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"まあ。セレプロなので。"#22 チアーズはかく語りき(朗読劇『叶え屋「ソルシレーヴ」〜メリーバッドエンド〜』再演 編)

夏休みでも通常営業!サマータイムなんて存在しないぜ!皆さんこんにチアーズ!

荒井 瑠里さんが朗読劇「『叶え屋「ソルシレーヴ」〜メリーバッドエンド〜』再演」(8/9~8/14で計12公演開催)に出演されたということでお疲れさまでした!(一部を除きダブルキャスト制で荒井さんは6公演に出演)

コロナウイルスの感染が再拡大しつつありあちこちのイベントでキャストさんの出演キャンセルやイベントの中止が発生していたため気を揉んでいたらこの朗読劇にも影響があり…。播磨 かなさんが陽性となったため一部出演者が変更になるなど相変わらずエンタメ界の綱渡り状態を感じさせます。
別イベントにはなりますが8月上旬に開催されていたROCK IN JAPAN FESTIVALでも数組が出演キャンセルになってましたしね…。
しかも13日は台風が直撃するというダブルパンチ。関係者の皆さんは気が気では無かったと思いますが何とか千秋楽まで開催されたようで私も安心しました。

さて私はというと今作は荒井さん含めダブルキャストの役者さんが多かったというのもあり荒井さん出演回に参加できるかかなり怪しかったのですが、何とか仕事をぶん投げてやりくりしてスケジューリングしました。

その甲斐あって8/10の公演を観劇できましたので今回はそちらの感想記事になります。

※朗読劇のネタバレがありますのでアーカイブ配信を視聴予定の方はご注意をば。(といっても再演なので内容については一度世間に公開されているんですけどね)

1.参加イベント概要

・イベント名
『叶え屋「ソルシレーヴ」〜メリーバッドエンド〜』再演
・開催日時
2022-08-10 (水) 19:00~20:30頃
・開催場所
BOX in BOX THEATER(東京都)
・8月10日公演の出演者(順不同、敬称略)
八木ましろ、飯塚麻結、荒井瑠里、山本栞、小峯愛未(播磨かな から変更)、日和ゆず、城崎桃華、各務華梨、磯俣愛、髙橋麻里、岡本芽子
・syuの位置
1列目下手側指定席
・備考
私の日程の都合上、荒井さんのMbbこと堀内 まり菜さんとの共演は見られず!残念!
(余談なんですけど各務さんって「かがみ」さんって読むんですね…初見殺しなお名前…)

2.本編感想

①あらすじ

街の外れにひっそりと店を構える
叶え屋【ソルシレ―ヴ】
魔法使いクロエが営むその店を訪れた者は、
どんな願いでも、それが例え奇跡や
魔法であったとしても叶えて貰えるという。
ただし、利用は一人につき一回限り。
人生においてただ一度きりの機会に、
人々は何を望み、
どんな願いを口にするのか。
にわかに信じがたいこの噂にすがり、
今日も強い願いを持つ者が店の扉を開ける。
願いの先に待つ、
幸せな未来に思いを馳せながら―――。

「いらっしゃいませ。
叶え屋『ソルシレーヴ』へ。
ここはどんな方のどんな願いでも叶えるお店。
さぁ、貴方の願い事はなんでしょう?」
演劇ユニット【メイホリック】公式ブログ より引用

今回の朗読劇のテーマとして「ダークメルヘン×メリーバッドエンド」というフレーズが掲げられており、間違いなく一筋縄ではいかないストーリーなんだろうなあというのは予想していました。
そしてメリーバッドエンド系の作品(厳密な定義は置いとくとして)で真っ先に思いつくのは『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語』でしょうか…。まどマギ…エントロピー…DOKIDOKI文芸部…うっ、頭が…!!

それはさておき。
劇の構成としては3つの章から成るオムニバス形式に近い作りになっておりましたのでそれぞれについて感想を書いていきます。

②「アシュリーの依頼」

推しさんがメインだったので贔屓目もありますが、一番面白く感じたエピソード。
元帝国華撃団のトップスタア元英国歌劇団トップスターであるアシュリーの願いにまつわるお話。

ちょうど劇中の画像をtweetしてくれていたのでこちらを参考にお話ししますと、山本さん演じるララが前のめりに話している一方で、荒井さん演じるアシュリーはあくまでも紳士的に、かつ鷹揚な態度でララに接しています。

これは二人の関係性を端的に表している一方で、私は彼女らの会話を最初見た時に「話が嚙み合っていない…というか感情が噛み合ってない?」といった違和感を覚えていました。
ララは本心からアシュリーに親愛の情を示していても、対してアシュリーはどこか芝居がかっているというかまるでずっと戯曲を演じているように見えたのです。ただ一言、ララのことを大切に想っているというのは偽らざる彼女の本心だったと思いますが…。

かくしてアシュリーが叶え屋に依頼した願いは叶い、彼女は8月7日をやり直すことに成功しました。
そして彼女の本当の目的が明かされたことで、私はようやく得心がいったわけです。ああ、彼女は既に「目の前の」ララを見ていなかったのだ、と。

このエピソードの構成が上手いなあと思ったのは、アシュリーが叶え屋で懐中時計を手にして以降ララが登場しないことです。
アシュリーの目論見通り負い目を背負ってしまったであろうララは、もしかしたら自分が幸せになることを許せずに結婚を破談にしてしまうかもしれません。そうなったらアシュリーとララは負のきっかけを理由とした閉じた関係性の中で生きていくことになります。

……明確に描写されていないからこそ、そんな想像をすればするほど陰鬱な気分になってしまう。それこそが脚本家の狙い通りかもしれませんね。
荒井さんが表現したアシュリーの執着心はスマートだったからこそ見る者に悪寒が奔る静謐な狂気でした。劇場の冷房も相まって客席はキンキンに冷えてましたね…。

③「ティアナの依頼」

このエピソードは私なりのちょっとした気づきについて言及しますと、小峯さん演じるティアナが叶え屋を訪れた際にドアのベルが鳴っていなかったんですよ。
前述のアシュリー編では場面の表現としてわかりやすく『チリンチリン』と鳴っていたので「ちょっと音響さんSE入れ忘れてんよ~」とプンスコしていたら、ちゃんと理由がありました!!

そんな謎解き要素もありつつ私が驚いたのはエミリア役 城崎さんのお声です。とんでもなく可愛らしい声質なのでエミリアの不思議ちゃん成分がブーストされまくってましたね。
日和さん演じるモニカが怒気を露わにするシーンはいたたまれない気持ちになりました…。でも三人の友情は尊い。

④「アンナの依頼」

声に驚いた人その2、アンナ役 各務さん。「まるで声優みたいだぁ…」というお決まりの感想を持ってしまったわけですが声だけでなく仕草までも10歳の少女を感じさせるには十分な説得力でした。
だからこそ彼女の"願い"の意味が明かされた時の衝撃たるや!思わず顔をしかめてしまったのは私だけではないでしょう…。

そんなアンナがメインとなるこのエピソードに関しての所感を一言で言い表すと「脚本の人!性格悪すぎ!(褒めてる)」です。

私含めアンナの目的が達成された時が物語のオーラスだと思った人が多かったのではないでしょうか。しかし最後の最後、 磯俣さん演じるレイチェルが『復讐の連鎖は止まらない』という無慈悲な事実を示唆して物語は終局を迎えます。ラストシーンほんと怖かった…。
高橋さん演じるローザおばさんがいい人すぎて「この人も何か裏があるのでは??」と疑っていたら別方向から矢が飛んできた感じでした。よくよく考えたらローザもアンナへの負い目から彼女を引き取っていたわけですが、まるでアシュリーとララの将来を暗示しているようでこれまたゲンナリしますね…。

⑤叶え屋『ソルシレーヴ』

八木さん演じるエマは超常な価値観を備える叶え屋において唯一の常識人(観客の心情を代弁している)ポジション。
「どもども~」に代表されるラフな態度が印象的な飯塚さん演じるカガリ。依頼主の身辺調査と称して観客への説明役も兼ねています。
岡本さん演じるクロエは「人の願いを叶える」というシステムが人の形を成したような、有名な寓話『ヘルメースときこり』に出てくる女神のような、人の物差しでは測れない存在。

創作物において「願いを叶えるためには対価が必要」というのが一般的なルールだったりしますが、叶え屋は依頼への対価を要求することなく、しかも内容を問わず即決で了承します。
それなら彼女たちの目的は「人の願いを叶えること」そのもの?人が持つ業の行く末を見て愉しんでいる?あるいは獏が悪夢を食べると言い伝えられているように歪んだ願いを蒐集している?

はてさて、叶え屋の正体が明かされる時はくるのでしょうか??

⑥全体感想

本編は80分弱ということで見ている側としても中だるみすることなく楽しめました。一度見ただけだと「あれってどういうことだったんだ?!」みたいなポイントもたくさんあったので複数回参加する人にとっても利点だったのではないでしょうか。
朗読劇といっても台本を持っていること以外はほとんど舞台劇と変わらないので細かい演技も注目ポイントでしたしね。

ストーリー自体は『メリーバッドエンド』という世界観を前提に作られたと思いますが、人間の願いをありのままに描写していくと究極的にはどうしたって独善性に突き当たってしまうのかもしれません。独り善がりと書いて独善。まさに叶え屋に訪れた人たちの姿じゃないですか…という。

また、ゴシック様式を思わせる衣装であったり物語全体に漂う耽美な雰囲気は恐らく主催の岡本さんの趣味が全開に発揮されたものだと思いますが、キャストの皆さん自身が世界観に浸っている様子が伝わってきてとても良かったです。

3.アフタートーク感想

私が参加した回は「キャストの方々が本編で好きなシーンを自分で再現する」というコーナーでした。

やはりというかなんと言うかアシュリーとララの場面が人気でしたね~。ちょっと宝塚な感のあるやり取りが他の出演陣にも刺さったのでしょうか??

ちなみに私の印象だとてっきり荒井さんが真っ先に挙手すると思ってたら意外に(失礼)奥ゆかしく最後まで控えてましたね。おかげでトリを決めるじゃんけんに負けた時は「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛!!」と奇声を漏らしてましたが…。カッコいいアシュリーが行方不明に……。

他の回の感想tweetを見てみると「腕相撲」とか明らかにおかしいワードがあったんですが一体何をしてるんですかね…。

4.OMAKE~Only one yell gift~(Episode:Ⅱ)

BASEからエールギフト購入したの2回目なんですが、今回は購入手続きの際に同時進行で別の作業をしてまして(ソシャゲのPvP)。
左手でIphoneを操作しゲーム!右手でPCのマウスを操作しエールギフト購入!とやってたら見事にエールギフトの贈り主と宛名入力をスキップしてしまうというやらかしをしてしまってですね。

すぐに「すいません入力忘れましたァァァァ!」と問い合わせメールを送り何とか対応していただきました。その節は本当にお世話になりました…!
おかげでチキンラーメンを貪っていた推しさんにお弁当を召し上がってもらうことができました。願いを叶えてくださりありがとうございます!!(ここまでの感想が前フリ)

5.余談と宣伝

荒井さん布教の甲斐あって山本さんがセレプロを見てくれたそうで。

セレプロについて言及するとどこからともなくチアーズが現れるので注意してもろて。推すなら緑の子とかいいですよ。あざといけど。
そして山本さんといえば舞台アサルトリリィ御台場女学校編の「ロイヤルエレガンス」こと竹久 央!登場時にいきなり側転を決めていたのでよく覚えています!アサルトリリィ以外での演技を拝見できてとても嬉しいです。今後も応援してますね!(ラスバレにも出演してくれ~)

なお、前述のとおり今回は荒井さんと同事務所の堀内さんもエミリア役で出演されてまして、お二人は9月下旬から開催される音×劇 オンゲキ『コンビニエンスマンBB〜ぼくら日和〜』という一風変わった朗読劇でも共演されるそうです。

内容としては現代劇になるようなのでソルシレとは違ったお二人の魅力が見られるのではないかと思います。今回初めて荒井さんや堀内さんを知ったという方もぜひご覧になってみてはいかがでしょうか!?

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