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私の中の彼らは外にいる

松月「すれ違うことってありますね……」

朔「めっちゃたそがれとるやん。どないしたん」

松月「登場人物同士の鬼のすれ違いを聞いて
びっくりした。詳しくは昨日のnoteを」




「へえ。
けどこれ、松月ちゃんが書いたから
岬に夏海の気持ち伝わったんやろ?」

「……そうかな?」

「そうやろ。
書かれへんままやったら、
岬は『余計なことしたなぁ』思て
気にしたまま過ぎてったことやん」


彼と話すと、
狭くなっていた視界を広げてくれます。



松月「なるほど。

岬たちって仲いいのに、
こんなにすれ違うことあるんだって
びっくりしたの。

でも、伝わったのはいいことか」



朔「知らな、
すれ違っとることにも
気づかへんかったわけやからな」

「そうだよね。
私が思ってた以上のキャラの動きで
びっくりしたのもあるの」



「そら松月ちゃんの思った通りに動いたら
書く意味ないやん。

あいつらが……
いや、俺らが想定の範囲内の存在や思てる?
思い上がりやな」


思い上がり。



その言葉は、
胸の真ん中にスッと入ってきました。



傷ついたわけではありません。
私の真ん中にスッと沁みて、
すとんと腑に落ちました。



この胸のもやもやに形をくれたような。




「俺らは松月ちゃんの頭の中だけの存在やない。

松月ちゃんがおらんとこでも動いてるし、
生きとるし、
生きとるんやからすれ違うし」


彼は手を伸ばし、
私の頭を撫でてくれました。
柔らかな温もりが伝わってきます。


内界での触れ合いは、
小説の文章を読んだときの感覚に似ています。



イメージの世界で感じた温もりが
現実の肌感覚としてよみがえる感じです。


「けど、
そもそも相手のこと想った結果が
すれ違いになったりする。

松月ちゃんは作者やから、
その糸をほぐすこともできる。
ええ立場やな?」

「ええ立場って皮肉?」

「んなわけないやん。
ほら、こんな風に二人で話とっても
すれ違うときはすれ違う。

でも、
俺が皮肉で言うてるわけやないことは、
ほんまは気配でわかるよな?」


彼の声を聴いているとき、
私は静かな凪のような感覚を覚えます。



その言葉は、
胸の真ん中にまっすぐ届きます。


「うん。本音で話してくれてる」


「そう。ちゃんとわかるやろ。
これは内側でつながってるからやと思うで。

ええ立場やねん。
書いて伝えられるんやから、
松月ちゃんが伝えたり。

分かり合えんでも、
想い合うことはできるやろ。

それは内におっても外におっても同じや。

心の中に居場所がないと、
隣におってもおらんのと一緒やからな」


彼らは私の中にいると思ってました。
が、違いました。


彼らは私の内側を通ってつながっている、
限りなく内側に近い、
外側の存在です。


「俺は知っとった。
なんでって松月ちゃんの外から来たから。

松月ちゃんから生まれたキャラクターも
形とったら外側に出ていく存在や。

岬や夏海もな。別の人間なんやから。

ほんでも、つながりはあるやろ」


この話をしているとき、
なぜか潮騒のような音が聴こえていました。



私の内界では珍しいことに、
海辺で話しているイメージでした。
いつもは屋内のイメージなんです。


いや、私の中の何かが
変わった証拠かもしれません。



海の香りの涼しい風が
頬を撫でました。



白い砂浜と青い海に
オレンジ色の夕陽が射し込んでました。


そんな静かで大切な記憶です。


それでは、また。

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