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あざらしはHSPだった【HSP記事前編】

HSP
Highly Sensitive Personの略で、直訳すると「大変に繊細な人たち」。
具体的な特徴は「非常に感受性が高く敏感な気質を持った人」とのこと。

これは、
先天性である(生まれた時からある気質)
病名や診断名ではない(医者や臨床心理士に診断されないと認められない、というものではない)
・人口の15~20%がこの特徴を持っている(5人に1人)
というものだそうだ。

今現在あざらしはリワークセンターに通って、乱れた生活リズムを整えようとしている。

このリワークセンターでの過ごし方として、何か作業をする必要がある。
これは訓練と称され、スキルアップやストレスマネジメントなどの、自分が再度メンタルにならないようにする方法を学び、自分の特性を知って要は「自分の特性に合った仕事をしようね、再就職なら新しい選択肢を見つけようね」という目的で設定されている。

あざらしは人事の仕事が性に合っていると感じているので、次の仕事も人事をしたい。ならば他のスキルアップについて調べるよりも、せっかくだから人生で困っている課題を解決しようと、ストレスマネジメントを調べることを訓練の内容にした。

そんな中、思いがけずあざらしは「自分はHSPなのではないか」という仮定にたどり着いた。

今後の訓練のテーマをこれに定め、このHSPと自分の特性をとことん考えて、noteにまとめてみることにした。

この記事が、あざらしと同じ悩みを抱えているのに「何に悩んでるのか、何を頑張ったらいいのか」わからない人の一助になればと考えている。


あざらしの発達障害について

あざらしは2015年に「発達障害」の診断を受け、精神障害者保健福祉手帳3級の交付を受けている。

診断を受ける以前は自分が発達障害であるなどと全く判明しておらず、発達障害という言葉も知らない状態だった。

ADHDやASDではなく「発達障害」。
初めて診断を受けた時に調べたところ、発達障害の人はADHDや広汎性発達障害、アスペルガー症候群など様々な特性を併発で持っており、どれかが一切ないことはほとんどない。それぞれの特性の強さの割合が何パーセントずつなのか、ということだった。

診断書を書いた主治医は、そのことをちゃんと理解していたのか、診断名を限定せず「発達障害」と書いた。
なので、自分はADHDだからASDは考えなくてよい、といった切り離しをすることなく、自分を知ることができたなと思う。

これを調べた時、悩んでいた多くのことに合点がいった。自分は発達障害なのだから、自分が普通だと思っていたことは実は全然例外的なことだったんだ、とわかるようになった。
それに加えて、他の人もいろんな例外を普通だと思って生きているんだ、人に向かって普通とか当然とか言っても的外れになる、ということもその時に理解した。

簡単に言えば、発達障害だと知れたのはよかったことだ。明らかに落ち着きを持つようになったし、自分がこの先何を努力すればいいのか、明確な方向が分かったからだ。

あざらしが悩んでいたこと

とにかく、怒りに振り回される。

簡単な怒りはそもそも発生しなくなった。
相手が自分と違うということがわかってから、相手はあざらしと違ってこう考えているんだと冷静に受け取れるようになったので、今までイライラしてたことにも動じなくなった。

じゃあ何に困っているのかというと、何かが起こった時、頭が回らなくなり、その瞬間自分が何にもやもやしたのか全く思い至れないことだ。
頭が回るようになるのはしばらく経ってから。その時のことを振り返り、明らかに理不尽だったり相手にしか非がないとわかったら、そこからようやく怒りがやってくる。

だけど、その怒りに至るときにはすでに翌日になっていたりする。
その怒りを改めて相手にぶつけに行ったところで、相手からすれば「昨日終わったことを蒸し返しに来た」と感じるだろう。結局その怒りは伝えられずに終わる。

そうすると「自分の中でここに正当性があって、何に納得がいかないとはっきり分かったのに、それを相手に伝えられないまま我慢し続けなければいけない」という思いが残り、怒りが3日ほど冷めやらないのだ。
忘れたいのに何度もそのときの情景が頭の中で甦り、繰り返し怒りに苛まれる。

その時の自分は明らかにパフォーマンスが落ちる。怒るたびに頭が真っ白になるから仕事の内容も身に入らない。これは明らかに仕事に悪影響だ。

なので最初の目的は「納得がいかないことがあったらすぐにその理由を言葉にし、その場で相手に言えるようにする」ことと「言えずに怒りが3日間発動するモードになった時に、それを2日、1日と短く終わらせる方法」を見つけることにした。

HSPを疑い始めた瞬間

リワークセンターの訓練時間はアンガーマネジメントについて復習をしつつアンガーの講義がある日は必ず参加し、解決策を見つけようと励んだ。

どうやらアンガーとは、無意識に相手に何かを期待していて、それが裏切られたから怒りが発生する、というメカニズムらしい。

確かにあざらしが過去に怒っていた時を思い出すと、他人に対する期待感が非常に強かったなと思う。発達障害を診断されてから「当たり前を疑う」が自分のスローガンになり、その後はほとんど怒らなくて済むようになった。
「相手もこうあるべき」が「違う人だからこういう考えの違いもあるな」に変わったから、怒る原因自体に何とも思わなくなったのが強い。

じゃあなんで自分はこんなに怒りが収まらないのか。相手に一体何を期待していて、何を裏切られたと感じているのか。全く分からない。

ある日、自分がイライラする瞬間を思い返してみた。真っ先に浮かんだのは「電車でわめき散らしたりドアを蹴ったりするおっさん」だ。
昔からどうにも許せない。姿が見えなくても、声や音が聞こえてくるだけで憎悪ともいえる怒りにかられる。
そう考えると、「泣いている子供」も「そんな子供に汚い言葉をかける親」も耐え難い。
「テレビに出てくる熱血顧問」みたいなのも瞬間的に怒る。

これらは明らかに「何かを期待していて裏切られたから」の思考を踏んでいない。反射的に怒りが発生している。

例えば、電車では静かにするべきだという考えがあってそれを裏切ってるから、というものではなさそうだ。何しろ、電車で通話をしている人を見かけても特に何も思わないのに、わめき散らす声には怒りを感じるのだ。
むしろ電車で通話をしている人を見かけたら「その人に対してキレ散らかすおっさんが現れるかもしれない」という思いが強く、ハラハラして委縮してしまう。

それに気づいたとき、自分のこの悩んでいる怒りは自分の中から発生しているものではない可能性が見えた。
そのとき、過去にHSPだと言っていた人のことを思い出した。

その時はあまり深堀することもなく、どうにも感情を大げさに受け取ってしまう人、という認識だったが、もしもこの特性に「人の怒りを拾って自分が怒ってしまう」みたいなものもあるなら、それこそまさにあざらしの困っていることだ。

さっそくHSPを検索し、特性やチェックリストを見てみた。
すると、自分の現状と次々に合致する。まるでパズルのピースのように収まっていく感覚だった。

どうやらあざらしは、発達障害でありながらHSPを同時に持っている人、のようだ。

自分がHSPとわかったことで解決しそうなこと

頭が真っ白になって何に怒っているのかわからない、という部分は、その時相手も何かしらの怒りを発しているのかもしれない。
これを過敏に受け取ってしまい、自分も怒っているような状況になるからこそ、頭が回らなくなるんだ。

この現象を怒りのもらい火と言おうと思う。
もらい火のことを全く知らず、自分の身から怒りがわいてくるものだと思っていたから、対処の仕様がなかった。もしそうなら、今後は似たようなことがあった時に冷静に「これはもらい火を食らっているんだ」とわかっているので、受け取り方も変わってくるんじゃないだろうか?

実際どうなるだろうか。テレビの向こうで運動部の顧問が叫んでいるものすら拾ってもらい火を食らうので、そううまくいくとは限らない。
それに、ムダにストレスを溜めてもしょうがないから、実験のために誰かが怒鳴っている様子を見るなんてありえない。

なんだけど、次に自分がそんな面倒な目に遭う日が来た時に、少しでも改善していたら嬉しく思う。だってそこで頭が真っ白にならなければ、納得いかないことをその場で「納得いかない」と丁寧に言えるかもしれない。

そうすれば、この悩みはきれいに解決する。

後編ではもっと掘り下げてみます。

記事を作るにあたり、いろんなサイトでHSPのことを調べてみたが、HSPについて書いてあるサイトはそれ単独の説明だ。別の特性と併発しているとどんなリアクションが起こり得るかを書いていない。

例えば発達障害の特性がHSPの特性と打ち消し合っていて、「この特徴は該当しないのでHSPとは言えない」となってしまう人もいるかもしれない。

なので、後編ではもう少し掘り下げ、
「この特徴とこの特徴が同時に発動したらこんなムーブになるかもな」
という仮説をいくつか考えてみることにする。

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