見出し画像

箸のたわむも味わいのうち。

私がよくいく「まいどおおきに食堂」
の箸はたわむ。

ぐいん、ぐいんと折れそうだけど
折れるまではいかない。

まるで学食の箸を思い出す。
学食といえばコスト削減の鬼だ。
あちらこちらに工夫がなされていた。
私が経営学部の学生だったのとは関係ない
みんなそう思っていたはず。

その学食は220円位で食べれることができた。
味噌汁の具ときたら、
もやしが数本とレタスの切れはしが何枚かだけ。
味噌汁の椀のなかを箸でたぐって見ても
具にはあたる様子はない。

それでも、おいしいおいしいと
在学中ずっと通い続けた。

今思えはその頃、
学食の味でもその値段でもなく、
友達と話しながらワイワイ話しながら
過ごす昼食の時間そのものが
何よりのご馳走だったのだろう。


では今はどうか。

今日、私はご飯の時間に
巨大な上場企業、
株式会社フジオフードシステムが経営する
全国チェーン「まいどおおきに食堂」に
その雰囲気を感じてしまったのだった。

私がよく行くその店は
近隣に学校が多く、
下宿生も多いと思われる地域性である。

勤務先にある店にも行くが
そことは客層が全然違に
ほぼ8割以上がサラリーマン
と思われる。

その店の店内の雰囲気は
どこか学食というか
民宿の食堂というか
フードコートというか
どこか普段着の気取らない
食風景に溢れている。

わたしにとっては
そのような個人家庭の食堂が
たくさん集まったような風景が
ご馳走であったりする。

店内の客、みんなで一緒に
ごはんを食べている感じがする。

テレビもあって
お決まりのNHKチャンネルである
それもいい。

ニュースや特定の番組を見たい人は
テレビに近い席に座るし、
仲間と話たい人は遠目の席を
選んだりする。

その風景は日々、様々である。

午前中の営業訪問の反省会を兼ねて
食事をするビジネスマン。

クラブ活動を終え
お腹を空かして見るからに
「お昼が楽しみ」という顔を
してにやってくる学生たち。

病院帰りにお昼をゆっくり
過ごす親、子、孫。

いつも初顔であり、
食べたらすぐに退店される
現場職人さんのグループ。

このように
ごはんを食べることで休憩に入る人もいれば
これから後の時間の何かに備えて
ごはんを食べる人もいる

友達との時間の終わりに
食事でしめくくる人たちも見られる。

そんな風景が見てとれる
レストランってあんまりないと思う。


それはなぜなんだろうと考えた。

きっと、メニューが普通だからではないだろうか。
まいどおおきに食堂にも名物というものはあったりするが
実は「玉子焼き」だったりする。

他のメニューも
焼き魚や肉じゃが、酢の物、冷奴、きんぴらごぼう、
ポテトサラダ、唐揚げなどである。

もちろん、ラーメン、カレーだってある。
夏には小鉢ソーメンだって。

とはいえ、普通の家庭料理のメニューの範疇である。
だからそのメニューを食べる人も
食べている店内の時間の流れかたも普通。
つまり自然体なのである。

メニューには
お肉山盛りの・・とか
激辛の・・とか
一目でインパクトのあるものが
ひとつもないのだ。

常にあるのは
炊き立て「釜焚きごはん」
名物焼きたて「玉子焼き」 
くらいである。

それでも、十二分以上においしい。
そのうえ、安心感がある。

いまや、
ここで見られる昭和時代から変わらない
普通の家庭ご飯は
かえって新鮮なのではないか。

そういったことを
考えながら今日もここでご飯を
たべていると

たわむ箸に
味わいを感じたのだった。


最後まで読んだくださり
ありがとうございました。
私は一汁一菜派です。

これからも書くことを
続けます。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?