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100年の孤独/放哉に想う〈Vol.7〉

かぎりなく煙吐き散らし風やまぬ煙突

尾崎放哉全句集より

この句は、全句集のなかで「Ⅱ 俗世の時代」の章にあります。この時代は1915年(大正4年)から23年(大正12年)までを指し、放哉が遁世以前に生きた30歳から38歳までにあたります。年譜によれば、この期間、勤めていた保険会社での降格と退職、活路を求めた先での浮沈、実母の死、自身の発病など大きなうねりのあった年月だったようです。
かぎりなく煙吐き散らし――近代化に沸き立つ当時、放哉がどこかで目にした製錬所の風景だったのかもしれません。



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