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鬱くしい漫画4作品

美しさとダークさが同居する作品にどうしようもなく惹かれることがあります。美しいだけでも鬱屈としているだけでもなく、鬱くしい作品。

特に漫画ではそういったものに出会える確率が高いと感じています。

あくまで主観ですが、好きな鬱くしい漫画を布教したくなったので書きます。
とりあえず4作品ほど。
またいつか同じ話題でブログ書くかも。



鬱くしい漫画

ラストサマー・バケーション

殺人、少女、家庭環境。そんなテーマの物語。

似たような境遇にありながら、まったく違う考えを持つ少女二人。
まったく違う考えを持ちながら、共鳴するガール・ミーツ・ガール。
そのギャップ。そして、暑く眩しい夏の季節とテーマの重さのコントラストが、とても美しい作品。

私はこれを夏に読みました。
夏に読んで良かったです。



ハッピーシュガーライフ

少女と少女の、愛の物語。といったら可愛らしくみえますが、
ジャンル的にはサイコホラー。

アニメ化していたのでご存じの方も多いかと思います。

独特の語り口と可愛らしい絵柄でメルヘンな絵本のような雰囲気を纏っていますが、中身はがっつりサイコでホラーです。
マイルドではありますが、殺人描写が堂々と描かれているので苦手な方は注意。

以下、ラストに少し触れることになります。
「彼女」が幼いが故にあの思考回路だったのではなく、心から「彼女」を愛していて良かった。



ブラック・テラー

1話完結、全10話+特別読み切りの短編集。
1冊で完結するので気軽に読むことが可能なのも素敵。

狂気に満ちた住人達の、悲劇と喜劇が混じりあう、不気味に満ちた街の物語です。
ファンタジックなホラーを読みたい方は是非手に取ってください。

どの作品も大好きですが、個人的には『Case.01 注目せよ』が一番好きです。



死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々

生きづらさを抱える10代の若者中心の、オムニバス形式の作品。
阿部先生の作品は全部良いですよね。

迷える10代を描くと代えがたい魅力を放出する阿部先生ですが、この作品も例外なく美しく鬱くしい物語がぎゅっと詰まっています。
テンポの良い台詞、台詞のないコマも色づいて見えるような輝かしさ。
心がざわついてそのまま放置されるような物語、ほのぼのする物語、切ない物語、全てを一気に摂取することが出来ます。

『空が灰色だから』『ちーちゃんはちょっと足りない』で心にとんでもねえ傷を負った(良い意味で)方でもちょっと読みやすい。

第20話『7759』がとても好きです。



鬱くしい曲

これらの物語を読むと聞きたくなる曲も、せっかくなので記載します。
アーティストはMili。

鈴を転がすような歌声と繊細なピアノの音が特徴的なアーティストです。
「なんて美しい曲なんだろう、ところでこの歌詞はどんな意味なのかな」
と和訳を見て「ひえ……」となる方は多いと思います。

Camelia

曲調も壮大で切なさ多め。
歌詞は人を銃殺した女の話です。
というか私この曲前も話題に出したな。好きすぎる。


Nine Point Eight

こちらは小気味良いテンポ感が癖になる曲。
明るめに見せかけて歌詞の内容は後追い自殺です。びっくりしたわ。
テンション高めに飛び降りているところが生々しい。


鬱くしい曲についても改めてどこかで書きたいな。


鬱くしい作品を書く漫画家さんの美しい作品

月曜日の友達

鬱ではないけれど、どうしてもこの作品について書きたかったので書きます。

物語のテーマは青春、生きづらさ、友情、恋。

阿部先生がお得意な「10代の生々しい感情」と「絵画を見ているかのようなアーティスティックな画面」と「舞台を見ているかのような心地よい台詞回し」がこれでもかと詰め込まれた傑作です。

最高の作品に出会った時の、あの独特の読後感。
陶酔。寂寥。読んで良かったという素直な感想。
漫画なのに、壮大な曲を聴いた後のような音が心に満ち溢れるような感覚を覚えました。この世の全ての芸術がこの作品に詰まっているかのような。

私の貧弱な語彙力ではこの作品の魅力を語ることが出来ないのが悔しい。
大人になりかけている時期だからこそ生まれる感情。
今10代の人。
かつて10代だった人。
すべての人々に刺さるテーマです。

amazarashiによる公式主題歌もあるので是非。
随所に挟み込まれる、学校のチャイムのような音が素敵。


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