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50,000円のイヤホンを手放して、7,500円のイヤホンを選んだDJ

価格差6倍以上。

普通に考えれば7,500円より50,000円の方が性能も音質もいいと思うだろうし、買い替える意味なんて分からないと思う。

なんだけど、あざらしはこの7,500円のイヤホンを実際に聴いてみて、確かに50,000円のイヤホンに匹敵する音だと思ったから買い替えた。

こんな、値段と性能がおかしな次元にある「中華イヤホン」の話をどうしても書きたくなったので、突発的にこの記事を書いている。

中華イヤホンとは

中華イヤホンというのは、Amazonとかで販売している、あまり聞かないような名前の中国のメーカーが発売している有線モデルのイヤホンを呼ぶ。Amazonでイヤホンと検索すれば、知っている名前のメーカーと並んで、驚くほどの種類が出てくる。

非常にマニアックな製品だし、そもそも中国製という言葉に手放しでいい印象を持つ方も多くはないと思っている(実際、質の悪いイヤホンも多く出回っているのもよく聞く)。だけど、それを差し置いても多くの人にこのイヤホン達を勧めたいし、広まってくれたら嬉しいと思う。

イヤホンに興味ない人ほど、使ってほしい

イヤホンをこだわっている人は非常に少ないと感じていて、いろんな人とイヤホンの話をすると、だいたい以下のようなコメントが返ってくる。

・イヤホンは2,000円くらいのものを適当に選ぶ。
・断線したり失くしたりするたびに買い替える。
・高いイヤホンは音質がいいらしいが、自分はその差がわからないと思う。

だけど、そういう人たちにあざらしが使っているイヤホンを聴かせると、9割5分の人達が「音が鳴った瞬間に」表情を変える。
「メチャメチャ音がいい」
「クリアに聴こえる」
「耳元で歌ってるみたい」
などと、口々に絶賛される。

つまり、世の中のほとんどの人は「高音質」を聴き分けられる耳を持っているということだ。

これが、今まで買っているイヤホンと同じくらいの値段で高音質が手に入るのであれば、具体的に買いたいと思う人もまぁまぁ現れるんじゃないだろうか?
なので、イヤホンに興味がなく、使い捨てるものだと思っている方にこそ、この記事が刺さってほしいと切に思っている。

50,000円のイヤホンは、そりゃあすごい

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あざらしが以前使用していたイヤホンは、「Acoustune HS1677SS」というもので、中古で購入した。えっ中古?と思う方もいると思うが、中古で50,000円だったわけで。新品だと70,000円はする機種だ。
(写真は前モデルのHS1670SS。見た目はほとんど変わらない。)

これくらい高級なイヤホンって市場にゴロゴロしている。秋葉原や大阪日本橋にあるeイヤホンさんに行って、並んでいるイヤホンを見れば、値段4桁の方が少ないくらいで、100,000円以上するものもいくつもある。

で、あざらしはイヤホンに明確な目的を持っていて、ほしい性能は決まっていた。それは、

・通勤などの移動時に、DJで使う新たに購入した曲(もちろんヘビロテしてる好きな曲も)を聴くことに使う。
一定以上の高音質で、音質の甘い曲を聞き分けられる。
実際のクラブのようなド派手な音が出る。原音重視やフラット音質なんてクソくらえ。

以上の条件を満たすイヤホンを見つけるため、秋葉原のeイヤホンに並んでいる機種を右から左まで全部試聴し、これだ!と思ったのが50,000円だった。

そんな選び方をしたので音には非常に満足したし、今後は買い替えの必要はないだろう、と思っていた。

7,500円は同じように電車をクラブにした

中華イヤホンの存在と、その音質、またいくつかのメーカーは以前から知っていたのだが、先月(2021年10月)に、「過去の〇〇社の製品の中で最高の音質」といった内容のレビュー記事を見た。

最近のあざらしは、50,000円のイヤホンの使用頻度が減っていた。これは、DJ活動を休止しているのもそうだが、何しろあまりに高いイヤホンだから、傷がつくのが怖い、という非常に貧乏性な理由だった。

50,000円のイヤホンはフルアルミボディ。左右それぞれ結構重く、本体同士がアメリカンクラッカーみたいにぶつかれば傷がついてしまう。取り回しに非常に気を遣うので、無意識に使用頻度が下がっていたみたいで。

なので、その中華イヤホンを、物は試しとばかりに購入してみた。

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メーカー名はKZ、型番はZAS、価格はだいたい7,500円。

このイヤホンから、素晴らしくクラブの音がした。どの音域もギリギリ音割れせず、低音は締まりつつ爆裂に出て、ちゃんとスピーカー前に立ってる時みたいな派手で楽しくなれる音だった。

音質で比べてみればきっと50,000円のイヤホンの方が良いと今でも思う。しかしZASは樹脂製で、多少乱雑に扱っても簡単に傷はつかないし、価格もずっと安い。イヤホンに音質以外の性能を求めたのは初だったが、この取り回しができてこの音質ということが決め手になり、50,000円のイヤホンはきれいなうちに買い取りに出すことを決めた。

中華イヤホンの魅力

とにかく中華イヤホンの魅力は「安くて、高音質」に尽きる。7,500円が高いと思う方でも安心、エントリーモデルは2,000円台から存在する(下手すれば1,800円くらいのものもある)。
おそらく、普段3,000円のイヤホンを使っている人に、同じ3,000円で買える中華イヤホンを試聴してもらえば、音質に歴然とした差が出るだろう。

イヤホンの高音質を人に伝えるとき、あざらしは以下のような誘い文句を使っている。

あざらし「あなたの好きなアーティストや声優さんはいますか?」
相手「声優の〇〇さんが大好きです!」
あざらし「そうしたら、高音質イヤホンを使うと、その声優さんが耳元で、あなただけのために歌ってくれますよ。」

オタク文化の中に「耳レ(耳レ●プ)」という言葉があるそうで、要は耳から入ってくる推しの声などの情報があまりに尊く、限界まで高まってしまうということを意味する言葉なのだが。
音環境を高音質にするとは、あなたが持っている全ての推し音源が耳レ案件になるということだ。今までに集めた音系のアイテムが全て新たな価値を発するようになる。

そこに10,000円をかけられるかと言えば悩む人も多いだろう。しかし3,000円であれば、ハードルは驚くほど低くなる。

また、中華イヤホンの多くは、歌手が着けているような「インナーイヤーモニター」の形をしていて、ケーブルを耳の後ろから通して上にひっかけ、前側にぶら下げるようにして装着する俗称「シュア掛け」ができる。このかけ方は、ケーブルに体が触れるたびに糸電話のようにボコボコと雑音が伝わる「タッチノイズ」という現象をなくす働きがある。

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↑この装着方法が「シュア掛け」。慣れると一瞬でつけられる。

さらにこの形状には、「ケーブルを外したり、交換したりできる」という特徴がある。2,000円クラスのイヤホンだと、片耳が聞こえなくなってきたら、全体を捨てなければいけなかった。しかしケーブルが交換できるということは、断線しても本体を捨てずに、ケーブルだけを買って使い続けることができる。
数か月に1回、イヤホンをダメにしては買いに行く、といったこととオサラバできる、ということだ。

※もちろん、モニターイヤホンと違う形をしているものもあるし、ケーブル交換に対応してないものもあるので注意。

ケーブルはあえて違うものに交換することで、イヤホン自体の音質を変えることもできる。あざらしもZASがあまりに気に入ったので、音質が向上するケーブルを1,800円程度で購入した。写真に写っているケーブルがそれだが、確かに音質はさらに向上している。

なににでも欠点はあるわけで

そんな中華イヤホンにも欠点がある。

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まず、付属のイヤーピースの質がよくないことが多いことだ。ちゃんと耳にフィットしてくれないために、本来の性能を発揮できないことがある。そのため、イヤホンとは別に社外のイヤーピースを同時購入した方がいい。とはいえイヤーピースは、よほど高いものを選ばなければ1,000円もしない。
あざらし個人はAcoustuneという会社(50,000円イヤホンを作った会社)や、日本のファイナルオーディオというメーカーのイヤーピースが使い勝手がよく、人にもよく勧めている。

また、中華イヤホンはほとんど店頭販売していない。大型の家電量販店で数世代前のものがあったりするが、最新のものは試聴できず、数少ないレビューなどを読みながら狙いを定めたり、知り合いのオタクに相談するなどが必要になる。

記事中で紹介しているイヤホンは全て「有線モデル」の話をしている。ワイヤレスモデルは中華イヤホン界でもまだまだ発展途上で、どこまで音質や取り回し、バッテリの持ちなどが良いのかは調べられていない。
(商品画像にイヤホン以外の要素(稲妻など)が書いてあるやつはよくないと聞く。今回話をしているイヤホンは全部本体画像しかない。)
それでも、iPhoneで音楽を聴く人も、Lightning→イヤホン変換アダプタを使ってでも、有線の高音質を感じてほしいと思ってしまう。

※あざらしは1本だけ、KZ社の「SK10」というフルワイヤレスイヤホンを購入した。

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これは有線派のあざらしも実用に耐えうる性能があったので、お勧めできる。今後これを超えるモデルも次々に出てくると思う。

中華イヤホンのメーカー

この記事を見る人がいつ見るかわからないが、この記事を書いている現状、低価格で高音質なイヤホンを出している中華イヤホンのメーカーは
「KZ」
「TFZ」
「CCA」
「KBEAR」
「NICEHCK」
「TRN」
「BLON」
「SIMGOT」

といったところだろうか。

次々に新商品が出ていて、ここで機種名を挙げたとしてもすぐ時代遅れになってしまう。ご自身でこれらのメーカー名で検索したり、中華イヤホンでググるなどして、その時に売っている手ごろな価格のイヤホンを探してほしいと思う。

世が高音質に慣れたら

ある意味で、こういった商品が表舞台に出てくることで、今現在の主要な音響メーカーに危機感を与えられるものだと思っている。
市場に出回っているイヤホンよりもずっと低価格で高品質なイヤホンを作ることができる、ということを中華イヤホンが証明している。

また、このレベルの高音質イヤホンが世に出回ると、リスナーの耳がどんどん肥えていって、マスタリングの悪い曲や粗のある曲がどんどん見つかってしまう。
一概に良いことではないが、それによって作曲側の音質に対する意識が変わり、音楽のレベルがどんどん上がっていく、という好循環が生まれてほしいと思う。

音質に関する意識のレベルアップは、そのまま日本全体の音楽レベルのアップにも繋がると思う。

少しでも、中華イヤホンがメジャーな存在になってくれたら嬉しい。


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