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内定者奥飛騨発電所視察レポート

2021年11月、2022年4月に入社予定の内定者2名とともに、岐阜県高山市奥飛騨温泉郷にある地元とシン・エナジーがともに取り組む、再生可能エネルギー発電所の視察に向かいました。
現地で学んだことや、肌で感じたことを内定者2名がレポートしてくれましたので、一部ずつ今回noteでお届けしたいと思います。

内定者Hさん:養鯉場、奥飛騨第2バイナリー発電所

養鯉場

 養鯉場は錦鯉が一定の温度で暮らしやすいという性質を利用し、地熱発電に利用した温泉水の一部を活用しを温度を調整しながら錦鯉を育てている。しかし、視察当日は前日に起こった地熱設備の不具合により池の温度が通常より低下しており、池の上を泳ぐ姿は見られなかった。今回の視察に付き添ってくださった奥飛騨まちおこし株式会社代表取締役の石田氏から頂いた、鯉は温度が低くなると眠り病に陥る恐れがあるという話や、なにかをするうえで生き物は大切にすべきだという話を踏まえて、自然や生き物が関与した事業に携わる上での責任の重さを強く実感した。

養鯉場
普段は池上で鯉が泳いでいる。

奥飛騨第2バイナリー発電所

 実際に地熱発電を視察したことにより、図を見たとき以上に地熱の流れや電気を生み出す仕組みを理解することができた。特に印象に残った点は、地熱は地下が見えないため実際に掘り進めないと実態がわからないという点と温泉にも寿命があるという点である。私は、地熱は地下に常に存在しているため他の再エネ資源と比較して安定であり、発電事業、温泉事業共に長期安定型事業であると考えていたが、今回の視察によりその考えが覆された。また、温泉事業の存続を前提とした地熱発電の確立が求められているということも学んだ。

地熱発電の再稼働に向けた作業の様子
長い棒を湧出口から挿入し、地中の状況を調査している

内定者Aさん:安房谷水力発電所、しぶきの湯バイナリー発電所

安房谷水力発電所

 国立公園内の水力発電施設としては2番目となる安房谷水力発電所を訪れた。国立公園は自然を守るべく「保護と利用」のバランスが常に問われ、計画当初は地域住民に水力発電の理解を得ることが難しく、勉強会を重ねて着工へと至ったと奥飛騨水力発電株式会社の志田氏は語った。既設砂防堰堤の利用やススキの植栽など自然を守りながらの取り組みが実を結び、見学した水力発電所施設は自然の中に溶け込んでいるように感じた。

取水設備。景観保護の為、木々を避ける構造をしている

飛騨高山しぶきの湯バイオマス発電所

 60Hz仕様としては世界初のブルクハルト社製バイオマス発電設備を導入しているのが飛騨高山しぶきの湯バイオマス発電所である。発電所で作られた熱を併設されている温泉施設「しぶきの湯」に供給することで地域振興に繋げている。また、管理にあたっている飛騨高山グリーンヒート合同会社は、案内付きの見学の実施やストーブ用ペレットの販売も行っており、脱炭素化に向けた取り組みに力を入れていると感じた。

ブルクハルト社製小型木質バイオマスガス化システム

おわりに

 今回発電所視察を経て、地域の特性を生かし、地域主導で進める再生可能エネルギー発電事業、地域循環型経済圏に向けた取り組みを学ぶことができたと思います。
 視察前日に温泉が止まってしまうというトラブルにも見舞われましたが、普段見ることができない対応の様子を見学させていただくことができました。後日、無事に温泉がでたという連絡があり、ほっとしました。
実際に発電所に係る地元の皆さまから貴重なお話を伺う機会をいただき、この場を借りて御礼申し上げます。