覗く。普段使っているであろうお米やオーツの瓶、フライ返しやフライパンが壁にぶら下がっている。
 生活感はあるけど、しっかり整理整頓されていて、居住者の仕事できそう感が感じられた。

 肝心の私の部屋というと…
 オーシャンビューの超絶景!
 ベッド一つにクローゼットと棚。広いとは言えないけど、一人旅には十分。何より景色が本当に綺麗で、まさに香港という感じ。この後私はヴィクトリア・ピークに行くけれど、その景色と比較しても全然劣らない景色だった。特に、夜景が美しくて、寝る前にずっと眺めていた。

ヴィクトリア・ピーク

 カードキーの件は、ホテルの部屋で海外インターネットを手配してから翻訳アプリを携えてもう一度守衛さんに対戦しに行った。すると、通りがかりの住人さんがなんと英語で助けてくれて、とてもスムーズにことが解決した。そして、私が一方的に恐れていた守衛さんは、実は優しくて、私がドアの前で話している時ビービーなんか鳴ってるな(これも怖い)と思っていたのがドアの開放音だったらしい。守衛さんは広東語で「なんでドアを開けてやってんのに入って来ないんだ?」と言っていたらしい。うーん、これはもうちょっとブザーの音が優しめな方がわかりやすいよ。いえいえ、勝手に怖がってすみません。次からはカードキーがなくても開けてくれるらしい。毎回守衛さんに連絡してってさ。そして、通りがかりのお兄さんありがとう。素敵な旅を!と言ってくれた。

 マンションのことが落ち着き、ようやく観光に出かける。香港の日没は17時半ごろなので、時間に余裕を持ってヴィクトリア・ピーク(夜景の名所、山の山頂)へ。ホテルから主要観光地へのアクセスも最高。30分くらいで着いた。

 16時半ごろ。着いたはいいが、えらい人が並んでいた。ピークに行くためのトラムに乗るための列。そりゃそうだよね。土曜の夕方なら混むよね。大人しく列の最後尾に並ぶ。のんびり並びながら、ヴィクトリア・ピークの歴史を語る展示物なんかもお目にかかれる。プロジェクトマッピング的な演出も加えた原題的な展示で、香港すげー、と思った。いや、東京にもこういうのあるか。でも、香港はすごい。並んでいても飽きないような工夫もある。展示物に子供が乗り込んじゃってるのは誰か注意した方がいいと思う。
 トラムが来るなり人がわーっと押し寄せてもみくちゃになる。おひとりさまなのが功を奏し、他のおひとり様の隣にシングルライダー失礼した。かなりの急勾配を登っていくので、座らないとしんどいと思う。座れてよかった。丁度日没くらいで乗客がずっとスマホのカメラを窓の外側に向けている。観光地で、誰も彼もが液晶画面を美しい景色にかざすのに夢中になっているのをみると、毎度毎度風情がないなぁと思ってしまうのだが、私だって文明の礫に頼って美しい景色を小さな箱の中に映写しておきたいと思うのは現代人の変わらぬ欲望であるから、ほどほどに何枚か写真を撮って、あとは自分の目に焼き付けた。

 ピークの山頂に着く。さらに上に行くためのチケットもあったが、追加料金なので、なんか気が引けて買わなかった。後から考えるとせっかくなんだから買ってもよかったかもしれない。それでも、ピークからの景色はすごかった。HONGKONG!って感じ。香港は小さいとよく言うけれど、こうして高いところから見ると、確かに小さいなぁと思う。小さい土地にぎゅっとビルと人が集まっているんだ。でも、押し込められたような狭苦しさはなくて、香港の都会というのはおもちゃ箱のようなワクワク感と想像の余白みたいなものがある。これは私がストレンジャーだからそう幻想できるだけかもしれない。目下におもちゃ箱がキラキラとひっくり返っている。そういう景色だった。100万ドルの夜景なら、宝石箱だろうか。いや、高級すぎるのも香港らしくない。香港初心者がなんかいうてますけど。

 ピークは寒い。山の山頂だから。ピークにはモールも併設されていて、飲食店やお土産やさんが立ち並ぶ。スカイツリーとソラマチ的な感じ。ヴィクトリアの頂上で、私はふとあることを思い出す。

 「あれ、守衛さんっていつまでいるんだろう…。」

 もし、守衛さんがクローズしちゃったら、私はあのマンションから閉め出されるのでは!?
 そう思うと急に不安になって、Airbnbでホストさんに「どうしよう!?」と連絡するのだが、ホストさんは「大丈夫〜」とばかり。具体的に朱栄さんがいつまでとか全然教えてくれなくて、不安は一向に募る。仕方ないから、あまりおそくならないうちに帰ろう。さすがに22時前とかには閉まらないだろう。サラリーマンの住人さんとかいそうだし。
 帰りのトラムもめっちゃ並んでる。そしてめっちゃ寒い。日本に薄い上着を忘れてきたのを後悔した。それで、結局翌日買う羽目に。帰国時税関の職員さんに可愛いねとほめられるくらいには可愛いのを買えたので満足しているけど。(税関の職員さんってこんなに優しいんだ!?)

 もう不安でお腹すいちゃったので、寒いし早くピークを降りて、Bertさんおすすめの上環にある雲呑麺屋さんに向かう。

雲呑麺

 路地のちょっと奥まったところに、その雲呑麺屋さんはあった。お客は私の他に一組だけで、その人たちがいなくなると、今度は私だけになってしまった。20時閉店で19時半とかに行ったから、閉店間際だったのかも。こんな時間にごめんなさいね。
 英語メニュー見せてもらって、一番無難そうなのを頼む。エビ雲呑麺。美味しいに決まっている。
 目の前の厨房でおじさんが麺をちゃっちゃっと湯切りしている。老舗って感じ。実際、ミシュランとってるすごい店。なのにこんなに奥まった路地でひっそりやってる。ひっそりしてるのは時間のせいかもしれない。
 雲呑麺が登場する。実は、今日はお昼を食べる暇がなかった。お腹すいてなくても機内食をたべるべきだったか。
 香港の雲呑麺の麺は日本で食べたことあるラーメンの麺じゃない。もっと細くて、硬めで、プチプチしている。美味しい。私はこっちの方が好きかもしれない。
 そして、エビ雲呑。超プリプリ。薄皮に包まれたエビがなんかもうすっごいプリンプリン。色気すら感じる。香港のエビはシューマイもワンタンも、総じてプリンプリンであり、パサパサのやつは多分存在しない。

 そんなこんなで雲呑麺を食い終え、マンションへ帰る。何言ってるかわからない守衛さんに入れてもらいながら、部屋に帰り、美しい夜景が迎えてくれた。安心しきってシャワーを浴びているところに、ドアの開く音がして、慌ててタオルを巻き、出て行ったところで対面したのが、今回の旅でお世話になるホストさんだった。









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