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伝える力

『いやいや、言わなくてもそれくらい分かるでしょ』


一度は先輩や上司から言われたことはあるだろう。
つまり「想像して行間読め、空気読め、あるいは忖度しろ」このような意味がこの一言すべてに詰め込まれている。

”想像して仕事をする、考える、リスクを先読みする”というような意味では顧客や社内相手の対応で役に立っていることは間違いない。
ある意味では日本文化の凝縮された素晴らしいもの一言だ。

しかし一方で、ここベトナムでそれは通じるだろうか。
同じ事をベトナム人に言ったとする。恐らくこう返ってくるだろう。

「そんなこと言われてないし、言われてもないのに分かるわけがない」


至極真っ当だ。そんなの分かりっこないし、そもそも何で言われてもいないことを考えなきゃいけないの?意味わからないっす、である。

日本であれば『なんだそれは!そんなんじゃダメだぞ!』と叱責ものである。

しかし当然ながらどちらが良い悪いという話ではない。
むしろ国どころか時代や相手の世代によって、このやり取りは変化しまた違った形になっていくだろう。

大事なのは相手に分かりやすいように、(メールであれば)最後まで分かりやすく簡潔に書けているか?など当たり前を当たり前にこなさなければ、意味がないのである。

仕事に慣れてくると、逆に”自分のやり方が当たり前である”という錯覚に陥ることが往々にしてある。

自分の考えややり方を相手に押し付け、メールでは般若心経かの如く長文を送りつける。
更にはよく分からない難しい漢字や英単語やカタカナを並べ、改行すらなく無限に続くような文章、そして彼は明らかに自分に酔っている、でも誰も注意できない。。こんな人は周りにいないだろうか。

相手を疲弊させるどころか、もはや何を言ってるのかさえも分からなくなりがちだ。

私も含め昭和世代が陥りがちなパターンであるが、その昭和世代が多様してきた言葉が、

『いやいや、言わなくてもそれくらい分かるでしょ』

である。

伝える力、伝える事と言うのはシンプルでいて、そして難しい。


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