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獅子舞スカウト

ある夜町の人が訪ねてくる。

あら、中学の同級生のTくんじゃない

Tくんは、ずっとこの町にいて、素敵な奥さんとお子さんとご両親と今では孫までいて、めちゃめちゃいい感じのお父さんになっていて、
そして若い時からずっとこの町で伝統芸能をやっている。

私はこんな祭りがあるって知らなくて、
大人になって、県外から帰省した時に
たまたま目にした夜の麒麟獅子に度肝を抜かれた。

彼はそれを継承してずっとやっているのだが

継承先が・・・

若い子たちがいない、、またはしないで

現在この町在住
自宅大学生である若い男であるしゅん、ロックオンされたみたい(^-^;

Tくんは断られるにしても、しゅんに直に会って話したいと言うし
幼い頃ころから何かと町の行事に参加しているしゅん
更に、しゅんの個人的な「さんぽ友達」であるTくんちのおじいちゃんとの人間関係もあり
彼も無視もできずで、Tくんに会うと言う。

若い子たちにとっては、町の祭りの伝統芸能など面倒くさいだろう。
嫌そう・・・

「獅子舞→ダンス 音楽
神社で沢山の人の前で獅子舞 →ライブ
ってとらえたら、獅子舞の人たちって、アイドルみたいなもんやん、
で、
祭りの日はライブ。めちゃめちゃかっこええやん!! 」
って息子を煽ってみる。

だって、できるものなら私がやってみたけれど
女で、中年・・・
そもそも、、およびでない 
その神事に必要なのは、
高齢化している町の事情の中で必要なのは、男の若者。

Tくんが上手にやわらしく説明してくれたこともあり
私が推したこともあり

しゅんは、しぶしぶ(?)それでも、行けるときには夜の練習に行って
吹けもしないが、笛を担当することになる。

Tくんが上手に教えてくれるだろうという信用もあるんだけど
父性がない我が家にいる大学生の息子が
こんな機会に、地元のおじさんやおじいさんたちのコミュニティーでもまれてくるのも
いい経験かも、、ってちょっと思っている。

Tくんは柔らかく、若い子たちがおじさんたちと遊んでくれたら嬉しいし
町で会ったときに挨拶し合えるようになったら嬉しい とか、ほんと可愛げに言ってくれる。

祭りの前夜に町の通りから始まって、神社で舞う。


神社での獅子舞。

若いメンバーは4人で
それを散らすのではなく、片面に集めて配置。
橙色の美しい衣装を着た若い男の子たちはパフォーマンスをしているアイドルみたいで
ああ、、もうすぐライブだし毎日セブチを見ているところだが
ひょっとしたら、、
アイドルが音楽をし踊る、、その起源は、神事にあったりするのかも、、と思わされる。

そして、その若い子たちの横で、先生みたいに、彼らに寄りそうようにTくんが笛を吹いていて、その画が、、なんか泣きそうになる。

そして、Tくんの、彼らの配置や、モチベーションのあげ方、保護者への気遣い、全てに
すごい 仕事できるっ!!って思う。

ああ、、こんな風に自分もできたら、、って、
自分の会社での態度なんかをめちゃめちゃ振り返ってしまう・・・。

神社での素晴らしいパフォーマンス後
神社で飲み会があったらしく、しゅんが帰ってきたのは深夜だった。

神社は家から超近いのでそんな心配していなかったが、

明日も大学が終わってから、獅子舞に参加すると言っていて、
別にそんなノリノリではないんだけど、
行こうとしているので
Tくんの今回の若い子勧誘仕事の成果をすごく感じる。

それにしても、
私が生まれた町は美しい
と季節が変わる度に思う。

祭り前夜の空。

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