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俺って支えられてるな…。

ガサガサ、バンバンする音で目を覚ました。
音を発しているのは僕の彼女だった。
彼女は母親と10時から上野の美術館でマティス展を見るために、8時半ごろ起床し、ドタバタ準備をし始めていたのだ。
彼女が準備している時にガサガサ物音を立てながら準備していることが少々気になった。
普通寝ている人(俺)がいたら、物音を立てずに準備をするのが普通ではないか、と思ったが、これもまた僕の好きな彼女の大胆さなのだろう。
彼女とハイタッチしてから再び眠りに付き、目を覚ますと11時になっていた。
少しだけ空いたカーテンから差し込む光で、外は少しだけ晴れていることがわかった。
カーテンを全開にすると、自然光によって6畳半の家の汚さが露わになった。
なぜ部屋は汚くなるのだろう。なぜ1人暮らしをしているのに、これだけゴミは出るのだろう。

とりあえず俺は、朝ごはんか昼ごはんかわからない飯を作ることにした。
冷蔵庫の上には鯖缶の水煮があった。
この鯖缶の水煮は、彼女が家から持ってきてくれたものだ。
金がない俺のために実家から大量の食料を持ってきてくれたのだ。

本当にありがとう。

しかし、鯖缶の水煮の使い方がマジでわからない。せめて味噌煮にして欲しかった。
そんな贅沢は言ってられないから、「鯖缶水煮 レシピ」と調べた。
すると、鯖缶の水煮を甘辛くそぼろにするレシピを見つけた。俺は鯖缶の水煮を見て絶望していたが、このレシピを作った人は、鯖缶の水煮でこれだけのクリエイティブを発揮していることに感動した。まだまだ成長できるなと思った。
冷蔵庫を開けると、巨大でしかもとてつもなく長い茄子が一本転がっていた。
この茄子もまた彼女が買ってきたものだ。俺は思いついた。甘辛く煮たそぼろと茄子をあえれば、まるで麻婆茄子みたいになって美味しくなるのではないかと。ありがとうでかなが茄子。
茄子を乱切りにして、片栗粉をまぶしてエクストラバージンオリーブオイルで炒めた。
このエクストラバージンオリーブオイルも彼女が持ってきてくれたものだ。
ありがとうエクストラバージンオリーブオイルと彼女。
エクストラバージンオリーブオイルでテリテリになった茄子に、ほぐした鯖の水煮の入れた。
砂糖と醤油とみりんを入れて炒めると、それっぽい見た目になってきた。
マジで、料理って見た目が重要だと思うんだけど、そのレシピ通りにしたら、その食材がその料理になる過程が面白すぎる!!何言ってんねん。
タッパーに入れていた冷凍ご飯を温めて、鯖のそぼろをかけた。砂糖入れすぎた。
飯を食って、タバコを吸った。とりあえず俺は掃除をし始めることにした。掃除をし始めると他のいろんな汚さが気になり始め、いつも大掃除になってしまう。掃除をし始めたら止まらなくなる現象に名前をつけたい。いや、もしかしたら名前があるのかもしれない。chatGPTに聞いてみよう。聞いてみたら、それは「掃除マニア」の可能性がありますと言われた。なんかしっくりこない。そうして俺は結局、最高に家を綺麗にした。
こんな風に仕事も、事務的な手続きも熱中して完璧に終わらせることができたならなあと思う。
本当に俺はとても飽き性だ。5分前に何かこれやりたいと思っても、また次にやりたいことが出てくる。

いや待てよ。
コロコロ何かし始めることが変わるのであれば、自分の好きなことをコロコロとできる環境を作ればいいじゃないか。ああ、事務的な煩わしさから解放された呂布カルマになりたい。

掃除が終わり、天気が良かったので、小学校時代からの友人がいるライングループで、「暇な人自然を浴びに行かないか」とラインをした。ラインをしてからタバコを吸っていると、世田谷に行きたくなってきた。

そういうわけで俺は一眼レフカメラをリュックサックに入れて、自転車で世田谷を目指すことにした。
俺の家から世田谷までは8.5キロ。渋谷を通るので、坂道が少々きついが問題ない。俺は自転車を走らせた。道中にアサヒ自転車があったので、チャリの空気を入れてもらうことにした。パンパンに空気を入れた状態で走り出す時が一番好きかもしれない。いやそんなことない。

自転車につけてあるスマホスタンドにスマホを置き、google mapで世田谷駅を目的地にして案内してもらいながらチャリを漕いでいた。

しかし、途中からgooglemapに従っていくことが嫌になり、曲がり角を曲がった。するとそこには、夢の世界があった。

次回に続きます。

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