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50年ぶりのキュビズム展は、素晴らしいの一言。

期待感が高まります!

国立西洋美術館の「キュビズム展」。
キュビズムって言葉、馴染みが薄いかもしれないが、例えば、ピカソのヘンテコな絵がある。目がおでこの位置にあったり、鼻が変な方向を向いていたり。簡単に言うと、あれがキュビズム。堅苦しく説明すると、人物や静物の形を幾何学的な形体に見立て、いったん解体する。そして解体したピースを画面上で再構成する。そうなると様々な視点からの画像が二次元で復元された絵画が完成する。

10年ほど前に西洋絵画を好きになった。きっかけは、ピカソの「アビニョンの娘たち」を画集で見たとき。アフリカの仮面をモチーフとした呪術的な裸体の女性を描いた実験的試作に衝撃を受けた。この絵は賛否が分かれたが、これをきっかけに、ピカソはキュビズムの先端を走っていく。代表作「泣く女」は僕が最も大好きな作品だ。

それまでの西洋絵画は、自然をありのまま描写する「写実主義」だったり、モネに代表される、光を強調した「印象派」が中心を占めていた。しかし写真というメディアの台頭に、風景や光の移ろいを描写する従来の絵画スタイルの存在が揺らぎ始める。絵画が写真に取って代わられる脅威にさらされる。危機感を覚えたのがスザンヌであり、ピカソ、ブラックだった。

彼らの提唱したキュビズムが、どのように生まれ、発展し、完成を見るのか。この展覧会では、そのプロセスがよく理解できる。ピカソの絵画も素晴らしいだが、ピカソの盟友のブラック、フォロワーのレジェ、ドローネーという、若干マイナーな画家の絵画の鮮明な色彩、躍動感に目を奪われた。

鮮やかな色彩のキュビズム


キュビズムは素人目から見ると面白くて、西洋絵画の入口としては最適なジャンルである。しかし、作品達を全てヘンテコな絵と簡単に解釈する人が多数であるのも事実だ。セザンヌはこの風潮に「絵画には目と頭脳が必要だ。ピカソの絵を子どもが描く絵と言い切ってしまうことは、本来理論で読み解かなければならぬピカソ作品に対する理解を放棄することに他ならない」と警鐘を鳴らす。西洋美術は感性でもあるが、理論も隠されている。

僕たちはそこまで堅苦しく考える必要はないが、実はキュビズム絵画は自分で解釈や想像を広げると、結構楽しめる。どこから見た視点なのか、何故この色使いなのか、そう考えると、他の絵画よりも鑑賞に時間がかかる。1枚の絵画を30分近く見ることもある。そしてこれこそがキュビズムの魅力だと思っている。期間中にもう一回来ようかな~w

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