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医療者の利益相反-製薬企業からの利益供与とその影響―

 ※地域医療ジャーナル2018年03月号 vol.4(3)より転載です。情報の鮮度にご注意ください。

 「弁当くらいで処方は変わりません」 ある医療従事者向けウェブサイトに、そんなタイトルの記事が掲載されていた。[1] 同記事によると、学会で製薬企業が弁当などを無料で提供して行っている「ランチョンセミナー」の必要性について、7割の医師が「あった方が良い」と回答していた。

 調査の対象となったのは同ウェブサイトに登録している2567人の医師である。ランチョンセミナーがあった方が良いと回答した理由として、昼食を食べながら勉強できて効率が良いという意見や、昼の時間を有効利用できるという意見もあったそうだ。

 しかし、こうした食事が無償提供されるようなセミナーでは、製薬企業に有利な情報が強調されて提供されるなど、そのコンテンツ内容にバイアスがかかっていることも多い。そうした状況を踏まえてなのであろう。この調査では、「ランチョンセミナー程度で処方に影響することはない」、あるいは「バイアスがかかった情報で処方が変わることはない」などといった意見もあげられている。

 本項では、製薬企業からの利益供与に関する実態と、それがもたらしうる影響について、いくつかのエビデンスを整理する。そのうえで、医療者と製薬企業とのかかわりについて考察したい。

【脚注】
[1]日経メディカルオンライン「弁当くらいで処方は変わりません」2014.10.21 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/1000research/201410/538942.html?n_cid=nbpnmo_twbn (閲覧には無料会員登録が必要)

製薬企業による医療者への利益供与

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