中村朱夏

1991年生まれ。男性。詩書きです。14歳のときから詩を書いてます。LGBTQ+のGで…

中村朱夏

1991年生まれ。男性。詩書きです。14歳のときから詩を書いてます。LGBTQ+のGです。 自分の思ったこと、感じたことその他もろもろを、詩にして綴っていきます。 ※特筆ない限り私の記事はすべて詩です。詩以外のものは【】内にジャンルを記載します。

最近の記事

短詩集 2024.5.16

  夜の雨音 夜の雨音はせつなく 私の心に迫り来る 独り私は横になりつつ 恋人の肌のぬくもりを思い出す…     夜の雨音 II 雨音が 時折ショパンの ピアノ曲を想わせる いとしい音に 聞こえてくる時がある 私はレコードをかける ショパンのワルツがひびきだす     眠られぬ夜 眠られぬ夜の長さよ 私は夢中でペンを走らせる 物思いにしずむことのないように 急ぐように 夢中でペンを走らせている     残った祈り 時に自分が無力に感じ そんな自分に対して怒る時

    • 【散文詩】神話

       雲の上を一隻の船がゆっくりと進む。やがて止まったかと思うと、白い衣を着た天使たちがふわふわと舞い降りてくる。天使たちは私を祈りへと誘う。  私と天使たちが祈っていると、晴れている空がやより一層明るくなり、一陣の温かい風が吹いた。これは主の御声であると私は確信し、確信してすぐに熱くこみ上げてくるものがあり、私は涙せずにはいられなかった。清らかな、美しい涙であった。  空の上には一隻の船が停泊している。天使たちはやさしい笑みを浮かべると、空へ向かって浮遊し始めた。私は散りゆく桜

      • 【散文詩】聖なる朝

         朝━━初夏のよく晴れた朝。私は窓を開けて、朝の空気を部屋の中に誘い込む。少しずつ、澄んだ空気が部屋中に満ちてゆく。  私の部屋は、まるで礼拝堂のように神聖で、清澄な空間となった。澄んだ空気がぴいんと張りつめていて、朝の日差しはそれを照らしていた。何と美しく、聖らかなのだろう。私の心は嬉しさに弾んで、祈りたい気持になった。この敬虔な、あたたかい気持を形にして、いつまでも眺めていたくなって、私はまっすぐな心で詩を書いた。一心不乱に、万年筆を走らせた。  朝━━初夏のよく晴れ

        • 祈りを望む朝

          清澄な 朝の日差しは 散りばめられた宝石のようだ 透きとおった 朝の風は 花々を喜ばせるようにやさしく吹く そんな朝は 私の心を 祈りたい気持で一杯にさせる 私は聖なるものの中に身を置き 疲れてやつれた心を癒したいと思った 祈ることで自らを浄化し 清められた心を紡ぎ ひとつの詩を書いてみたい ああ 清澄な朝の日差しは 風は 私の心を祈りへと誘う 私は戸外へ出て 教会へ向かう (2024.5.6)

        短詩集 2024.5.16

          ギターを弾く恋人

          君はギターを弾いていた そして私に歌をうたってくれた 君のやわらかなその微笑みが 疲れた私の心を癒してくれる 君の弾くギターからは とても優しい 柔和な音がする それは君の心が 優しく 透きとおっているからに違いない 君はふと演奏を止めると 私を抱き寄せ 甘い接吻をした 私はますます君に魅了され 陶酔する そして何事もなかったようにギターを弾く 少しばかりの照れ隠しの微笑み━━ 私の心はとろけるようだった (2024.5.3)

          ギターを弾く恋人

          五月の風

          春から夏へ向かってゆく この季節の風はあたたかでやさしい 愛するひとの胸に抱かれているような それに似た感覚を私に与える 木々は また叢の草は ますます美しい緑色に染まりゆく 花はあでやかな香りをまとい いつまでも美しく 揺れている 春から夏へ向かってゆく このあたたかでやさしい風を 私は愛する━━ 私は夏を待ちながら 浸るように 五月の風を身に浴びる 「もう悲しまなくていいよ」と風はささやく (2024.5.1)

          【童話】奇跡の泉(二、三 1,176字)

          ↑前半はこちら。     二  それからトムはおじいさんと仲良くなって、色々な話をしました。おじいさんは二年まえに目の病気で失明して、それ以来流浪の民となったと言って、自らを嘲笑うように悲しく笑いました。そこでトムはきのう見た夢の話をすると、  「その泉が本当にあるかのう。目が良くなれば、又仕事が出来るのだが」おじいさんはすぐには信じられぬようですが、トムはこの弱りきった友だちを救いたい気持で一杯でした。  「ぼくと一緒に、確かめに行きましょう。夢で見たのとそっくりの森が

          【童話】奇跡の泉(二、三 1,176字)

          【童話】奇跡の泉(一、1,120文字)

              一  それは、或る日の夜のことでした。トムという少年はいつものように夜おそくまで靴づくりを手伝って、家にかえり風呂に入ると、髪をドライヤーで乾かしベッドに入って寝ました。疲れているのですぐに眠りに落ちましたが、その日はとても不思議な夢を見ました。  トムは街外れの森をひとり彷徨っていました。あまりに霧が深いので、トムは道に迷ってしまいました。おまけにとても寒いので、体はがたがたふるえて次第に歩く速度も遅くなりました。  すると森の木々の隙間から、眩しい光が溢れ出てい

          【童話】奇跡の泉(一、1,120文字)

          童話をひとつ書きました😊 分量が多いので、ゆっくりアップしていきます。

          童話をひとつ書きました😊 分量が多いので、ゆっくりアップしていきます。

          或る雨の日に

          雨の日の湿気を帯びた空気 それを 私は愛する 傘の中で何度か深呼吸をして 美味しい空気を肺いっぱいに溜める 忙しい日々の中で忘れていた 季節が また一つ移ろい 夏の足音がかすかにし始めたことを 私は不意に気が付いた これから何が私を待ち受けているだろう そう思うと不安にもなるが どうにか私はやって行くだろう 今までもそうだったように 陽が沈む━━明るさが厚い雲から うっすらと透けて見える 私はもう一度傘の中で深呼吸をする 美味しい空気を肺いっぱいに溜める (2024.

          或る雨の日に

          燃える血

          めらめらと 旺んに燃える 私の胸の内の燃える血よ 幾度となく詩を書き綴っても 収まるどころか ますます旺んに燃える めらめらと 旺んに燃える 私の胸の内の燃える血よ 私が詩作という行為を続ける間 燃える血は 今まさに沸騰しそうだ 熱意の薪によって更に熱く 烈しく燃える私の燃える血よ 収まることを知らないわが若き血よ いつまでも燃え続けていてくれ めらめらと 旺んに燃える 私の胸の内の燃える血よ (2024.4.23)

          憂鬱な日々

          幾多もの一日をやり過ごしてきた 明日は元気に過ごせるはず そう明日に希望を託しては いつも容易く裏切られている 明日を迎えることが怖くなり ふさぎ込むことしかできないでいる こんな今を変えようとして 足掻くたびに疲れ切ってしまう 幾多もの一日をやり過ごしてきた そのなかで色褪せ 消えてしまった希望を 今さらどうしようとも思わない 全身を押しつぶすような気だるさのなかで 私はすべてを諦めてしまいたいような 不吉で 不快な気持ちに取り憑かれてしまった (2024.4.22

          憂鬱な日々

          或る日の夕刻

          陽が沈みゆく 溢れんばかりの光を放ちながら 一日は終わりへと近づいてゆく このひと時を私は噛みしめる たえず 生まれてくる 「明日」という未知の日に しばしば私は戸惑い 眩暈を起こしそうになる 「明日」という未知の日に 託せる希望は少なすぎ 抱ける夢は不明瞭すぎる それでも前を向いて 私は進んでみようと思うのだ 沈みゆく あの太陽のように (2024.4.21)

          或る日の夕刻

          春の散歩

          春の日の日差しはキラキラしていて、 それが私の心にも入ってきて、 俄かに明るく光りだすのを感じる。 春の日の日差しのように、キラキラと。 今日は、心も光って軽やかだ。 私は鞄をぶら下げて散歩に出かけた。 桜はもう散って、代わりに躑躅や 矢車菊が心地良さそうに咲いていた。 春の日の日差しはキラキラしていて、 春の日の風はどこか甘酸っぱくて、 私の足取りは一層軽やかに 桜の花葩が白く染めた路をゆく。 (2024.4.20)

          昨日書いた詩です。 『愛は黒色』という言葉が頭に浮かんで、詩にしてみました。

          昨日書いた詩です。 『愛は黒色』という言葉が頭に浮かんで、詩にしてみました。

          衝動のソネット

          疲れ果て それでも何か 書こうとする心がある 書けなくなることを怖れてはいない ただ 今日書きたい詩がたくさんある 詩が一篇成るごとに 私の心は有頂天になったようになる 流れている川をせき止めるのが 容易なことではないように 私のインスピレーションの川は絶え間なく流れ 書かずにはいられない衝動が 春の嵐のように吹き荒れる 疲れ果て それでも何か 私は書くことを望む 今日書きたい詩を生命のかぎりに (2024.4.12)

          衝動のソネット