日本全都道府県に行ってきた(立山黒部アルペンルート)
これまでの流れはこのマガジンからどうぞ。
11月2日
さて、今日は大移動日。
立山黒部アルペンルートを走破するのだ!
公式ウェブサイトから画像をお借りしたが、こんな旅程となる。
本日は松本から電車、バス、電気バス、ケーブルカー、ロープウェイ、トロリーバス、バス、ケーブルカー、電車…と、ありとあらゆる交通手段を提供させていただきまっせ!という大盤振る舞い。
乗り物好きにとっては歓喜の涙にむせるようなルートだ。
あ、そうだ、今晩のホテルは富山駅から少し離れているので、路面電車にも乗る!
ウキウキして朝を迎え、カーテンを開ける。
ところでこのホテルは、中央本線とは道路を挟んですぐの場所にあり、泊まった部屋はまさにそちら向きだった。トレインビューというわけですね。僕が乗り鉄ということがバレていたのか…(そんなわけない)。
毎日部屋の窓から、ずらりと駐留している「あずさ」の車輌などを見るのは楽しいものだ。
ともあれ、この日の窓の外は…
あれ?一面曇り空ではないの?本来なら、あの向こう側には山が見えるのだが、それも全く見えない。
今日の旅程は、とにかくいい天気にならないと困る。非常に困る。
慌てて天気予報をチェックすると、これから天気は回復するとなっているが、本当かな…。
半信半疑になりつつも駅に向かい、大糸線の普通列車に乗る。朝だから通学生がとても多く、かなり混んでいた。
それでも順々に学生は降りていき、一時間ほどで信濃大町駅に到着。
まだ朝早く静まっている大町でバスに乗り換え、バスはちいさな町を抜け、ぐんぐんと山道を登っていく。
山々の木も段々色づいてきて、これはいい感じだな~、と気分が盛り上がってきた。そして空も段々クリアーになってきた!
30分ほどで着いた扇沢は…見よ!
なんだ、雲がほとんどなくなっているじゃないの。
ここで電気バスに乗り換える。僕が乗ったバスの他にも、マイカーや団体観光バスなどから降り立ったかなりの数の乗客がいて、海外からの旅行客も大勢いた。ということで、バスは一台では収まらないので何台か連なって出発。
電気バスはすぐにトンネルに入り、その中をどんどん走る。なんとこのトンネルは6キロの長さがあり、途中にすれ違い施設がある。
この路線の途中で、長野県から富山県に入る。北陸地方に突入!
15分ほどでバスは黒部ダム駅に到着し、乗客はぞろぞろと降車。
地下駅から階段を登って外に出ると…これですよ。
雪山なんて本当に久々に見たなあ…。
そして、この時期は放水はしていないと聞いていたのだが、なぜかダムからは盛大に水が出ていて、虹が見えるんですよね…。
とにかく、圧倒的な眺めであった。
おっとそろそろケーブルカーの駅にいかなくちゃ。
駅はこのダムの真上を歩いた反対側にある。
頑丈極まりなくて幅の広い通路だけど、へりに行って見下ろすと、やはり足もとがスーッとしてしまう。
クラシックな塗色のケーブルカーに乗る。このケーブルカーも、ぎっしり満員だった。
このケーブルカーはなんでも日本で唯一、全路線が地下トンネルということで、車窓の景色を楽しむという訳にはいかないが、ガツンガツンと音を立ててぐんぐんと高度を稼いでいる…はずだ。
ケーブルカーは5分ほどで黒部平駅に到着。ロープウェイ乗り場はすぐなので、ちょっと外に出て写真を撮る。先程までいた黒部湖がこんな下に。
それにしても、空気が澄んでいて美味い!マスクを外して深呼吸をした。
ややビビりなので、ロープウェイはおっかないんだが、景色を見ていたらそんなことを考える余地もなく、「うわーすげーなー」を心のなかで連発していた。
なんとこのロープウェイで、一気に標高を488m稼ぎ、終点の大観峰はついに2,316mの高みにある。
少し話が逸れるが、今ちょっと気になって、オーストラリアで一番高い山である、Mount Kosciuszkoの標高を調べてみたら、なんと2,218mだった…わあ、それより高い場所に行ってたんだ…。
ここで今度はトロリーバスに乗り換え。見た目はバスだが、屋根にあるポールから電気を取って走るというもので、日本で現役なのはここだけ。トンネルの中ばかり走るので、排気ガスの出ない乗り物である必要があるのだ。
さて、地下にあるトロリーバスの室堂駅から外に出ると…
雪だ!足もとに、雪がある!
スンマセン、雪なんて降らないシドニーに住んでるので、舞い上がってしまいました…。
でも、雪をサクサクと踏んで歩く、なんて何年ぶりだろう?
降ってしばらく経った雪なので、もちろんフワフワという手触りでもなくて、むしろ氷だけど、もう嬉しくなってしまい、雪を拾っては真っ青な空に向けて放り上げて、その反射を眺めて笑っていた(怪しいやつじゃん)。
みくりが池に向けて歩く。薄く雪が残っているので足もとがやは不安定だが、この辺りは歩いている人も多いので比較的ラクだった。
雪をかぶった山と真っ青なみくりが池とのコントラスト…。
どうせなら、もう少し先にあるみどりが池まで行ってやろうと歩き始めたが、ここは人通りが少なく、それなりに雪も残っているので歩き難さが増加し、しかも下り坂になっている箇所は少し…いや、かなりズリズリと足もとが崩れるのでおっかなかったが、続行!
そこら辺の茂みに雷鳥くんがいないかな~、と目を凝らしたが、見つからなかった。
流石にここまで来ると普通の観光客はほぼいなくて、しっかりとした装備をした登山客がときおり通るくらいで、雪が音を吸ってあたりはしんとしている。
誰が作ったのやら、雪だるまが雪山をバックにいい感じ…。
素晴らしい景色を見ると、美味しいお酒を飲んだ後のようなほわっとした気持ちになる。
名残惜しくも室堂駅に戻り、立山高原バスに乗って下山となる。
バスの窓からちらっと見えたあの高い山は、もしかしたら剱岳?
それにしてもこのバスルート、ものすごい。
2,450mの室堂から、なんと1,500m近く山を降り下って終点の美女平まで行くんだから。
途中の景色も圧巻だった。植生も、灌木しかないような場所から、鬱蒼とした樹木が生い茂る場所まで徐々に変わっていくのを目の当たりにでき、なるほどなあ~、と思った。
終点の美女平では、またも紅葉が綺麗だった。ここからはケーブルカーでまた高度を下げる。
立山では次の電車まで少し時間があったので、駅前のおしゃれなカフェでコーヒーを飲む。このあたりも紅葉が綺麗。
地元サッカーチームのラッピングをした富山地方鉄道の電車に乗り、いざ富山駅まで。
途中の橋を渡るスポットではアナウンスがあって電車が徐行した。わ、絶景スポットでないの。
それにしても、もう日暮れか…長い一日だったなあ。
電車はしばらく山間部を走った後、ついに平野部に出る。車窓から立山連峰が見えたので、あそこを通ってきたんだな…と考えると夢のようだ。
今では新幹線も通る富山駅はとてもモダンになっていて、ここから路面電車に乗ってホテルに向かう。
晩メシは、シドニー在住の富山県人に是非行って下さい!とオススメされたお寿司屋へ。暗い路地をてくてく歩いて着いたお店は地元のお寿司屋、という感じで、予約もなくてどうかな…と思ったが、なんとかねじ込んでくれた。
こういうお店にハズレはないので、「僕、土地のものじゃないのでお任せします!」とお願いして出てきたのがこれ。
そして、これ。そりゃ、北陸だもんな、お魚、おいしいわ。
いやはや、もうイヤと言うほど美しい景色を堪能し、様々な乗り物に楽しく乗って、締めはこの食べ物かよ…。
いや、本当に夢だったのかもしれない。
(つづく)