7,500円のイヤホンに始まり、5,000円くらいのイヤホンにハマっているDJ
以前「中華イヤホンのコスパに腰を抜かした!」ことで勢いで記事を書いたのだが、その記事のスキの数が9になってて驚いた(2022年7月現在)。
この記事を書いてから半年を超え、気が付いたらイヤホンの本数がそこそこ増えていた。
以前50,000円のイヤホンを使っていた時は、店頭機種で試聴ができたということもあり、試聴をしてはやはり自分のイヤホンが一番だな、と思うことができたのだが、1本5,000円前後となってしまうと大変手が出しやすく、試聴機も存在しないので「これはどんな音が出るんだろう…」という好奇心が抑えられず、じわじわと本数が増えてしまう。
イヤホン沼の恐ろしいところだとしみじみ思う。
また、前回は中華イヤホンとは「有線モデル」と言い切っていたが、無線の高コスパモデルも多数存在することがわかった。実際購入して、特に通話やWEB会議などに大変便利かつ音質も良いものもあった。
なので、現在あざらしが持っているイヤホンとその周辺機器について、現状とDJの視点での感想・解説を書いてみようと思う。
方針:高いものは買わない
中華イヤホンにこだわって導入しているのだから、イヤホン1本につき、どんなに高くても15,000円以上は出さないと決めている。
それ以上出すのであれば、eイヤホンとかの高級なイヤホンを試聴して買えてしまうので、中華イヤホンを買う意味がなくなる。
理想としては、イヤホン・ケーブル・イヤーピースの3点を全部そろえて10,000円前後で、クラブの音をちゃんと再現できること。
実際実現してるから、中華イヤホンは侮れない。
何本も買うんじゃなく、全部買った分の金を1本にまとめて使えば、もっといいイヤホンが買えるじゃん!と言われるかもしれない。でも貧乏性なあざらしはそんな高いイヤホンを買っても気軽に使えない。いっぱい持ってて気分で使いまわす方が気楽に使える。
現在使っている中華イヤホン
2022年7月時点で、使い回している機種は以下の通り。
正直、これはDJに向かって書いているので、ドライバ構成などは一応記載するが、詳細なイヤホンレビューにするつもりもないし、機種に使われている部品などを解説するつもりもない。
DJに必要なのは「どんな音が出るか」だけで十分だと思う。中身が何入っていようが、音が良いのが一番いいでしょ。
①KZ 「ZAS」
中華イヤホンを高コスパと言わせ始めた原点となるようなメーカーのイヤホン。前回の記事で絶賛していた7,500円イヤホンというのがこれにあたる。
音の感想としては全音域で音が濃い。高音域は抑えているのか、サイケを聴いても高音が耳に刺さらない。そして爆裂かつ引き締まった低音が出る。
それでいて、音が前のめりになっている感覚もないので、一番クラブのフロアサウンドに近い音が出てるんじゃないだろうか。
DJをするにも、本体が大きいので耳から脱着するのもつまみやすくて便利。
②TRIPOWIN 「TC-01」
「色が超サイケ!」という理由で導入したイヤホン。残念ながら現在はこの色は作っていないようで、シルバーモデルのみとなる。
大変ノリの良い音を出すが、それでいて音全体はスッキリしている。イメージとしては「音質にこだわった小箱・DJバー」といった感じの音。
本体が大変小さく、耳から全く飛び出さないので、耳の小さい女性や、耳を覆う帽子をかぶる人でも使いやすいと思う。
DJをする際、頻繁に着け外しするプレイスタイルの方はやりにくいと思う。
ただ、イヤホンでDJする際にあざらしが一番使うのはこの機種。太いリケーブルを使ってその付け根をつまむように脱着している。
③KBEAR 「Robin」
個人的にKBEARというメーカーがすごく好き。イヤホンもさることながら、ケーブルやイヤーピースなど周辺機器に上質なものが多く、別の機種にもKBEAR製品を多用している。Amazonでイヤーピース買うなら「KBEAR07」という品番のものを勧めたい。
音傾向は上記ZASに近いと思うが、価格の差はやはりあり、低音はZASの方がよく出るし、全体的に大変荒々しい鳴り方をする。イメージはライブハウスの音。
ハードロックとか、最初から荒々しい曲とは大変合うのだろうが、高音が出すぎる曲を聴くと耳をおかしくする可能性があるので注意。
見栄えが大変かっこいいので外で使うのに最適。低音はある程度締まっていて分離もあるので、DJにも使える。
④TRIPOWIN 「Olina」
このTRIPOWINもKBEARに並び好きなメーカー。4本中2本がこのメーカーというのが信頼の証。特にケーブルがKBEARより安くて手が出しやすく、初めてケーブル買う人にも勧めやすい。
このイヤホンは高かったが、方々で「明るく楽しい音」というレビューを見ていたので、セールの日を狙って買った。
いわゆる高音と低音が目立つ「ドンシャリ」と言われるバランスの音なのだが、確かにドンはしっかり出ているが、高音はギリギリシャリ付かず、キレも良い。昔からあるノリの良いイヤホンの完成系といったような音が出る。
サイケのDJとして、このイヤホンから出るような音をクラブのフロアで出せるように音量調整しようと思える、お手本のような音だと思う。
本体の見た目はものすごく地味。イヤホンで目立ちたくない人には最適。
3,000円前後で入門に最適なイヤホン
ぶっちゃけ、DJに中華イヤホンを勧めるなら1本目は上記ZASなのだが、それでも7,500円はハードルが高い可能性がある。
なので、3,000円前後で買える高コスパのイヤホンを2つほど紹介する。
①KBEAR 「Lark」
上記Robinと同じ形をしているが音の傾向は全く違い、全体的に大人しくてきれいな音が出る。ただ美音という感じの音ではなく、ノリの良い曲を聴けばしっかりノリを良くしてくれる。
上記4機種より低音の量は少ないが、キレの良さは大変良く、高音を聴いてDJしたい方や、曲を掘る際に音質の良し悪しを判定するイヤホンとして絶妙な使い勝手だと思う。
DJじゃない方が使うなら、推しの音源で耳レを体験したい方はこっち。
さすがに3,000円はコスパが良すぎる。
②KZ 「DQ6」
ドラクエⅥにしか見えなかった人はいっぱいいるはず。あざらしもそうだ。
これは、低音だけに関して言えばZASに匹敵する。爆裂かつキレも良い理想的なクラブの低音が出る。
値段が違うのは、本体がでかくて耳の外に飛び出る、中高音は繊細さよりも荒々しさが先行する、ZASよりも多少音漏れする、という部分なのかなと思う。技術的な話をすると、ドライバーユニットと言われる、イヤホンの中で音を鳴らす部品の数はZASより少なく、コストがかかっていない。
DJじゃない方が使うなら、FPSみたいなゲームをやってる方はこっち。
これも3,000円で売るには良すぎる高音質。
今、予算3,000円でイヤホン買おうとしている人がいたら、このどっちかを選んで買ってみてほしい。まじめに世界が変わるしQOLも向上する。
ただまぁ…DJには音質で数千円を惜しんでほしくないので、7,500円出した方が後悔しないよ、とは重ねて言うが。
リケーブルが一番の沼
中華イヤホンの大半、上記で紹介した6機種も全て、イヤホンから伸びているケーブルを抜き、別のケーブルに差し替えることができる。
これは、断線した際にケーブルだけ交換して使い続けられるという利点の他、イヤホンの鳴る音を変化させられるという特徴がある。
そのため、イヤホンにハマった人間はイヤホンと同時にケーブルも買い漁り、とっかえひっかえして音の変化を楽しんだり、ファッションのように日々の気分で見た目を変えたりしている。
このケーブル、試聴できるようなものは得てして10,000円以上するし、住む世界が違う人たちが使うんだと思っていたが、中華イヤホンケーブルは1,500円くらいから存在している。そりゃ本数増えるよ…。
リケーブルに手を出そうとしている人は、以下のことは最低限知っておいた方がいい。
端子の種類がメチャクチャある
中華イヤホンは、メーカーごとに差せる端子の形がバラバラで、違う形をしていたらもちろん使うことができない。有名な端子だけで
・MMCX端子
・2Pin端子
・QDC 2Pin (TypeC 2Pin)
・TFZ 2Pin (NX7 2Pin)
と、4種類もある。
ケーブルを買う際は、自分が使っているイヤホンがどのタイプなのか調べたうえで、間違いのないように買う必要がある。
また、機材に差すイヤホンジャック側も、太さによって3種類も存在する。
・3.5ミリ
・2.5ミリ
・4.4ミリ
通常、DJ機材やパソコン、スマートフォンに刺さるジャックは3.5ミリだ。2.5と4.4は、高級なポータブルオーディオに使うための専用の規格で、一般の方には全く関係ない。どれを買うかわからないのであれば、3.5ミリを買っておけば間違いない。
これから紹介するケーブルは、あざらしが使う端子を選んで購入している。なので、ケーブルごとに写真に写っている端子のものしか売ってないわけではなく、どの大きさのプラグにするか、どのイヤホン側端子にするか、を選択して購入できるので、その点は安心。
それでも買い間違えの恐れもあるし、良いケーブルだったら別プラグでまた買い増したくなるということも…。おぉ怖い怖い。
マイク付きケーブルの貴重性
単体で売っている中華イヤホンケーブルには、マイク付きのモデルというのがほとんど売っていない。
イヤホンにマイクが付くと、ケーブルが折れ曲がる位置が増えるということで断線のリスクが増えたり、そもそも音質を気にしてリケーブルする人はマイクを使わない人が多いためなのだが。
中華イヤホンを使ってWEB会議やビデオ通話などをしたい方も多いと思う。後からマイクを使いたくなることもあるので、イヤホンを購入する時点でWith Mic(マイク付き)を買っておいた方がいいと思う。
あざらしが買ったケーブル
普段使いで使いまわしているのは以下の通り。音の変化は確かにあるが、イヤホン自体を変えるのに比べたら変化は微々たるものなので、料理における調味料の違いくらいに考えた方がいい。
①KZ純正アップグレードケーブル BS-Copper
最初の記事の写真で、ZASについている白いケーブル。
KZ純正ということで、自社製品につけられればよいという考えなのか、イヤホン側がQDC2Pin、ジャック側が3.5ミリのモデルしか存在しない。
大変太く重く、見た目からして「音が良くなります!」と力で訴えているようなケーブル。
音の傾向は全音域で音の密度が上がる。2,000円ちょいで買えるので、ZASやDQ6を買う人は気軽に一緒に注文してしまえる。
②TRIPOWIN 「Altea」
きれいな青のケーブル。見栄え重視で購入してもたぶん損をしない。
太さや重さはKZ純正ケーブルと同じくらい。硬そうに見えるが意外としなやかで針金感はない。
音質のイメージは完全なナチュラル追求型。どんなケーブルも、質が悪くともわずかにイヤホンからの出音を変化させるものだが、その変化をさせないことを追求したような感じ。イヤホンが本来出している音を、音像くっきりノイズを載せずキレイに聴かせる。音の変化は非常にわかりにくいと思う。
③KBEAR 「KBX4939」
茶色く、武骨なケーブル。全種類のコネクタのモデルがある。
これも上記ケーブルと同じくらいの太さ。太いケーブルが好きなんだな…。
音質は上記2本を足したような音で、音の量と音像のきれいさが同時に向上するイメージ。よりクラブらしい音に近づけてくれるといった印象で、最近の使用頻度が上がっている。イヤホンでDJするならこのケーブルを使ってやりたいと思う。
④JsHifi 「RB8」
カラフルで、とんでもなく派手なケーブル。TC-01と合わせて「とにかくサイケなイヤホン」を作りたくて買った。
もちろん太いし、特にコネクタ部分が超太い。とにかく全体的にデカい。TC-01が小さいモデルなので、アンバランス感がすごい。
音質は見た目の通り、ひたすらに派手。どの音域も、前のめりにならない程度にイコライザをブーストしました、みたいな音になる。
中華ワイヤレスイヤホンについて
iPhoneがイヤホンジャックを廃止してから、ものすごい勢いでワイヤレスイヤホンが増えた。家電量販店にもワイヤレスイヤホン専用カウンターが、まるで宝石屋のように存在している。
音質の話を始めるとどうしても無線は有線に勝てないので、あざらしは以前から敬遠していたのだが、有線イヤホンを使って通話をしているとどうにも邪魔くさいので、コスパが良いと言われる「Earfun」というメーカーの無線イヤホンを導入した。機種名は「Air Pro2」。
中華ワイヤレスイヤホンの音質が向上しているのは確かだと感じた。以前の記事に載せていたKZ「SK10」より値段なりに音質が良く、特に低音の響きが良かった。ただし音量はあまり取れないし、音質調整アプリもない。
しかし、このイヤホンが誇るべきは「ノイズキャンセリング」の凄まじさ。
あざらしが昔BOSEの「QuietComfort」というヘッドホンをを試聴してノイズキャンセリングを体感した時は大層感動したものだが、このイヤホンのノイズキャンセリングはその時に匹敵する。
モードを切り替えた瞬間、外から聞こえていた低音が一気に消える。特に電車内で使用するとあまりに快適で、YouTubeを見るなどの用途であれば有線とは一線を画する使い心地だった。
また、ノイズキャンセリング機能こそついていないが、有線の中華イヤホンが自由にケーブルを交換できることを活かし、有線イヤホンを無線イヤホン化するアダプタなるものも存在する。
一つの有線イヤホンと無線アダプタをそろえるだけで、どんな使用環境にも耐えうるようになる。中華イヤホンの自由度の高さ、ここに極まれりといった感じだ。
DJは高音質を知った方がいい
DJをするにあたり、「高音質」とは何か、ということを知っているかどうかは、プレイにかなり差が出てくると思っている。
同人音楽やポップス・ロックを使うDJだと、曲ごとの音圧がかなりバラバラなことがあり得る。これを知らないと、次の曲の音圧が非常に弱く、繋いだ瞬間音量が下がってフロアが盛り下がったり、マスタリングが甘くて高音が耳に刺さりまくる曲を大音量でかけてしまい、フロアに立っていられない環境にしてしまうということが起こり得る。でもDJ本人はそれに気づかない、という状況を何度もフロアで見てきた。
高音質を知っておくことで、今持っている曲や、フロアでの曲の聞こえ方がガラッと変わる。その高音質をフロアに聴かせるのがDJの技術であり、仕事だと思う。
その高音質を、日常生活に10,000円もせずに落とし込める中華イヤホンは、多くの若手DJにこそ使ってほしいと思う。
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