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100年の孤独/放哉に想う〈Vol.9〉  人が人をばかす世に

二人よって狐がばかす話をしてる

尾崎放哉全句集より

放哉の生きた明治・大正期は、いまより迷信を信じた人がたくさんいたんでしょうね。ただ迷信も信じたけど、神仏に対しても信心深かったようです。その態度は、わたしたち現代人よりか、よほど敬虔だったにちがいありません。放哉5歳のときに来日したラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が著した『日本の面影』には、そのことが描かれていたように思います。

西洋の文物が輸入されて以降、科学的な知識やものの見方は徐々に大衆へと広がっていきました。近代化を阻害する要因は一つひとつ消し込まれていきました。そうして迷信も信仰心もすっかり薄まってしまった現代人は、同時に深く孤独を味わうことになったのかもしれません。占いや霊感、パワースポットなどが世の中からなくならないのは、そうしたことの反作用なのでしょうか。
狐がばかす世から人がばかす世へ、いまは大きく変わってしまったように思えてなりません。



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