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人生は先の見えない旅である

エンディングが見えないRPGだから面白い

「この調子でいけば、20年後には1000万円貯まりそうだね」
ここで言う1000万円は例え話だが、私はこのような将来設計が好きではない。
毎月4万円づつ貯めていけば、20年後には1000万円になる。これは堅実で、手堅い将来設計である。こうした堅実な道を選択する人も多いだろう。
しかし私は、こうして将来が予想できることに対して、「面白くない」と感じてしまう。「将来は、こんな姿になるんだ」と言う予測ができることに対して、物足りなさを感じるのだ。

私は長らく、手帳というものをつけてきた。
手帳活用の本など、多くのメソッドが紹介されているが、その多くは「将来の自分の姿を思い浮かべてみよう」というものが多い。
私は常々、この手法に疑問を抱いてきた。
読書をしている多くの人が気づいていることに、「自分の想像できるものしか、考えることはできない」というものがある。
体験や経験によって、自分の中に知識や知恵として培ったものしか、人は想像できないのだ。これには、読書体験などの、媒体による情報の取得も入ってくる。
『自分の将来の姿』というものは、想像できるものしか想像できない。
つまり、『今現在、形あるものしか考えられない』ということになる。
私は、『将来の姿が想像できる状態』というものが、これと同意になってしまう感覚があるのだ。自分が想像できることを成し遂げて、それを成し遂げたというのだろうか。

私にとっての、最高の将来像というものの形は定まっていない。
しかし、それは刻一刻と変化して言って然るべきものであり、変化し続けることが人生になるのだと想っている。
かつて読んだ、福田恒存さんの『人間、その劇的なるもの』でも語られていたように、劇的に生きることこそが、生きることなのだという思いがある。
スマートに、綺麗にまとめることが重要ではなく、もっと、泥臭く生きることが、人として生きることの使命のように感じている。文章でも、綺麗にまとまった言葉に心奪われることはない。まとまっていないけれども、激しく燃え盛る情熱を持った文章に、私たちは魅了されるのではないだろうか。

現在『放課後等デイサービス』で勤務している私は、子どもたちに必要なことの一番重要な点に『予測できない将来に向けて立ち向かっていくことができる自分作り』を挙げている。
堅実な将来設計も重要だろう。しかし、その道を踏み外したときに、どのように立ち直っていくことができるかという点の方が、もっと重要なのではないだろうか。
人生はイレギュラーの連続である。それを重々知っている大人の私たちが、そのことを教えていないのは、子どもたちことを本当に考えていると言えるのだろうかと思うのだ。
それどころか、そういった将来設計をして、その通り進むことを良しとしていることに対して、疑問を抱かないことの方が疑問である。震災や不幸によって、人生が一変することも多分に考えられる。将来設計の通りにことが進んだことは、ただ運が良かったに過ぎないのだ。
未来がわからない中で、その時の最適な方法を模索しながら、自分の持てる最大限の力を発揮して道を切り開くことが人生なのではないかと思うのである。

ふと、これはRPGに似ていると思った。
『ロールプレイングゲーム(RPG)』をプレイしたことはあるだろうか。
主人公が最初は弱い姿でありながら、だんだんとレベルを上げて魔王を倒しにゆくという、あれである。
RPGのゲーム内容事態が、人生と同じであると考えられる。
私たちは、何も知らない子ども時代から、多くの人と関わり、知識や情報を得て、外に出て経験を積み、少しずつ色々なことが出来っるようになり、やがてエンディングに向かっていく。
例えば、エンディングがどのようなものであるのか、設計されていたらどうだろうか。
そのゲームは果たして面白いのか。
ハッピーエンドなのか、バットエンドなのかはわからない。しかし、その与えられたアイテムを駆使して、必要なお金を稼ぎ、自分の力を上げていく。相手が強過ぎて歯が立たない時には、もっとレベルを上げて、再度挑戦する。決して諦めることはない。
必要以上にお金を稼いでも使い道はないし、必要以上にレベルを上げてしまっても面白くない。ドキドキハラハラするから、楽しく面白い。
そして、苦労したら苦労しただけ、エンディングを迎えた時の喜びもひとしおである。

様々な困難に立ち向かうためには、何が必要なのかをその時々で考えて、自分の経験や知識、知恵を駆使して立ち向かうことに、人生の面白さは潜んでいる。
自分自身の人生設計をすることは、大切なことだ。
しかし、それだけに偏ってはいけない。
自分の人生の隣には、他人の人生がある。主人公は自分であることは、自分だけではなく隣を歩いている人も、その人自信が主人公なのだ。多くの主人公が旅をしているこの世の中は、多くのRPGで溢れている。

あなたの物語がどんな物語になるのかなんて、誰にもわかるはずがないのだ。

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