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虚言(ウソ)を真言(まこと)に替えましょう


替えましょう替えましょう♪
ウソをまことに取り替えましょう。

今日は初天神
そして、多くの天満宮では、“ウソ替え神事”が行われます。

ウソとは、鶯のこと。
天神様・菅原道真公の縁起により、梅に鶯は、ご神木・ご神鳥です。

一時期、天神様が大好きで、各地の天神様詣でをしていたことがあり、
その過程で、ウソ替え神事を知りました。

ウソを真実に替える


日常で、知らず知らずのうちに、悪意がなくても、真実と違うことを言ってしまうことがありますよね。
よかれとつくウソもあります。嘘も方便
商売をする人の場合、宣伝のためよいことばかり口にしてその気にさせ、勧めることにも、誇張というウソが入ることがあります。

また、今はそうでないけれど、
自分はこうなりたい、絶対にこれを叶える!!と、
夢を語ることも含まれるようです。
スピリチュアルでいう、アファメーションも、これかな。

そして、物書きであれば、
感覚をより際立たせるように、若干の誇張表現をしたり、
ファンタジーやSFなど、実在の有無に関わらず、
架空の人物・架空の世界・架空の次元における、夢のある虚言(そらごと)
架空の物語を、真実あることのように、巧みに描き出すことも、“ウソ”のうち。
作家とは、まことらしく虚言を巧みに表す詐欺師と同じ…なんて言われた時代もありましたから。

そのようなすべてのウソの罪に対し、
ウソ鳥をかたどった木彫り人形を取り替えることで、
虚言の咎を、善きことに替える。
そして、叶えたい願いは、真実叶う現実に替える。

文章表現をおこなう者として、これは欠かせない御神事と思い、
可能な範囲で、初天神に参り、鷽をいただいて、書き物机に置いていました。

各地のウソ替え


このウソ替え神事、
北野天満宮ではやっていなかったので、かつては知りませんでしたが、

数年前、フィールドワークで、
河内の御由緒尼寺・道明寺と、道明寺天満宮へ参って、初めて知りました。

東京では、有名なところでは、
亀戸天神と、湯島天神で行われています。
こちらの場合、昨年いただいた木彫りの鶯鳥を、新しく取り替えに参ります。

一年の間、知らずについた“ウソ”の、形代となってくれた木彫りを、
新しく替えて厄落としするということでしょうか。

亀戸天神では、できれば昨年いただいた木彫りより、大きなものに替えるとよいとされ、
抱えるほどのサイズの木彫りもあります。

亀戸天神

湯島天神のウソ鳥は、素朴な作りです。

湯島天神

中でも私は、関西の、道明寺天満宮のウソ替えが好きで、
この日は、境内がギュウギュウになるほどのたくさんの人が集まります。

境内で並ぶと、まず、小袋に入った小さな可愛い木彫りが手渡されます(無料なんです!あとでお心持ちにお賽銭するのみ)。
神職様がたが、ひとつひとつ手造りされた、これ自体が縁起物。
すぐに中を見たくなるし、大切に持っていたいところですが…この時点で、中を見たらダメ。

時間が来ると、太鼓が鳴らされ、
一斉に、誰かれ問わず、周囲の人達と、片っ端から、鷽の入った小袋を取り替えまくります。
「替えましょう」「替えましょう」の声で、境内が埋まり、歩きながら、老若男女入り乱れて、取り替え合います。

たくさん替えれば替えるほど、福が集まるとされ、
時間内、瞬間的に小袋が、見知らぬ手から手へ流れていく。

合図の太鼓で終了した際に、手に持っていた小袋が、自分の鷽になります。

道明寺天満宮の鶯

そこで初めて袋を開くと、木彫りの鷽の底の部分に印があって、
当たっていたら、金の鶯・銀の鶯・大きな木彫りがいただけます。

純金の鶯

金の鶯は、まさにラッキーの象徴!!
地元の新聞社やテレビの取材を受けたり、しばらくは人に囲まれて、一躍ときの人!

当たった人の福にあやかろうと、たくさんの人が群がって、見せてもらったり触らせてもらったり、手を合わせる人もいます。
さすがに私は当たらなかったけれど、写真は撮らせていただきました。

本当に楽しくてワクワクして、
叶うなら毎年参加したいのですが、
この日に合わせて関東から出向くのが、なかなか…

鶯はクリエイターの守護鳥

太宰府天満宮、大阪天満宮などでも、行われていると聞きますし、
いつかは、全国のウソ替え巡りを年ごとに巡拝したいもの。

たいていは初天神の行事ですが、
奈良の菅原天満宮のウソ替えは、確か6月の天神の日に行われておられました。

縁起物をいただくのみでしたら、
私の一番最寄りは、東京・西新宿の、成子天神社。
菅原道真公が左遷された際、家臣も地方に流されたそうで、それが縁起のお社。
春日局も深く崇敬したとされる、優しい趣の神社です。

高層のビルに囲まれながら、新宿とは思えないほど不思議なほど静かで静謐な別天地。
東京最大の富士塚もある、憩いのオアシス。

成子天神社の鶯

こちらのウソ鳥さんは、ほどよい大きさで、バッグにつけて持ち歩けます。
モバイル仕様のノマドワーカーな作家さん向けかしら。

疫禍下で、人が集まり接触し合う、関西のウソ替えも、しばらくは自粛だったかもしれません。
今年はどうでしょう。

今回は仕事があって参れませんが…

文学・文化・詩歌管弦に関わるクリエイターとして、
天満天神のご利益にあやかる行事
が嬉しくて、

毎年、初天神の日は、ひとりワクワクしております。


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