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霧なるものと抱擁

霧なるものと抱擁

 霧が好きだ。濃ければ濃いほどいい。重力に任せて特攻し無理矢理水の中に放り込むような力強い雨と違って、そこに漂っていながらじんわりと水の中で抱擁してくれる、そういうこしょばい感じが好きなのだ。
 今朝目が覚めると、窓から見える大きな建物に霧がかかっているのが見えた。霧がかかっているということは放射冷却が作用し、空気が冷やされ空気上の水蒸気が水滴に成ったということ。そう言えば、今週辺りから梅雨入りし

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SEIJODESU

SEIJODESU

 諸般の事情から酒を控えるようにしている。決して辞めたわけではない。ただ控えているということだ。して、酒を控えるということはどういうことか。常に現実の中に住まなければならないということだ。
 これがなかなかにしんどい。現実に住むということは、現実であった辛いことだとか、泣きたくなることだとかに常に向き合わなければならない。酒で頭を飛ばして、つらい現実からエスケープすることも出来なければ、意識が飛ん

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ストイックに孤独

ストイックに孤独

 職場にて同僚から「普段どんな暮らしをしているのか?」とプライベートに思いっきし脚を突っ込んだ質問をされた。秘匿がある人物であれば、他人にプライバシーを話すなんてとんでもない。今まで犯してきた罪がバレてしまうではないか、と言って、道祖神が如く頑として硬直し一切の言伝することなく黙秘に徹するだろう。
 其の点僕は、秘匿する罪もあるわけないし、いちいち私生活について話すのを固辞する人間ではないので、ぺ

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脳汁溢れる目合い

脳汁溢れる目合い

 脳汁が溢れる、または、脳汁が湧くという表現がある。これはとてつもない興奮や達成感などを味わった際に言いようのない快楽を覚え、脳の中に液体が溢れるというような比喩表現だ。実際には脳汁などという液体は存在せず、脳の中に快楽を促進させる液体が巡ったり、こんこんと湧き出ることもない。あるのは、医学的・科学的に証明された無味乾燥な神経物質だけである。
 僕はこの脳汁溢れる瞬間に遭遇したことが無い。というか

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夏の虫共と講座

夏の虫共と講座

 先日、僕の巨体を運ぶ車に日頃の感謝を示すため洗車をしていたのだが、どうも小さな虫たちが集まってくる。ウザったいなと思いながらも、少しだけ観察してみるとどれもこれもが車体に付着した水滴に群がっている。あるものは車体が作り出した影に隠れ、あるものは口を水滴に着け水分を補給していた。詰まり、この虫たちは水分と涼を求めて車に群がっているということだ。
 ホースから射出した水が舞う中、虫たちが涼を求めてや

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嘘のチャリ漕ぎ候

嘘のチャリ漕ぎ候

 あいも変わらず、エアロバイクという嘘チャリを漕いで運動量を稼いでいるのだが、一向に痩せる気配がない。それなりの運動をしているはずなのに丸の体系を維持している。どうしようもない矛盾がこの腹の中で渦巻いている。
 原因を考えてみると、二秒で思いついた。酒だ。酒というよりは食生活全体が問題があるように思える。其れも其のはずで、痩せるために始めたというよりは健康を維持するために始めたが故に、食生活の見直

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阿呆の彷徨き|『阿房列車』

阿呆の彷徨き|『阿房列車』

 最近、内田百閒の『阿房列車』をスロウなペースで読み勧めているのだが、これが強烈に面白い。
 此処で言う阿房というのは、読んで字の如くアホのことではなく、秦の始皇帝が建設した阿房宮に由来するらしい。よって『阿房列車』の内容は、列車の中でいきなりケツを丸出しにしたかと思えば、島根県の民謡「安来節」を絶叫しながら廊下を往来。挙句の果てには、隣席に鎮座している老人が身につけている金品を奪い取り、脱兎の如

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『もう沖縄らしい風景って無いですよ』

『もう沖縄らしい風景って無いですよ』

 いつも利用している立体駐車場が営業終了を機に、新しい建物へと建て替えるらしい。機をしてと書いたが、建造から50年余りに成らんとしている建物は、老朽化に耐えることが出来ないということが最大の原因という。其のことに関してはなにか特別な感慨があるわけではないが、駐車場の建物自体には歴史的な意味合いを含んでいる。
 立体駐車場の名前は『みどり立体駐車場』という。この駐車場は沖縄がアメリカ占領時代の影響が

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潜るという日常から脱する行為

潜るという日常から脱する行為

 Jamiroquaiというコズミックジャズバンドがいる。其のバンドの曲に『Virtual Insanity』という曲があるのだが、これは北海道は札幌、札幌駅の様相にインスピレーションを受け書き上げた曲だという。
 なぜ札幌がインスピレーションのキッカケに成ったのか。Jamiroquaiのフロントマンであるジェイ・ケイが言うには「札幌は地上に全く人が居なくてどんな町なんすかここ、と思ってい地下に潜

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地球規模で考えよ

地球規模で考えよ

 昔、『ROVE』というレゲエに関する情報を専門に扱う雑誌を読んでいた時期がある。新譜などの音楽情報はもちろんのこと、アーティストへのインタビューやディスクレビュー、ファッションのこと、果てはアーティストのゴシップなど、なかなかに読み応えのある雑誌だったと記憶している。巻末には編集者やアーティストのコラムなども載っており、ファッションやゴシップなどはすっ飛ばしてそこばかり読んでいた。
 いつの号だ

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SFマガジン『特別対談 宇多田ヒカル✕小川哲』と言葉の紡ぎ方について

SFマガジン『特別対談 宇多田ヒカル✕小川哲』と言葉の紡ぎ方について

 SFマガジン 6月号に掲載している宇多田ヒカル✕小川哲の対談がとても良かった。

 noteで無料公開していた文章を読んでいたのだが、尻切れ蜻蛉的な感じで締めていたのでこれはきっと続きがあるのに違いないと睨み購入したのだが、無料公開している分がそっくりそのまま掲載していた。何たることか、何たる確認不足。まんまと販促行為にしてやられたということだ。他の項目を特に確認していないこのSFマガジンは一体

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KODOMO in tha 成長グルーヴ

KODOMO in tha 成長グルーヴ

 子供が苦手だ。そう意識し始めたのは、高校二年生の時期にあった出来事に由来する。
 あくる日、親戚の子の番を任されていたら、いきなり「お前のことが嫌いすぎるので俺は今から不機嫌になる。脇目振らずに泣くことでお前を悪党にしてやる」と子から宣告され、実際にギャン泣きされた。あたふたしている僕がなぜか悪さを働き子を泣かしたということにされ、「子を泣かすとか信じられん。年長としての自覚はないのか」などとい

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ゲームは酒を禁ずるのに最適な手段

ゲームは酒を禁ずるのに最適な手段

 黄金週間は祖母の危篤があったり、酒の席の予定が消滅したり、そもそも兄夫婦の子供から風邪を移されたりと散々な状態に陥ったがために、心休まる瞬間が訪れることなく消化されていった。そう、消化されていったのだった。
 難しい話である。無視して全てを遂行、完結してしまえば充実し、結果としてなんかいい感じに得るものがあった、最高だったとしてEmotionalなものとして消化することができただろう。しかし振り

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黄金週間へ突入|『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』が良かった

黄金週間へ突入|『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』が良かった

 祝うべきことに連休に突入した。黄金週間。実際はただの4連休とお粗末なものだが。なので、一日くらいはデロンと過ごしてやろうと思い、久しぶりにSwitchを起動。買って放っていた『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』をプレイした。
 これが激烈に良かった。本当に面白い。ハマりすぎて一日で全てクリアしてしまつた。プレイ時間は約11時間程度。朝から晩までブッ通しだった。休みにも関わらず酒を飲むこ

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