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「傷」から始まる介護 ―「訂正可能性」の介護2―爺のお勉強note
心とは自我と超自我の間のズレ、ねじれ、矛盾、葛藤、揺れ動きですが、よく「心が折れる」と言ったりします。
こうあるべきという超自我と現実の自我との間で、未来に向けて葛藤し揺れ動いている心から、急に未来が奪われ、それ以上揺れ動くことが不可能となり「もうだめだ」と判決が下ってしまうことを「心が折れる」というのではないでしょうか。
そして、心が折れてしまうと人は「傷」つくのです。
それは、大切にし
「心ある介護」 ―「訂正可能性」の介護1― 爺のお勉強note
近内悠太(教育者、哲学研究者)さんの『利他・ケア・傷の倫理学』(2024年 晶文社)は介護について考える際にとても参考になります。
この本の帯に東浩紀(評論家)さんの次のような言葉が記載されています。
「訂正可能性の哲学」がケアの哲学・・・ケアとは、あらゆる関係のたえざる訂正のことなのだ。
私は、四半世紀も前に東浩紀さんの『存在論的、郵便的―ジャック・デリダについて』(新潮社、1998
介護・人間関係論Ⅱ 介護ロボットと主奴関係
1.介護ロボットと介助者手足論 夢のような介護ロボットについて思考実験してみましょう。
この思考実験をとおして介護される者の隠された欲望を摘出し、介護関係(介護する・介護される)についての有益なヒントを得られるのではないでしょうか。
さて、もし、2001年のアメリカのSF映画のAI[1]に見られるような完全無欠、完璧な介護ロボットが誕生したとします。
このロボットはお腹がすいたといえば食
介護・人間関係論Ⅲ コミュニケーション行為としての介護
1.「偽会話」はメタ・コミュニケーション 介護は当事者(介護される者)と職員(介護する者)との相互行為であるため、介護は対面的なコミュニケーション行為を必須とします。
しかし、コミュニケーションもままならない当事者(お年寄り)の介護にあっても「介護はコミュニケーション行為といえるのか。」という疑問を持つ人もいるかも知れません。
認知症介護の現場で良く使われている用語に「偽会話」というのがあ
介護・人間関係論Ⅳ.介護関係の非対称性・権力性・抑圧性・暴力性
1.介護における関係の非対称性 介護は介護される者と介護する者の相互行為ですが、介護される者と介護する者との関係は非対称的です。介護を理解する上で、この介護関係における非対称性について整理しておく必要があると思います。
① 関係の離脱可能性
介護関係の非対称性の一つの特徴は、介護関係からの離脱可能性という観点です。上野千鶴子さんはこの離脱可能性について次のように指摘しています。
当事者