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お気に入りの暮らし

朝からタンクにお水をはって、キラキラと陽の当たる所へ置いておいた。

午前部活の次女を送り出し、洗濯物を干しながら、「今日は布団干そう」と口に出すと、夫も三女も、ウッドデッキの手すりに、ベロベロとみんなのお布団を並べて干してくれた。

その間に私は、掃除機をかける。

ヘッドの光るこの新しい掃除機を、敵対視している黒いモフモフの彼は、少し離れた所から、ジーッと警戒しながら見ている。イスの上から、階段の途中から、ジーッと睨みつけている。ちょっとイジワルをして、ズィーっと彼の方へ向かっていくと、まさに一目散に逃げていく。ビビりな彼。

私は持ち帰っていたお仕事にとりかかる。

三女は「どうぶつをあつめなくちゃ」と、Switchのスイッチを入れる。

木の枝を拾ったり、リンゴを食べたり、斧で木を切ったり、DIYで木の柵を作ったり、そのうち、コントローラーを持つ三女を
「そんなに木の枝あったら何か作れないの?」「リンゴ食べると元気になるの?」
「そのジョッキーのスーツにしてよ」
と、三女ごとコントロールしたりしながら、手を動かす。

夫は二階で、1週間分のカッターシャツにアイロンをかけながら、Netflixをスマホの画面で観ている。夫が自分でアイロンがけをするようになったのは、出張帰りに口紅をつけて帰ってきたことがあったからだった(いわく、フィリピンパブのオネエサンにイタズラで付けられたとかなんとか…お楽しみな夜だった模様)。そうだった、そんなこともあった。
今ではそんなことも忘れてしまうくらい、自然にアイロンをかける夫である。学校の給食エプロンにだってかけてくれるのだ。

市の広報スピーカーからお昼のチャイムが聴こえて、その間の抜けたような平和な音色に
ぐんぬぅーーっと大きく伸びをする。

「お昼どうしよっか」
「お蕎麦食べたいな」
「サガミ行くか」
「うぇーい」

お蕎麦とお寿司が食べられる「サガミ」。
途中で部活帰りの次女も合流した。
メニューにあった「手羽先テイクアウトできます」がやけに美味しそうで、冷凍10本入り2パックを買って帰る。必然的に、夜ご飯は手羽先に決定。

残りの仕事を片付けて、メダカの水槽を掃除する。朝から日に当てていたタンクの水は、ぬるま湯くらいになってしまっていたから、冷たい水とよく混ぜて、メダカたちを放つ。

キラキラと、ツィーッと泳ぐ。

ミニトマトの種をもらってきていた三女は、鉢植えに種まきをして、私もバジルの種がとってあったのを思い出して、パラパラと蒔いてみる。

お庭から移植したバラとユーカリは、いまだ新芽も出さず、沈黙を保ったままだけれど。密かに根をはっていてくれることを願って、お水をあげ続けている。

おもむろに、夫がウッドデッキでパターの練習をはじめた。さっきまで観ていた石川遼のラウンドに触発された模様。
       コツン  コロコロコロ

「バドミントンしよ」
と三女がラケットと羽を持ち出して、
「バレーしよ」
と次女がバレーボールを持ち出して。
道路からつながる車二台分のフラットなコンクリート張りのスペースで、バドミントンとバレーボールがはじまる。

日が長くなって、気温はちょうど。気持ちよくて、いつまでもこのまま外で遊んでいられる気がしたのは、疲れを知らない子どものころのこと。
動けば動いた分だけ疲れてしまう、後半は目盛りが倍速くらいで減っていく、四十路道中足腰弱しだ。十返舎一九もがっくりだ。

おかげで、よく冷えたビールは格別だった。


湯上りに、寝室へいくと、おひさまの匂いの布団が敷かれていた。
いつもは、二組の間にこぶし1個分くらいのスペースを開けて敷く私。
ぴったりと隙間を開けず敷く夫。

夜風が気持ちよく入って、金魚がピチョンと跳ねる。

なんでもない休日だった。
休みながら仕事をして、
家族といながら私のままで。

こういう暮らしを、
今の私は気に入っているみたいだ。





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