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社会人になって女性研究者割合の数字目標に対する考えが変わった話

みなさま、おはようございます。つくしです。
最近はnoteで募集しているお題について執筆するのが楽しくなってきました。本日は、 #国際女性デーによせて というお題について、思うところを書かせていただきます。

本文3行サマリ

● 博士課程時代、研究者の道を選ぶと女性研究者割合の数字目標がついて回り、純粋な研究成果で認められないのではないかと憤った
● 仕事をしていく中で、数字目標というものがわかりやすく、そしてたくさんの人を巻き込みやすいものだと気づけた
● 数字目標は推進者の大きな後ろ盾になるが、なぜやるのかという「理由」と巻き込まれる側との「対話」も必要だと思った

女性研究者割合に対する数字目標への憤り

わたしは高校時代、部活動がきっかけで研究者の道を志すようになり、研究室配属後、「絶対にDC1を取ってやる」という気迫で研究に取り組みました。ここで、DC1について簡単に触れますと、日本学術振興会の特別研究員制度のポジションの1つで、多くの博士課程進学を志望する学生が憧れるものです。研究の頑張りが報われ、無事にDC1に採択されました。

ところが、DC1を取れなかったある男性から、「女性だからDC1になれたんだろ」と言われたんです。

友達が同じことを言われてたら「やっかみだよ、気にすることないよ」と言ってたと思います。でも、自分自身に対しては言ってあげられませんでした。研究者といった、これまで男性がメインだった職業に対して、女性の割合を増やしていくことを国が推進しているのも事実だったからです。女性だからDC1になれたのかもしれない。完全には否定しきれない言葉が、わたしの心を抉りました。

そのことがきっかけで「女性研究者割合を〇〇%にする」という目標に憤りを感じるようになりました。数字目標を掲げられてしまったら、純粋に研究成果で認められているのかどうかわからない。強くそう思いました。研究者になる道を選ぶことは、ずっと女性研究者割合の数字目標がついて回るのだと感じられ、その気持ちは博士後期課程退学に拍車を駆けました。

仕事で気づいた数字目標の利点

博士後期課程退学後からちょうど今年の4月で、社会人丸5年になります。
現在は、セキュリティ室でサイバーセキュリティに関する業務に従事しており、様々な開発部門と関わる機会が多いです。とくに、自社製品の検査をおこない「セキュリティリスクのあるものが検出されたので、規程期間内に修正してください」という交渉をよくしています。わたしはこの仕事をしていく中で、数字目標の利点に気づくことができました。

それは、どんな人でもすぐに理解でき、動くことができるということです。わたしの仕事で考えますと「規程期間内に修正してください」の「規程期間」が数字目標に該当します。

例えば、セキュリティリスクを高・中・小でレベル分けしていて、それぞれ2週間・3ヵ月・6ヶ月が規程期間だとしましょう。自社製品Aの検査を実施した結果、高のセキュリティリスクが見つかりました。早速Aの開発部門の皆さんに「高のセキュリティリスクが見つかりましたので、2週間以内に修正してください」と伝えたとします。

ここで、規程期間がなかったらどうでしょうか。「高のセキュリティリスクが見つかりましたので、修正してください」と伝えた場合、「いつまでに修正するべきか」が理解できない人が出てきてしまいます。セキュリティリスクに詳しいエンジニアの方であれば「これは危険だからすぐに取りかかろう」と判断するかもしれませんが、詳しくないエンジニアの方の場合はそうではありません。

「2週間以内」という数字目標があることで、どんなエンジニアの方でも「これだけ短い期間に修正しなければいけないのだから危険なんだな。すぐに取りかかろう」と行動できるようになります。

数字目標には「理由」と「対話」も必要

仕事での実体験から、数字目標に対する思いが劇的に変わりました。
たくさんの人を巻き込み、スピード感を持って推進しなければならない状況下において、数字目標は推進者の大きな後ろ盾になります。

博士後期課程時代のわたしは「巻き込まれる側」でしたので「推進者側」の気持ちを汲み取ることができませんでした。プライドとナイーブの塊のような自己中心的な人間でしたので、今思うと、相手の視点で物事を考えられなかったなぁと恥ずかしい気持ちになります。

社会人5年目のわたしは「推進者側」となり、規程期間という数字目標を大いに活用して仕事をしています。とはいえ、博士後期課程時代の反省を活かし、相手の視点で物事を考えることも必要です。「巻き込まれる側」は数字目標だけを掲げられたらどんな風に思うか?そこを忘れてはいけません。

数字目標の裏には、なぜやるのかという「理由」があります。わたしはできる限り、「お客様に安心安全を届けたいから」「より良い自社製品を作りたいから」という理由も含めてエンジニアの皆さんに伝えるように心がけています。

また、一方的に交渉することはやめて、エンジニアの皆さんとの「対話」も重視しています。先述した例え話で言いますと「高のセキュリティリスクが見つかりましたので、2週間以内に修正してください」とお伝えした際に、エンジニアの皆さんの観点もお伺いし、数字目標を改良しています。

さいごに

女性研究者割合に関しても数字目標の裏には理由があり、熱い思いを持って推進している方々がいらっしゃることでしょう。
数字目標だけが先行しないように、なぜやるのかという「理由」の積極的な発信や巻き込まれる側との「対話」というのも併せて行っていただけたら、女性研究者の割合を増やす活動がよりよいものになると思いました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

#国際女性デーによせて

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