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趣味を持つこと

先日、北八ヶ岳にある北横岳に向けて雪山登山へ。

普段はロープウェイで途中まで一瞬ですが、夜明け前からスキー場横の登山道を歩いて山頂を目指すことに。

結論から言うと、山頂手前のヒュッテから天候が崩れて暴風になったので撤退したので、さほどアドベンチャー感のある山行ではなかったものの、同行したフォトグラファーJunさんとの会話を通じて、ふと自分の写真史を思い返すことが多かったので、忘れないようにnoteに書き記すことにしました。

僕は写真歴15年目。
フリーランスで写真業を始めて12年選手、といった感じでしょうか。

キャリアだけ見ると中堅。年齢も35歳なのでそこそこ写真業というものの多くを経験してきたのですが、胸を張って「こんな撮影をしました」と言えるようになってきたのは近年。

それまでは業務委託のフォトグラファーとして長いこと働いていたので、実績の作り方が広告のような大きな仕事をする事よりも、一緒に働くメンバーとの信頼関係の構築や自分のカラーを出すことを一生懸命に考えていたので、メンバーとクライアントに写真が評価されることが日々を生き抜く事の生存戦略でした。

結果、自分の名前よりも先に事務所の名前が来るような働き方だったので事務所を抜けると写真の実績はゼロに戻る、といった感じの約10年でした。


そうやってガムシャラに業務委託で働き続けている時期は、本当の意味で「友人」と呼べる人がいなかったような気がします。

「戦友」と呼ぶ人たちと共闘することはあっても、損得勘定に囚われない友人にはほぼ出会っていませんでした。もちろん、友人がゼロだった訳ではないのですが、呑みの誘いも仕事が絡まないと積極的に行かなかったので、今思えばかなり失礼な人ですね。(すいません笑)

そんな日々が続くことで自分自身にも疲れが出てしまい、全ての仕事にモチベーションを保てなくなったので、趣味でキャンプをはじめました。いわゆる自然に癒しを求めにいく、というものですね。


キャンプを通じて、たくさんの自然に出会い、そしてSNSを通じて多くの友人に恵まれました。時にはお叱りのお言葉をいただくこともありますが、今まで仕事で成果を出すことしか考えてこなかった人間としては、人としての営みの輪に入ることができたこと自体が、とてもありがたいことなのです。

そんなキャンプの趣味が転じて、山に登るようになりました。

交通費を浮かすために、近場に住んでいる山好きのカップルを僕の車に乗せてゲラゲラ笑いながらドライブをする時間が好きなのですが、趣味を持つまでこんな経験は、ほぼありませんでした。同乗するのは事務所の先輩、クライアント、作品撮りで呼んだモデルが多かったので、朝マックしながらドライブするなんて、趣味を持つまでほぼ有り得なかったのです。


僕が写真を撮る理由はたくさんありますが、根源にあるのは「人生の豊かさを伝える」というフィソロフィー。

写真を通じて誰かが幸せになっていくこと
写真を通じて関係性を築くいうこと
写真を通じて美しい人生を作り上げていくこと
写真を通じて正直に生きるようになること

写真は自己表現として、また記憶を記録するツールです。目の前に映るものだけではなく、撮る人と撮られる人の関係性から生まれる感情が誰かの人生を豊かにするものが写真だと考えていています。

決してSNSマーケティングの為だけに存在するようなものではなく、例えば「インスタグラマーの〇〇さん」を撮ってメンションすれば自分もフォロワーが増える、とか最近の流行は〇〇だから乗っかる為に写真を撮ろう、といった思考が先行した写真だけは撮らないように気をつけています。

ですが、そういった消費される写真を狙って撮ることに注力していた過去があることも事実ですが、それはもう…人間だもの…。


趣味を持つことは素晴らしいことです。
自分自身の価値観を広げ、自分の足で様々な場所を歩き、そして多くの友人から人間性を学ぶ時間が、結果的に写真に還元されるのです。もちろんハード面や技術力も大事ですが、写真の本質は目の前の被写体との対話ゆえに、自分自身も人として成長する必要があるのです。写真表現と同じくらいのレベル感で趣味が大事であるように、もっと視野を広げて新しい世界に飛び込んでいきたいものです。

Syuheiinoue

WEB :https://syuheiinoue.life/
STUDIO :https://www.studio-neutral.life/



Syuheiinoue
フォトグラファー

横浜を拠点に活動する写真家。
2023年はアウトドアやサウナに携わる撮影に注力しており、バックパッカーズジャパンが運営するキャンプ場 ist Aokinodaira Fieldや、Brutusのサウナ記事特集の撮影実績があります。
SaaSやDX界において企業広報に携わる撮影チームのマネジメントやディレクションといったフォトディレクター業務に携わっており、メディアの取材業務にはじまり、大規模カンファレンスの撮影チーム編成まで幅広く対応可能です。1分1秒と状況が変化する過酷なウェディングの現場を撮影してきた経験から、初めての現場でも高クオリティの写真を残し、一瞬で人の持つ豊かな表情を引き出す技術に定評があります。

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