築地本願寺公式

東京・築地にある築地本願寺(浄土真宗本願寺派)の発行する「築地本願寺新報」の公式not…

築地本願寺公式

東京・築地にある築地本願寺(浄土真宗本願寺派)の発行する「築地本願寺新報」の公式noteです。築地本願寺新報の掲載記事や取材の裏話、築地や仏教、宗教にまつわるコラムやインタビューなどを掲載していきます。

マガジン

  • 僧侶の一日

    築地本願寺にはたくさんのお坊さんたちがおつとめしています。そんな彼らは、毎日、どんな風に過ごしているのでしょうか? ここでは、普段見られない、そんなお坊さんたちの裏側をご紹介します!

  • 多田修の落語寺

    本願寺派僧侶であり、大の落語好きとして知られる多田修が、落語と仏教をテーマにしたコラムを執筆します。

  • 酒井順子連載「あっち、こっち、どっち?」

    築地本願寺新報に掲載中のエッセイストの酒井順子さんの連載です。気になるふたつの言葉を取り上げて、紹介していきます。

  • 英語で歎異抄

    鎌倉時代の作品ながら、現代にも通じる教えが記された親鸞聖人の著書『歎異抄』。ただ、その内容はときに難解だと評されることも多いです。本連載では、全十八条の中からその一節を抜粋し、英語と日本語で解説します。英語版『歎異抄』に触れる事で、仏教・浄土真宗をよりさまざまな角度から見ることができ、新たな気づきが見つかるはずです。

  • 悩みを抱えている方へ

    人には相談しづらい悩みを抱えている方や、最近ちょっと元気がないと感じている方へ。僧侶が答える悩み相談や僧侶が仏教の視点から問うコラムを集めました。

記事一覧

太鼓運びに悩み相談も? 普段は見れない築地本願寺のお坊さんの裏側【僧侶の一日⑥】

築地本願寺にはたくさんのお坊さんたちがおつとめしています。そんな彼らは、毎日、どんな風に過ごしているのでしょうか? ここでは、普段見られない、そんなお坊さんた…

夏に花火を上げる理由や「たまや」の語源は?【多田修の落語寺・たがや】

 隅田川の花火の日、両国の川岸や橋の上は大勢の人でにぎわい、あちこちから「たーまやー」の声が聞こえます。そこを、たが(桶の周りを締しめる輪)を持った職人が通ろう…

お店に「さん」はつける? つけない? 関東と関西の文化の違いを考える

大人になってから京都に行った時、京都の人がお店の名前に「さん」をつけて呼んでいるのを聞いて、驚いたことがあります。たとえば、 「今日のお昼は、○○屋さんでおう…

22

人が死んだらどうなる? 落語好きなご隠居の答えとは【多田修の落語寺・浮世根問】

 ある隠居さんは読書家で、いろいろなことを知っています。そこへ近所の男がやってきて、「なんで鶴と亀はめでたいんですか?」と聞きます。 「長生きするからだ。鶴は千…

27

親鸞聖人に弟子はいなかったのか?【英語で歎異抄】

■『歎異抄』第六条 【英文】 A Record in Lament of Divergences, 6 It appears that disputes have arisen among followers of the sole practice of nembutsu, who ar…

13

あなたは自らの“正義”とどう向き合うか? 僧侶が読みとく映画『正義の行方』

「仏教と関わりがある映画」や「深読みすれば仏教的な映画」などを〝仏教シネマ〟と称して取り上げていくコラムです。気軽にお読みください。 第98回「正義の行方」木寺…

17

社内恋愛はもはや大罪? 変わりつつある「自然な出会い」の定義

 マッチングアプリで出会って交際や結婚をする人が、急激に増えています。数年前までは、アプリで出会って結婚することに対して、「えっ」という顔をする人もいましたが、…

26

人の話を聞く上で、知っておきたい大切なこと【仏教で答える悩み相談35】

人の数だけ、悩みは尽きぬもの。 皆さまから寄せられた悩みに、お坊さんや仏教関係者たちが答えます。 今月のお悩み Q いつも家族をはじめ、周囲の人から「あなたは人の…

13

犬の供養に鐘をついた男【多田修の落語寺・天王寺詣り】

 ある男が、お彼岸に四天王寺(通称は天王寺)で亡き人の供養をすると功徳があり「天王寺の鐘をつくと十万億土(無数の世界)に響く」と話します。それを聞いた男は「うち…

20

「満」や「密」な状況がもたらす、濃厚な時間もある

 このゴールデンウィークに、浅草に行く機会がありました。久しぶりに行動制限の無い大型連休ということで、混んでいるであろうことは間違いない。覚悟をして行ったら、や…

22

親鸞聖人の『歎異抄』を英語で読んでみた

●『歎異抄』序【英文】 A Record in Lame Lament of Divergences, Preface As I humbly reflect on the past [when the late Master was alive] and the present in my fo…

27

人は理解できないものを恐れ、遠ざける。僧侶が読み解く『こちらあみ子』

「仏教と関わりがある映画」や「深読みすれば仏教的な映画」などを〝仏教シネマ〟と称して取り上げていくコラムです。気軽にお読みください。 第97回「こちらあみ子」森井…

12

築地本願寺で50年に1度行われる“大きなお祭り”、知ってますか?―築地本願寺鼎談―

4月26日(金)から、4日間に渡って築地本願寺で開催される親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要。そこで今回、築地本願寺総代・中村弘奉讃会会長、圓正寺住職の倉澤…

22

「あげる」行為は楽しいが、時に暴力的でもある。

 近所のおばあさんの家に行くと、いつも必ず、持っていった物以上の何かを持たせてくれようとするのでした。「これをあげる」「あれも持ってく?」と、お菓子やら自分が作…

41

未来が見えなくても、大丈夫【眠れない夜に効く、仏さまの話】

わからぬ方向に進むのが、私たちの本当の姿  年が改まって、早三ヶ月が経ちました。新年を迎えるにあたり、誰もが良い年でありますようにと願って新年を迎えたことでしょ…

27

この“ヤバい日本”で、私たちはどう生きたらいい?【仏教で答える悩み相談34】

人の数だけ、悩みは尽きぬもの。皆さまから寄せられた悩みに、お坊さんや仏教関係者たちが答えます。 今月のお悩み Q 最近「日本がヤバい」というニュースばかりで、自…

22

太鼓運びに悩み相談も? 普段は見れない築地本願寺のお坊さんの裏側【僧侶の一日⑥】

築地本願寺にはたくさんのお坊さんたちがおつとめしています。そんな彼らは、毎日、どんな風に過ごしているのでしょうか? ここでは、普段見られない、そんなお坊さんたちの裏側をご紹介します! *** 勉学布教を怠らない 浄土真宗では僧侶となる際に「終身僧侶の本分を守り、勉学布教を怠らないこと」といった誓約(僧侶の心得)を掲げます。  築地本願寺でも僧侶に向けた勉強会や研修会が度々開催されており、日々研鑽を重ねる僧侶の姿があります。  お釈迦さまや親鸞聖人の言葉に学び、浄土真宗の

夏に花火を上げる理由や「たまや」の語源は?【多田修の落語寺・たがや】

 隅田川の花火の日、両国の川岸や橋の上は大勢の人でにぎわい、あちこちから「たーまやー」の声が聞こえます。そこを、たが(桶の周りを締しめる輪)を持った職人が通ろうとします。すると、たがが跳ねて武士の顔にあたってしまいます。たが屋の職人は必死に謝っていましたが、武士の言うことが理不尽なので、職人は怒り爆発。武士を相手に戦い、職人が勝ちます。それを見ていた野次馬が「たーがやー」。    花火のかけ声の定番は「たまや」です。これは、江戸時代に隅田川の花火を打ち上げていた玉屋に由来しま

お店に「さん」はつける? つけない? 関東と関西の文化の違いを考える

大人になってから京都に行った時、京都の人がお店の名前に「さん」をつけて呼んでいるのを聞いて、驚いたことがあります。たとえば、 「今日のお昼は、○○屋さんでおうどんでも食べへん?」  というように。  どうやら京都のみならず関西の人々は、店名にも「さん」をつけることによって、言葉の響きを柔らかくすることが多い模様。アズマ育ちの私としては、いつもお店の名を呼び捨てにしていたので、その配慮に「なるほど」と驚いたのです。  おそらく関西よりも関東の方が、物事をそのまま、ストレ

人が死んだらどうなる? 落語好きなご隠居の答えとは【多田修の落語寺・浮世根問】

 ある隠居さんは読書家で、いろいろなことを知っています。そこへ近所の男がやってきて、「なんで鶴と亀はめでたいんですか?」と聞きます。 「長生きするからだ。鶴は千年、亀は万年と言う」 「この前、縁日で亀を買ったら次の日死んじゃいました」 「ちょうどその日が万年目だったんだ」 この後もさまざまな質問が続き、 「人が死んだらどうなるんですか?」 「極楽に行く」 「極楽はどこにあるんですか?」  隠居さんは「見せてやろう」とお仏壇を指して「極楽とはこのような所だ」と答えます。男

親鸞聖人に弟子はいなかったのか?【英語で歎異抄】

■『歎異抄』第六条 【英文】 A Record in Lament of Divergences, 6 It appears that disputes have arisen among followers of the sole practice of nembutsu, who argue that“these are my disciples” or “those are someone else’s disciples.” This is utterly sen

あなたは自らの“正義”とどう向き合うか? 僧侶が読みとく映画『正義の行方』

「仏教と関わりがある映画」や「深読みすれば仏教的な映画」などを〝仏教シネマ〟と称して取り上げていくコラムです。気軽にお読みください。 第98回「正義の行方」木寺一孝監督 2024年日本作品  骨太の重いドキュメンタリーです。  1992年に福岡県飯塚市で女児2人が殺害された「飯塚事件」。証拠が乏しい中、DNA型鑑定が決め手となって事件発生から2年後に久間三千年が逮捕・起訴され、2006年に死刑が確定します。久間は一貫して無罪を主張しますが、2年後の2008年10月に

社内恋愛はもはや大罪? 変わりつつある「自然な出会い」の定義

 マッチングアプリで出会って交際や結婚をする人が、急激に増えています。数年前までは、アプリで出会って結婚することに対して、「えっ」という顔をする人もいましたが、もうそのような反応は少ないのではないか。    お見合いや結婚相談所を利用したのではなく、学校や職場等で知り合うことを、「自然な出会い」とする言い方があります。その考え方でいくと、マッチングアプリで知り合ったカップルは「不自然な出会い」ということになる。  しかし最近、世の恋愛事情は激変しました。会社員の友人の話を聞

人の話を聞く上で、知っておきたい大切なこと【仏教で答える悩み相談35】

人の数だけ、悩みは尽きぬもの。 皆さまから寄せられた悩みに、お坊さんや仏教関係者たちが答えます。 今月のお悩み Q いつも家族をはじめ、周囲の人から「あなたは人の話を聞いていない」と言われます。お坊さんは人の悩みを聞く機会が多いと思いますが、聞く力を高める方法はありますか? (30代・男性) A1 「聞く」ではなく「聴く」 「きく」という言葉については、「聞く」と「聴く」があります。仏さまのお話を聞かせていただく際にはこの「きく」の言葉を二つつなげて「聴聞(ちょう

犬の供養に鐘をついた男【多田修の落語寺・天王寺詣り】

 ある男が、お彼岸に四天王寺(通称は天王寺)で亡き人の供養をすると功徳があり「天王寺の鐘をつくと十万億土(無数の世界)に響く」と話します。それを聞いた男は「うちは近くなのに聞こえない」と返します。とにかく、聞いた男の飼っていた犬の供養、ついでに父親の供養もするために、2人で四天王寺へ出かけます。寺で鐘の音を聞くと、それが愛犬のうなり声に聞こえてきました。僧侶は、犬の供養と聞いて不審に思いながら、受け付けます。男が供養の鐘をついた時に思ったことは?  四天王寺は聖徳太子が開い

「満」や「密」な状況がもたらす、濃厚な時間もある

 このゴールデンウィークに、浅草に行く機会がありました。久しぶりに行動制限の無い大型連休ということで、混んでいるであろうことは間違いない。覚悟をして行ったら、やはり浅草は人また人で、食べ物屋さんなども大繁盛です。    様々なお店の前に行列ができていたり、「ただいま満席です」という札がかかっていたり。コインパーキングにも軒並み、「満」のサインが出ています。    そんな浅草の街を歩きながら、私は「満という字を、久しぶりに見た気がする……」と思っていたのでした。東京に住む人とい

親鸞聖人の『歎異抄』を英語で読んでみた

●『歎異抄』序【英文】 A Record in Lame Lament of Divergences, Preface As I humbly reflect on the past [when the late Master was alive] and the present in my foolish mind, I cannot but lament the divergences from the true shinjin that he conveyed by s

人は理解できないものを恐れ、遠ざける。僧侶が読み解く『こちらあみ子』

「仏教と関わりがある映画」や「深読みすれば仏教的な映画」などを〝仏教シネマ〟と称して取り上げていくコラムです。気軽にお読みください。 第97回「こちらあみ子」森井勇佑監督 2022年日本作品  この映画の公式サイトにあるあらすじにはこうあります。「あみ子はちょっと風変わりな女の子。優しいお父さん、いっしょに遊んでくれるお兄ちゃん、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいるお母さん、憧れの同級生のり君、たくさんの人に見守られながら元気いっぱいに過ごしていた。だが……」  

築地本願寺で50年に1度行われる“大きなお祭り”、知ってますか?―築地本願寺鼎談―

4月26日(金)から、4日間に渡って築地本願寺で開催される親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要。そこで今回、築地本願寺総代・中村弘奉讃会会長、圓正寺住職の倉澤豊明慶讃法要委員会委員長、築地本願寺の中尾史峰宗務長の3人による鼎談を実施。本法要にかける想いを伺いました。 50年に1度の慶讃法要。その魅力とは? ――4月26日から築地本願寺では親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要が行われます。まずは、みなさんが考える同法要の魅力について教えてください。

「あげる」行為は楽しいが、時に暴力的でもある。

 近所のおばあさんの家に行くと、いつも必ず、持っていった物以上の何かを持たせてくれようとするのでした。「これをあげる」「あれも持ってく?」と、お菓子やら自分が作ったお惣菜やらを、絞り出すかのようにこちらに渡してくれるのです。    私はそれを有難くいただき、また「何かお返しを」ということになって……と贈&答の無限ループが続くのですが、まぁご近所づきあいというのは、そういうものなのでしょう。  物をいただくのは、嬉しいものです。センスの良い人からの、センスの良いプレゼント。地

未来が見えなくても、大丈夫【眠れない夜に効く、仏さまの話】

わからぬ方向に進むのが、私たちの本当の姿  年が改まって、早三ヶ月が経ちました。新年を迎えるにあたり、誰もが良い年でありますようにと願って新年を迎えたことでしょう。しかし、元日に能登半島地震が起こり、そして翌日には、羽田空港で航空機衝突事故が起こり、何が起こるかわからないことを実感しました。  昨年暮れ頃から考えていることがありました。ある方からこんな話を聞きました。「前後」「サキ・アト」という言葉の意味についてです。  前(サキ)はどっちと言われれば目の前を指します。後

この“ヤバい日本”で、私たちはどう生きたらいい?【仏教で答える悩み相談34】

人の数だけ、悩みは尽きぬもの。皆さまから寄せられた悩みに、お坊さんや仏教関係者たちが答えます。 今月のお悩み Q 最近「日本がヤバい」というニュースばかりで、自分が大人になった頃の日本の未来が不安です。希望のない時代にどうやって生きていけばよいか教えてください。 (10代・男性) A1  そもそも希望などない  確かに「日本がヤバい」ですね。日本に限らず世界中でも戦争や貧困など悲しいニュースばかりです。「世界がヤバい」。  さて、仏教では煩悩を抱えた私たちが生きる世