見出し画像

BOOK AND BED

「泊まれる本屋」

そんなコンセプトのホテルに高校生の娘とダブルルームを予約する。

B&Bって
ベッドあんどブレックファーストじゃなかった?

まぁ、どっちでも ここでは眠るだけやしね。
併設されているオシャレな美味しそうな朝ごはんの値段がやたら高い。

大阪一日目梅田で歩き疲れた私たちが心斎橋の飲み屋街を歩いた後の静かな宿は優しかった。
案内された、熊が冬眠するみたいなカーテンの奥のベッドも。
共同で使う白いシャワールームも。気の利いたアメニティーも。
共同スペースの本たちも。

ライブに行きたいための
で、女子高生の娘も泊まるための
そんな宿を探していたが、

ここが想像以上に良かった。

というのが、宿泊客が皆、本好きがベースであろう物静かな人たち、
海外からのバックパッカー
ビジネスパーソンでしょうか、、ぱっりっとした中年の男性たち、女性たち、
私たち同様明日のライブのためにきているCARATたち
全員がなるべく音をたてないように、周りに気を使いながら、快適に過ごしている。

私らなど寝る前はジャージで、共同スペースで漫画を読みまくっているのだが、
新たに入室された人たちが、
私がジャージで眼鏡で漫画を読んでいるものだから、「すみません・・」と
開扉方法とか、洗面の場所とか質問してくる。

浅尾にいお『おかえりぷんぷん』

小山宙哉『宇宙兄弟』

藤本タツキ『チェンソーマン』

読みたくて、読んでなかった作品を私ジャージで読み続ける。

ねっちも共同スペースの位置的にも上の方にある長椅子に腰掛けて本を読んでいる。

この宿泊スペースの広さが絶妙で、
”ここでは決して悪いことはおこらないように”設計されているみたいだった。

まず、フロントから客室の全部が見える。
何があってもなくても、周りの目はあるよ って分かる狭い環境で。
そもそも、わざわざ検索して宿を探す時に本屋の中に泊まりたいと思うような人たちは”うるさい”人たちではないだろうし、

たった2泊だが、

全宿泊客が、静かで、他の人に迷惑にならないように静かにそして、、
ここ重要!!
「自由」に自分の旅を楽しんでいたの。

若い頃だったら、若い外国のバックパッカーに話しかけていたと思う。
窓際で朝食をとっているおばさんと話していたと思う。
でも、今は、軽く会釈して、自分のことをたんたんとする。
(ねっちに、絶対話しかけないでよっ!!と言われていたこともある(^-^;)
で、、その1・2泊を静かに穏やかに本を読んで過ごした夜、それを同じ場所で過ごし
一言もかわさず散り散りになる人たちの旅が良くありますようにって願っていた。

ちなみに
この静かな宿の外はぎらぎらしている繁華街で、
滞在中
中国語と韓国語が飛び交うTAXFREEびドラックストアや
店員さんがみな外国の若い人達というコンビニへ何度も通った。



ライブ当日、CARATは早々に宿を出たみたい。
チェックアウトは11時
洗面所でのねっちの化粧が長い。
日の当たるソファで、スパムが乗っているおにぎりを食べつつ、ホシくんのダンス動画を見る。

噓みたいだ。もうすぐ会える。
ああ、、もう、こんなんめちゃめちゃ楽しい。

「スーツケース、ここに置いておきます」 と、
金髪美人のホテルスタッフさんに一言言ってホテルを出て、地下鉄でドームに向かう。

嘘みたいだ、もうすぐ夢が叶う。
叶って、私はここに帰ってくるのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?