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220510 マルセイユにて。Ⅰ ~初めてのマルセイユ、念願のマルセイユ美術館~

 記憶が色褪せないうちに。



 数日前、知人から「マルセイユ近郊に用事が生じたが、あなたが望むのであれば中心市街地まで帯同することもできる」という旨の誘いを受けた。間髪入れずに私の口から飛び出た回答は... “Why not?”


 滞在中のマノスクから車で1時間強、エクス=アン=プロヴァンスを越えて少し南下したところに、フランス最大の港湾都市・マルセイユはある。

記念すべき、マルセイユでの1枚目。

 ここ数日というもの、生憎の雨が続いていたが、この日は運良く快晴。
 前日に散々「マルセイユは治安が悪い」「ひったくりとスリにはとにかく気をつけて」と聞かされていた私は、写真を1枚撮るのにも警戒を許さない。バッグの奥底から素早くスマホを取り出し、バッグをお腹にギュッと抱えた姿勢で適当にシャッターを切り、また素早くバッグの奥底にスマホを突っ込む。側から見た様相は犯罪者か不審者のそれであったことだろう。

サン・シャルル駅から見下ろす、マルセイユの街。

 日本を代表する大都会から来たはずの私だが、フランス第2の都市とも呼び声高いマルセイユの街を前に、それはそれは恐れ慄く。
 怖いから、とりあえずお目当ての美術館へと直行。

ある意味では絶好の美術館日和。

 巨大な噴水を有するこちらの建物、名をロンシャン宮といい、元は、水不足解消を目的として19世紀に建設された給水施設なのだとか。
 宮殿の左翼にお目当てのマルセイユ美術館が、右翼にはマルセイユ自然史博物館があるのだが、それにしても壮観である。

最近2日に1度の頻度で虹を目にする、まさに小確幸。

 予備知識皆無で臨んだが故、美術館の入口すら分からず、芝生の上で優雅にピクニックをする若者を横目に右往左往。10分ほどして漸く、校外学習で訪れたと思わしき小学生たちを導に辿り着き、入館に成功する。
 フロントでチケットを購入しようとしたところ、スタッフの方は明らかに私用の通話中で、無言でチケットを差し出される。(ん?無料?インターネットでは入場料5€って書いてあったような?でもこのチケットには0€って書いてあるし、他の人たちもお金払わずにチケット受け取ってるし、もしかして今日は無料公開日か何か?大丈夫そう?) ...とか何とか悶々と考えつつチケットとフロントの方とを交互に見つめていると、先ほどのスタッフの方が怪しげな顔で見つめ返してきたため、足早に中へと進む。結局真相は判らずじまいで、今もまだ少しモヤモヤ。

ピント... これで良いのだろうか。

 聞けば、マルセイユで最も古い美術館だそう。フランスからイタリア、スペイン、ポーランドなど、近隣諸国の歴史的に著名な芸術家たちによって創作された、16世紀から19世紀の作品が多数収蔵されている。

2階、風景画ゾーン。

 しかし、注目すべきはそれだけではない。「流石は宮殿」とでも言うべきだろうか。建物自体が芸術作品そのもので、壁を彩る繊細な彫刻の数々は、彫刻の何たるかを知らない私でさえも思わず足を止めて見入ってしまうほどだった。

彫刻作品ゾーンの入口。
2階から1階に降りる階段の踊り場。

 スタッフの方が「フラッシュを焚かなければ自由に写真を撮って良い」と親切に案内してくださったので、特に好きな人物画と静物画を中心に、心置きなく撮影。

この類の絵画、無性に惹かれる。
グラス… 落ちそう… と声が漏れるような、

 その他の写真たちは、こちらから↓


 1時間半ほど堪能し、美術館を後にすると、ちょうど昼時。

良い天気、本当に。

 サングラスを持参しなかった自分を恨み、南仏の日差しを相手に目を細めながら、食事を求めて歩を進める。



 続く。

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