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『SANABI』レビュー

物語の魂が、タイトルに宿っている作品は好きだ。
SANABIにゲームアワードをあげるとしたら、ベストタイトル賞だ。

物語の最序盤で娘を殺したサンナビ。主人公の復讐すべき対象で、マゴ市の人口300万人が一瞬にしてサンナビに消された。そして、サンナビとは個人なのか、組織なのか、はたまた自然災害なのかも言及されない。やり取りや発生した現象から考えると、どうにもハッカーらしき存在だと考えるのが妥当だが、どうも雲をつかむような話が続く。

そして、マゴ市の消えた住民を探るため先遣されていた技術者のマリと出会うことから話は始まる。

今作はワイヤーフックを使って、海腹川背やゼルダの伝説のフックショットを使うようなアクションをスピーディーに、正確に行う高難度アクションである。

ワイヤーアクションも確かに面白いのだが、本作を褒め称えている人はやはりストーリーを絶賛する。
それもそのはず、多少ネタバレになってしまうが、OMORIやUndertaleなど、motherの影響を受けた海外RPGや、ドキドキ文芸部やinscryptionなど、いわゆるドンデン返し系のゲームの系譜そのものである。

ちゃぶ台をひっくり返すようなゲームが面白いのは、絶対にオチが予想できないことが条件であるが、実際にこの手のゲームは情報を小出しにして、肝心な部分をひたすら隠すことがうまいミステリー小説に似ている。

ストーリーはとても秀逸だが、かなり高難度なゲームプレイで、アクション初心者にはとてもじゃないがストーリーを進めることができない部分はある。だが、アクションが苦手でプレイできなくとも、ミステリー小説やちゃぶ台返し系インディーゲームが好きな人はぜひ朱羽美寧の実況配信を見てほしい(宣伝)。


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