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Fastly システム障害とその他雑感:「超」メモ実践

つい先日(2021年6月8日)の19時ごろ、野口悠紀雄の「「超」メモ革命」をちょうど読んでいたところで、BGMを流していた Spotify の動作が重くなり、うまく楽曲の再生もできないし画像もロードできない事態になった。

ちょうどこの前後に、note の記事も画像がうまく読み込めなくなるなど影響が出ていたので、みなさんの中でも「アレ?」と気が付いた方がおられるかもしれない。

最初は note や spotify などがいっせいに似た様な感覚の症状でうまく動作しなくなったので、こちら側の問題かと思った。ブラウザもまた重たくなったみたいだし、仕方ないね Let's note いいマシンだし愛しているけど、もう古いしな、今年の夏を越せるかな(*1)、とブツブツ言いながら再起動を2-3度しても改善されないし、それどころかますますひどくなる。

調べてみると、なんとやっぱり、システム障害。しかも、CDNサービスを提供する会社のトラブルらしく、広範囲に影響が出たらしい。


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障害の原因そのものは1時間ほどで特定され対策はとられたようで、サイトによって影響度合いは様々だったようだが、利用しているSpotifyは翌日9日の19時半まで 100% 完全復旧とはいかなかった。経過をFaebookに逐次アップしたので注記(*1)に転載しておく。

そのころ、ちょうど野口悠紀雄の「「超」メモ革命」を読んでいたところだったので、ちょっとツボだった。そういえば去年の12月末には Googleでの障害があって、このときも1時間ほどで復旧した。

これからもちょくちょくこういうことは起こるだろうし、発生頻度やダウンタイムはある程度予測できるとも言えるので、「超」メモ+「超」アーカイブや、類似のシステムを自分の仕事や趣味で利用している人は事前に備えてオンライン環境だけでなく、オフライン環境もうまく整えておくのがよいだろう。

「超」メモ革命について、内容はかなり詳しいところまで、note でも公開されているようなので、そちらを参照いただけるといいだろう。

また、ご本人およびご本人のマガジンを note でフォローしておけば関連の情報はどんどん入手できる。

なお、本はこちらだ。最近はKindle版で買うのがほとんどだが、この手のハウツーは一覧性のよいほうがよいかな、と思って紙の本を買った。


私の場合は、google documentではなくて、個人用途では利用しているツールやサービスはEvernote、Dynalistや Scrapbox 、Office tool は Microsoft のOfffice 365 など 、あとは、Facebook とこの note も便利に使っている。そのように分散してはいるけれど、本書に書いてあることのほとんどは、仕事でもプライベートでも、すでに運用している。

悩みの種は、いろいろ詰め込んだ情報やメモ、アイディアの切れ端など、それらを簡単にもれなく結びつける効率的な方法を編み出したい、ということだ。リンクを張り巡らし、アーカイブを作り、ということは、適切な検索語やリンクするキーワードなどを問題意識に従ってうまく選んで設定する必要がある。面倒くさがらずにこまめに実施する必要もあるし、問題意識も時とともに変わるから適宜見直してメンテする必要がある。さらにそのたびごとにメモやアーカイブそのものも繰り直してメンテする必要がある。もちろん、完璧でなくてもよいわけだが、不意に必要になったときに瞬時に確実に引き出そうと思ったら完璧に近くしておく必要がある。だいたい、ちょっとサボったものに限って急いで探す羽目になり、迷子になって見つからなくなったりするものだ。

「完璧」と「ほぼ完璧」の間には超えがたい壁がある。

最近の人はタグを便利に使っていて「リンクって何?」という人も多いくらいかもしれない。しかし、必要な情報へ必要な時にアクセスしたい、おそらく別人になっている未来の自分が使えるようにしたい、思わぬアイディア間の関連に出会いたい、といったようなことを考えたときには、タグにしても体系を構築してメンテしないとうまく機能しないことは同様だ。

まずはやってみることが大事、必要に応じて修正しながら構築していくのがよい、とは言うものの、適当にタグをつけて10000を超えるメモが出来たとして、やっぱりタグの体系がイマイチだよね、と思って全部つけ直そうと思ったら途方に暮れる。

が、やはりそこは、完璧にこだわらずに、でも、工夫して頑張るしかない、ということなのだろう、本書は面白く読了したものの、この点では、かなりの肩透かし感が残った。

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もう一つの私の悩みは、情報やアイディアのインプット方法だ。スマートフォンをうまく活用したいと思っているけれど、やはり、どうしてもPCからの入力に頼ってしまう。野口悠紀雄はスマートフォンを使いこなしていて、写真を使った入力や、とくに音声入力を使いこなしているようだ。

領収書や、契約書のたぐいは写真にとってどんどん Google documentやEvernoteに放り込んでいくのは便利だ。蓄え先を意識せずに実施している人も多いだろう。また、手書きのノートにとりあえずメモして写真をとって入力、というは悪くない。写真の中の文字を認識して文字起しもある程度できる。だが、私は世紀の悪筆のせいか、一向に慣れずに習慣にならない。そういえば、タブレットで手書き入力を使いこなしている人も以前からよく見かける。このような方法は議事メモ作成にも使えるし便利そうだ。また、電子メモパッドもよさそうだ。

いずれにしても、なんだかんだ試してみても、結局、使い慣れたPCを使ってキーボードで入力という自分のコンフォートゾーンを抜けることができない。

今、試しに、音声で Evernoteに入力してみた。たしかにスマートフォンで小さいキーボードをタップするよりは入力しやすい。だけど、結局アプリを起動し、入力キーボードを表示させ、音声入力ボタンをタップして有効にする、という手続きが必要だし、ゆっくりとなるべく明瞭な発音で話し、ちゃんと入力できたかな、と確認しながら、というのではキーボードと変わらないし、実際には入力している時間よりも合間に考えたり言葉を探す時間のほうが長かったりするのでイマイチ有効性を感じなかった。

ただ、面白い夢を見たから忘れないうちにすぐに記録しておこう、などと暗闇の布団の中で入力するにはいいかもしれないと思った。

思いついた言葉が泉のように口から出てくるなら、アプリとマイクをオンにしっぱなしにしておいて、それを常にキャプチャするようにしておけば非常に有効だと思うが、どうだろう。しかし、この場合は、後から有効な情報を切り出してタグ付して整理して、という努力が膨大になりそうだ。

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そういえば、P.K.ディックの「テレポートされざるもの」にそんな装置が出てくる。

神秘的な才能を持つ稀に見る天才で予知能力のある若者グレゴリー・グロックは実験室の中に閉じ込められている。様々な情報機関からあがってくる情報が音声によってイヤフォン経由でグロックに入力され、そして、彼の発する言葉はすべて音声受信機によって捉えられ記憶回路に集積されていくのだ。つまり、グロックの頭脳は、情報処理・分析および戦略・戦術の立案装置となっているのだ。

いつのころからか、情報には巧みにノイズ情報が干渉するようになり、グロックは次第に精神を病み、時間の感覚を失って動作が遅くなり、ついには機能しなくなる。

私達も世界中のコンピュータ網の中に、スマートフォンやPCという端末を通じて、知らず知らずのうちに、グロックのように組み込まれているのかもしれない。


さて、知的生産の流れを考えると、探索、入力、蓄積、分類と整理・関連付け、アイディアの仕込み・熟成・テイスティング・刈取り・固定、ドラフト、編集、出力、といったプロセスがある。ときには行ったり来たりするだろう各プロセスにおいて、またプロセス間の連携において、手段とツール、すなわちデバイスやアプリがそれぞれ整合してバランスがとれていないと、労力ばかりかかって思うようにアウトプットを出せない、ということになるのだろう。そこで大事となるのは、軸となる自身のコンセプト・問題意識ということになるだろう。

「超」メモ革命は、入力と蓄積、そして分類・整理といったプロセスで使用するツールについて、クラウドサービスとスマートフォンを活用しましょう、ということがメインの内容だ。参考になるところも多いだろう。

ツールの問題は、慣れの問題が大きいとは思う。遅ればせながら、今年の 2nd Halfは音声入力を積極的に使うようにしてみようと思う。


散漫になったが、長くなったし、このくらいにしておこう。

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■注記

(*1) 本文中に引用した Googleシステム障害にからめた記事で個人所有の愛機を買い替えようか悩んでいると書いたが、結局、今年一年はまだ使い続けようと決めた。けれども、6月に入って気温が上がってきたせいか、あまりに頻繁に発熱によるダウンを経験したので、つい昨日、冷却ファンつきのスタンドを購入した。今のところ効果があるように思えるが、どうだろう。OSやブラウザ、そしてアプリもどんどん重たくなってきたようだけれど、この夏を、なんとか乗り切ってほしい。

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このシーズンはワインスプリッツァー。シャルドネを炭酸で割ってレモン搾って氷を浮かせてスッキリ。


(*2) 

顛末はこちらが詳しい。
[2021/6/9 IT Media News] Fastlyの大規模障害、原因はソフトウェアのバグ 提供会社が説明
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2106/09/news158.html

もう一つ
[2021/6/12 WIRED] 「知られざる企業」で起きたシステム障害は、こうして世界中でネットワークを“停止”させた
https://wired.jp/2021/06/12/fastly-cdn-internet-outages-2021/

経緯をFacebookにメモしていたので、ちょっと追記して転載しておこう。時系列降順。

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[2021/6/9 Reuters] コラム:米クラウド会社の障害、ネット利用者への注意喚起にhttps://jp.reuters.com/article/breakingviews-fastly-outage-idJPKCN2DL09Y

追記 2021/6/9 20:45
おお、今見たら、Spotifyようやく全部復旧した。やはりまるまる一日ちょいかかった。

追記 2021/6/9
AM2時前だったか寝る前は改善されつつありながら、まだ多くの画像読み込みに問題が残っていたが、朝起きたらほぼOK。ほぼ、というのは"Release Rader"(私がフォローしているミュージシャン関連でその週にリリースされた最新楽曲を自動でリストして週いちで配信してくれるかなり気に入っている play list)のアイコンだけが読み込めていない状況で、これは夜19時すぎになっても解消できず。

追記 2021/6/8 23:01 FastlyのCDNのトラブルということで、日経の電子版にも影響が出ていたらしい。CDNって何、と思っていたら、その日経に簡単に解説してあった。
「CDNは利用者の近くである「エッジ」に動画や画像などの大容量データを配置し、そこにアクセスさせることによって本来のサイトに接続するよりも短時間で表示できるようにしている。」
・・・なるほど、それで、こういう症状なのか。

[2021/6/8 Nikkei] 世界のサイトで大規模障害 NYタイムズや日経電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC08C8K0Y1A600C2000000/

追記 2021/6/8 22:40 楽曲の再生は問題ないけど、アイコンなど画像のロードとかが一部うまくいかない様子、まだ完全復旧していない。

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追記 2021/6/8 21:45 NHK NEWS WEBでもニュース。企業のサービスだけでなく官公庁にも影響。・・環境省や金融庁で午後7時ごろからおよそ1時間にわたってホームページがつながりにくくなったらしい。へぇ。
[2021/6/8 NHK]世界各地でウェブサイトに障害 国内でも影響相次ぐ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210608/k10013074791000.html

追記 2021/6/8 21:26 まだ影響があるけど、復旧してきたっぽい。楽曲の再生は普通になった。

※ note もこれが原因だったもよう。



追記 2021/6/8 20:35: 問題が特定されて復旧中らしい。私への影響はSpotify ぐらい、とはいえ、動くべきものがちゃんと動かない、という状態はそれなりにストレスだ。

2021/6/8
1時間ほどダウンしてたみたい?
[2021/6/8 20:06 Reuters] SNSやニュースサイトなどで障害、米クラウド会社で問題発生の可能性
https://jp.reuters.com/article/amazon-com-outages-idJPKCN2DK12Y

2021/6/8
障害の範囲がメチャメチャ広い。
[2021/6/8 Tech Crunch] 【更新】FastlyのCDN障害でSpotify、GitHub、CNNなどがダウン
https://jp.techcrunch.com/2021/06/08/2021-06-08-numerous-popular-websites-are-facing-an-outage/
「Reddit、Spotify、Twitch、Stack Overflow、GitHub、gov.uk、Hulu、HBO Max、Quora、PayPal、Vimeo、Shopify、Stripeをはじめとした無数の人気ウェブサイトや、ニュース配信サイトのCNN、The Guardian、The New York Times、BBC、Financial Timesなど」 ・・・gov.uk!!

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