シネマのように 第4話|連載小説
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目を開けると、予想通り夜明け前だった。のそのそとベッドから起き上がって窓を開けると、11月の冷えた空気と風が部屋に侵入して来た。西の空から少しずつオレンジ色が広がっている。もう少しで太陽が昇るだろう。最近の中ではよく眠れた方だ。
ふと、風に混じって電車の音が聞こえた。敏明にプロポーズされた、あの夜と同じだ。ただ、あの時は私に幸せを運んで来てくれる福音に思えた電車の音が、今は地獄からの出迎えのように感じる。
――いっそ私をどこかへ連れて行け。ここじ