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チームのパフォーマンス最大化のために。“自律的な”プロダクトチームの作り方【SaaSビジネス経験談 #7】

シナジーマーケティングのプロダクト「Synergy!❐」に関わる様々な職種のメンバーが、自身の経験を元に、ビジネスに役立つ情報をお送りします。 今回の筆者は、Synergy!のメッセージング機能を担当しているチームのプロダクトマネージャーです。


 

「メッセージング」のプロダクトマネージャーになった私は、このチームを「自律的に動けるプロダクトチーム」にしたいと思いました。自律的なチームになることで判断や意思決定が早くなり、モチベーションも上がってパフォーマンスが向上すると考えたからです。

そして現在、私のチームは各メンバーが「自律的」に動いています。なぜうまくいったのかを考えてみると、実は、プロジェクト進行前に大きなポイントがありました。今回は、自律的なチームを作るために、私が実施したことをご紹介します。


1.開発計画と機能企画で設定したこと

2022年下期に中期開発計画を立てることになり、メッセージングチームのゴールは「安心/安全で使いやすい」機能を目指すことにしました。

メッセージング機能は、メールやLINEなどで企業が顧客とコミュニケーションするためのものです。これらは件名や本文などの内容、配信対象、配信タイミングを間違ってしまうと、訂正やおわびの連絡が必要になることも多いため、慎重な操作を求められます。そのため、プロダクトとしては操作をされる方にできるだけ余計なストレスをかけないことが重要であると考えて上記をゴールに決めました。

Synergy!では、お客様からの要望を収集する仕組みを用意していたり、営業メンバーからお客様のご意見のフィードバックがあったりと、開発の候補はたくさんあります。その中から、何を優先しようかなと開発計画の中身を考えていた時に、これまでにお客様からいただいたご要望を眺めていて、「HTMLメールが作成、編集しにくい」という声が目に留まりました。

昨今、企業から配信するメールはHTML形式であることが多く、きれいで見やすくデザインされています。Synergy!を使ってメール配信を担当されている方は、大半がHTMLの知識を持たない方ですので、Synergy!では、そのような方でもHTML形式のメールが作れるように、専用のエディタ機能を用意しています。しかし、微調整するためにはHTMLの知識を学習したり、HTMLの知識を持つ方の力を借りるなど、何かしら頑張らないといけないこともあり、そこが使いにくいポイントでした。

メールのエディタ機能は、メッセージング機能の中でも、特にお客様の利用頻度が高い機能です。このような機能に対し、使いにくいという声が出るのは、いわゆる「当たり前品質」を担保できていない状態で、このままでは顧客満足度が著しく低下してしまうので、その改善の優先度を上げて開発計画に盛り込むことにしました。

一方で、エディタ機能の改善に着手するには、先に技術的負債を返却する必要がありました。この機能は2015年に開発したのですが、今となっては利用しているライブラリやフレームワークの知見を持つエンジニアが少なく、このまま改修に着手しても開発スピードは上がらず品質の担保も難しいと考えました。そこで、これを機に、今のメッセージングチームに合うアーキテクチャへ作り変えることを決断しました。

技術的負債の返却には時間がかかることを踏まえ、エンジニアを中心に技術的負債の返却を進めながら、その間に並行してPdM、PMM、UXDでエディタ改善の仕様検討を進めることにしました。

2.だれのためにエディタ機能を改善するのか

Synergy!でメール本文を作成する方法は、主に3つあります。
・デザインテンプレートを元に作成する
・過去に作成したメールを再利用する
・HTMLファイルをアップロードする

このうち、エディタ機能を使うケースは、デザインテンプレートを使う場合と、過去メールを再利用する場合です。HTMLファイルをアップロードする方は、エディタ機能を使わずにHTMLメール原稿を用意できる方ですので、今回のターゲットユーザーからは除外しました。

また、社内ヒアリングにて、エディタ機能を利用しているお客様の中にはサポートなどに問い合わせながら頑張ってHTMLの知識を習得してご対応いただいているケースもある(ありがたいと同時に申し訳ない)ことが分かり、そのような方はターゲットユーザーに含めることとしました。そのうえで、使いにくさの課題を掘り下げるため、利用実績や統計データで候補となるお客様の目途をつけて、インタビューを計画しました。

ちなみに、Synergy!には本文だけでなく配信条件なども含めたメール設定を丸ごとコピーする機能もあり、この機能で「過去に作成したメールを再利用する」こともできます。実際にご利用されているお客様にインタビューしたことで、こちらのコピー機能で丸ごとコピーした後に、エディタ機能を使ってHTMLメール原稿を修正されている方も多くいらっしゃることが判明し、新たな気付きとなりました。

3.どんなエディタ機能にするべきか

他社サービスなども参考にしつつ、ここまでの検討で、新しいエディタ機能は、画像やリンク、ボタン、テキストなどをパーツごとに作成し、それらを組み合わせるブロックエディタ方式にすることで、HTMLの知識がない方でも使いやすいのではないかと仮説を立てました。

ただし、本当にそれで解決するのか、Synergy!にとって適切なのかは分からないことも多く、それらは、お客様インタビューのヒアリング項目として設定し、掘り下げることにしました。

計画時点では不明なことも多いですが、何が不明なのか、何が仮説で何が事実なのかを明確にしておくことで、チームメンバーとプロジェクトを進行する際に何を検証・確認すれば良いかが判断しやすくなりました。

4.チームの自律を促すために実施したこと

ある程度方針が定まったタイミングで、キックオフミーティングを行いました。キックオフの目的は、チーム全員が目指すべきゴールの共通認識を持つことにより、最高のパフォーマンスを発揮できる状態にすることなので、なぜこの課題を優先して解消したいのか、その背景を重点的に説明しました。

ただし、1回のミーティングで全てを伝えることは難しいため、計画段階からチームで相談しながら方針を決めていきました。キックオフ前からチームメンバーと相談できる環境というのはもしかすると特殊かもしれませんが、そうすることによって、プロダクトマネージャーが決めた計画をチームが実行する、というような指揮・命令の対立的な構図を防げるのではないかと考えました。

結果として、チームメンバーが納得感のあるゴールを定義できたので、キックオフミーティングではスムーズにチーム内の認識合わせが行えました。

また、ゴールと合わせて背景や理由をチームに説明することで、今まで経験したことがないようなことも、何をするべきか、どう実施するのが良いかなどの手段をチームメンバー全員が考えられるようになり、それぞれの専門性を発揮した手段を提案してもらえました。例えば、ヒアリングしたお客様を4象限(HTMLの知識:高低 × 学習意欲:高低)にセグメントを分けて考えたり、各メンバーが受信してるメルマガを持ち寄って、それぞれどんなパーツ(ブロック)を組み合わせて作られているかを確認して、ブロック種別の重要度を判断するといったことができました。このように、プロダクトマネージャーだけでは思いつかなかったアイディアがいろいろ出てきたのはとてもよかったと感じています。

5.成功したこと、失敗したこと、今後も続けたいこと

今、メッセージングチームでは、チームメンバーがそれぞれ自分の役割を理解し、自律的に行動して開発計画を実行してくれています。ゴールや優先度の認識がチーム内で統一できているおかげで、これは自分がすべきこと、これは相談して決めること、などが臨機応変に判断できて、結果的にみんなが同じ方向を目指して進めているのだと思います。

ただ、技術的負債の返却を進めるメンバーと、新しいエディタ機能を検討するメンバーとの交流が少ないため、チームとしての一体感は他のチームと比べると少ないかもしれません。並行して進めることを優先した結果なので、そのこと自体に後悔はないのですが、何かもう少し親和性を高めるような手は打てないかなと感じているところです。

プロダクトは永遠に仮説検証を繰り返して進化し続けるものなので、今後もチームとともにプロダクトの成長を目指して頑張ります。


いかがでしたでしょうか?
私たちの経験がみなさまのビジネスのお役にたてれば幸いです。

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