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100年の孤独/放哉に想う〈Vol.10〉 御堂の濠の鯉はゆったりと

水の闇が濃くなり行けば赤い灯が

尾崎放哉全句集より

5月の連休に京都へ墓参りに行きました。四条河原町周辺は多くの人でごった返していました。タクシーに乗り一路霊園へ。まちの喧騒は嘘のように眼下に沈み、車は新緑の中を走りました。
御堂のなかの仏壇の前に立ち、花を手向け、ロウソクを灯し、お線香を立てて、在りし日の父母を偲びました――。

放哉は入庵雑記のなかで懺悔文を書いています。
おおよその内容は、「自らの悪行は、すべて過去からの〈むさぼり〉〈いかり〉〈おろかさ〉が原因であり、これらすべては自分自身の行い、言葉、思いから生じているから、そのすべてを懺悔する」というものです。
罪の重荷を背負いつつ、煩悩から逃れることのできない苦しみが放哉にあったように感じます。

御堂の濠の鯉は無数の霊をなぐさめるようにゆったりと泳いでいました。



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