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第97回 アメリカ、参戦へ。

攻撃の30分前に予定されていたという宣戦布告は、長い日本文を英文に翻訳するのが手間取ったという理由で、後で打電されました。
「遅れた事にしよう」奇襲でなければ勝てない事は分かっていました。しかしこれは結局ローズベルトを大喜びさせました。完全に日本を悪者に、そしてアメリカを被害者にできるからです。
真実を知らない良識派の日本人たちは、まずいと思いました。
「ぎりぎりに計画するから、こんな事が起きるのだ!」
野村吉三郎と来栖(くるす)三郎が英文の宣戦布告書を改めてハルの所に持ってきた時には、最初の攻撃からすでに55分が経過していました。

ハルは予定通りに激昂しました。
「手違いだったと言う積りだな。そんな事は分かっている!」
そして日本人2人を座らせもせずに退席させました。
その少し前の時間帯で、日本陸軍はマレー半島をも攻撃しており、イギリスにも遅れて宣戦布告をしました。実は同時攻撃を目論んでいたのでした。

翌朝、ローズベルトはしゃあしゃあと、しかし熱っぽく演説しました。
「昨日、我がアメリカは卑怯な日本軍からひどい仕打ちをされました。宣戦布告の前に真珠湾が奇襲され、無実の同朋が2千人以上も殺されたのです。これは恥辱です!」
予想通り、アメリカ国内はこの日本の卑怯な行動に憤り、同朋の悲劇的な死に、反戦から一転して参戦に傾いたのでした。(続く)

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