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Heavy Rotation

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好きでよく聴いているミュージシャンを紹介。ほとんど自分のためのメモかもしれないけれど。 耳もあまりよくないし、知識も少ない、語彙力もない、なので、基本YouTubeやSpotif… もっと読む
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記事一覧

Paul Simon "Paul Simon"

1970年の "Bridge Over Troubled Water" 「明日に架ける橋」の大ヒットを残しながら S&G を解消し、ポール・サイモンとアート・ガーファンクルはそれぞれの道を歩むことになった。ポール・サイモンは2年後の1972年に、自身の名を冠したソロ・アルバムをリリースした。 当時のS&Gのファンの人がどのような期待をもってポール・サイモンのソロ・アルバムを手にしたのか、聴いてからどのような感想をもったのか、そのへんのところは私にはよくわからない。それまでの

ヴァリジャシュリー・ヴェヌゴパル: Varijashree Venugopal "Dream"

インドの女性シンガーソングライター、ヴァリジャシュリー・ヴェヌゴパルのことを知ったのは今年に入ってからだと思う(*1)。これまで知らなかったのは迂闊であった。つい最近にシングルが3枚ほど立て続けにリリースされて聴き惚れて、あまりに素晴らしいミュージシャンだとこの数週間よく聴いている。5月10日にアルバム "Vari" がリリースされるらしく、その先行シングルということだろう。 [2024/5/11 追記] まずは "Ranjani" バンジョーとシンセ、そしてインドの打楽

ジュリアン・ラージ:Julian Lage "Speak To Me"

現代のジャズ・ギタリストの最高峰とも呼ばれるジュリアン・ラージ (Julian Lage)。今年、ついこの間、新しいアルバム "Speak to Me" がリリースされた。 少し不思議な感じを残す2分ほどの小品 "Hymnal" からスタート。アルバム全体のイントロといった感じだ。続いて明るい勢いのあるギターのシャッフルから始まる "Northern Shuffle" 、ピアノとドラムスがリズムをきざみ、楽しいギターのソロ演奏がいい。目立たないが効果的に入るサックスとキーボ

ノラ・ジョーンズ:Norah Jones "Visions"

今年の3月の初めにノラ・ジョーンズがアルバム "Visions" をリリースした。 去年から Pod Cast でいろいろなミュージシャンとの共演を配信したり、年末にはアイスランドの新進女性ボーカル・レイヴェイとのクリスマスソングをリリースしたりして耳にする機会が増えてきた。ただそれだけに単独のアルバムはまだまだ先なのだろうな、となんとなく思っていて、このアルバムがリリースされたときは少々驚いた。 どちらかというと力が抜けた感じの12曲でトータル45分、シンプルで軽めのア

Paul Simon: Simon &Garfunkel "Bridge Over Troubled Water"

"Bridge Over Troubled Water" 「明日に架ける橋」は、あまりに有名なタイトル曲と "El Condor Pasa (If I Could)" 「コンドルは飛んで行く」、 "The Boxer" 、コミカルな "Cecilia" などのヒット曲の他、佳曲が揃っており、全曲が丁寧に作りこまれ、S&G の様々なスタイルを網羅しつつ、アルバム全体の統一感もある素晴らしい出来のアルバムになっている。 このアルバムは、S&Gのいいところを総合して余すところなく

ブイカ:Buika "Mi niña Lola"

先々週に、オフェル・ロネンとララ・タマルのアルバム "Duo Andalus" について記事にした。 このアルバムで特に印象に残った一曲が、"Mi niña Lola" だった。聞き覚えがあったからかどうか、気になってふと調べてみると、スペインはマヨルカ島出身の女性歌手コンチャ・ブイカ(Concha Buika)の歌だった。 これは驚いた。これほど素晴らしい歌手を知らなかっただなんて。 この曲は、2006年リリースのアルバム "Mi niña Lola" のタイトルトラッ

オフェル・ロネン & ララ・タマル:Ofer Ronen & Lala Tamar "Duo Andalus"

イスラエル出身でスペインを拠点に活動しているオフェル・ロネンが、イスラエルの女性歌手ララ・タマルとアルバム "Duo Andalus" をリリースした。この2人はだいぶん前からデュオで活動しているようで、以前からYouTube の動画でいろいろ視聴していた。だから聞き覚えのある曲も含まれるが、改めて新鮮で何度も聴いた。 フラメンコギターとフラメンコのリズム、そしてモロッコの音楽、そしてララ・タマルの歌唱力が溢れる中東のメロディと歌、これらが融合してとても面白い音楽になってい

Paul Simon: Simon &Garfunkel 1968 "Bookends"

S&Gのアルバムは、サウンドトラックの "The Graduate", ベスト盤の "Greatest Hits" を除くと 5枚しかない。 "Wednesday Morning, 3AM" (1964年) "Sounds of Silence" (1966年) "Parsley, Sage, Rosemary and Thyme," (1966年) "Bookends" (1968年) "Bridge Over Troubled Water" (1970年) 前回、この

グレッチェン・パーラト: Gretchen Parlato "Lean In"

去年の年末、ジャズ・ボーカリストのグレッチェン・パーラトの新しいアルバム "Lean In" がリリースされた。 ギターとボーカルのリオネール・ルエケ、意外な組み合わせだと最初思ったが聴いてみると素晴らしく息の合った演奏で驚いた。調べてみると 2001年に入学したThelonious Monk Institute of Jazz の同窓で、お互いに認め合い影響を与え合ってきた仲だという。 ネットで検索してみたら、note記事でグレッチェン・パーラトのインタビューがあがって

アダ・ロヴァッティ:Ada Rovatti "The Hidden World of Piloo"

イタリアのテナーサックス、アダ・ロヴァッティを知ったのは、Brecker Brothers Reunion Bandを聴いてのことだった。そこでテナーサックスをブリブリ吹いているのがアダ・ロヴァッティだった。トランペットのランディ・ブレッカーの奥さんだ。 ランディのソロのあと、3'34"あたりから4'30"までが彼女のソロで、そのあと 6'21"あたりまで、引き続きランディとアダと交互に掛け合いでソロをとる。二人のインタープレイがいい。そのあとのマイク・スターンの疾走感あふ

Paul Simon: Simon &Garfunkel 1964 - 1966 ”The Sound of Silence"

S&Gのアルバムは、サウンドトラックの"The Graduate", ベスト盤の "Greatest Hits" を除くと 5枚しかない。 "Wednesday Morning, 3AM" (1964年) "Sounds of Silence" (1966年) "Parsley, Sage, Rosemary and Thyme," (1966年) "Bookends" (1968年) "Bridge Over Troubled Water" (1970年) 今回は、こ

アリィ・ケイタ:Aly Keïta "Kalan Teban"

つい最近、ひょんなことからアフリカはコートジボワール出身、バラフォン奏者の Aly Keïta (アリィ・ケイタ) を知った。2020年のアルバム "Kalan Teban" を聴いてみよう。 Jan Galgen Brönnimann (B-cl, S-sax, ..) と Lucas Niggli (ds, perc) との異色のトリオだが、軽快でリズミカル、心地よいアンサンブルで楽しく聴ける。思えば、木琴に木管という柔らかい音の組み合わせは自然なのかもしれない。 こ

エンカルナ・アニージョ:Encarna Anillo "Nací Canción"

エンカルナ・アニージョのアルバム "Barcas de Plata" (バルカス・デ・プラタ) が Spotify に昨年上がった。 1曲目はアレグリア、"En Cai, La Lola" (カディスのラ・ローラ)、明るくテンポのいいフラメンコで、観客も楽しく手拍子打ちながら一緒に踊ったりするのではないだろうか。そんな明るい広場を想像する。 9曲目の "Barcas de Plata" (銀のボート) もアレグリアで、これがアルバムのタイトル曲だ。他にブレリアが3曲、ソレ

Paul Simon "The Paul Simon Song Book"

1981年のサイモン&ガーファンクルの再結成コンサートについては、前回、アルバム"Hearts and Bones" を取り上げたときに書いた。 S&Gの名曲といえば、まずあがるのが "The Sound of Silence"だろう。「映画「卒業」で使われた」というのが枕詞のように使われるし、多くのミュージシャンがカバーしているし、親しみやすいメロディと印象的なギターのイントロのフレーズで、多くの人が知っている名曲だろう。もちろん、ポール・サイモンの作詞作曲で、1964年