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映画館で爆睡して…(#映画にまつわる思い出)

今から20年くらい前、当時付き合っていた彼女と、有楽町マリオンの中の映画館によく行った。

私は茨城県つくば市、彼女さんは東京。まだつくばエクスプレスが開業前で、私はいつも東京駅行きの高速バスを使っていた。つくばセンターから東京駅まで、渋滞がなければ常磐道と首都高を走って約80~90分くらい。当時「陸の孤島」と言われたつくば市も、何だかんだ言って90分で東京に行けるんだから、そんなに不便ではなかった。
(渋滞すると最悪だが…)

待ち合わせは有楽町マリオンの、あの大きな時計の下で、私はいつも30分以上前に来て、映画のチケットを2枚買う。そして何となく隣の銀座をウロウロしながら時間を潰す。「やっぱり銀座を歩いている人達は雰囲気が違うなぁ」と、どうでもいいことを考えながら。

まだスマートフォンなんてシロモノは出ておらず、携帯電話は「iモード」という、短いメールの送受信や天気、乗換案内などのちょっとしたサービスだけで、あまり時間を潰すためのツールではなかった。

今思えば、それで十分だったのかもしれない。スマートフォンは、ハッキリ言って通話機能が「おまけ」になっている。

東京の専門学校に通っていたものの、基本的に田舎者の私はまだまだ東京に対して抵抗があり、「東京は怖いところ」という先入観と偏見がどうしても抜けなかった。
特に渋谷、新宿、池袋なんて、「警視庁密着24時」みたいなテレビ番組の影響で、私の中では映画「バットマン」のゴッサムシティと同じだった。

しかし、銀座だけはあまり抵抗がなく、山野楽器の銀座本店にふらふらと行くことも多かった。

待ち合わせの10分くらい前になると、遠くからチラチラと時計の下を見る。彼女さんの姿が見えたら、「俺もさっき来たところだよ」と、ハリウッドもビックリの下手な演技でチケットを渡す。

ああ……楽しかったなぁ。(遠い目)

ある時、映画を見ながら盛大に爆睡したことがあった。「ねぇねぇ」と肩を揺すられて起きると、もう映画は終わって、観客はほとんどいない状態。

「さすがにこれは……」

恐る恐る彼女さんを見ると、彼女さんは「ふふ」っと笑って「何か食べに行こう」と言った。

私が最も鮮明に覚えている、最高の映画館の思い出。

そういうのも、いいんじゃない?


こちらのお題企画への応募用です。


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