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イタリア語の謎 ある日本人の「苦労」


食べ物を食べている時に「美味しーい。」と言いたくても「え、今食べているもの女性名詞だっけ、それとも男性名詞 ?」と考えてから「美味しい」の一言を言わねばならないイタリア語。イタリア語には、BUONOブオーノ BUONIブオーニ BUONAブオーナ BUONEブオーネ と4つの「美味しい」がある。男性単数のものを食べてる時はBuono。女性単数、例えばりんごを食べてる時はBuona。スパゲッティーは、もともと複数形の単語だからBuoni..でも1本のスパゲッティーはスパゲットだからbuono?? 正直言ってとても厄介。

複数と単数名詞の違いがない日本語を話す日本人にとって、この概念は仲々自然に入り難い。何故1個と2個以上の単語の末尾を変える必要があるのか、私には理解できない。1つと2つの数字の差よりも、2つと100の違いの方がずーっと大きいのに、何故2つ以上は皆同じ複数系で表現しても良いのか。

また果物の柿はイタリア語でも柿(カキcachi)だが、それはあくまで複数形。つまり2個以上の柿があるときのみ柿で、1つの柿はイタリア語でカコ(caco)って言うんだから参る。

複数形、単数形の規則も不定形数々。ゴリラは1匹でも5匹でもゴリラ。でもメガネは1本でも複数形。

たくさん林檎があれば、何となく複数形を使う気にもなるが、1つのメガネに複数形を使うのには納得できない。「え、だってレンズが2つあるから複数形でしょ」て言われたことがあるが、鼻の穴が2つあっても、1つの鼻は複数形にはならない。

何年か前、子供の誕生日に、小学校のお友達を呼んでパーティーをした時の事。子供達にゲームでもして楽しんでもらおうと考え、私がみんなの真ん中に立って説明を始める。

「今日は楽しいゲームをするよ。さあ、みんな目を瞑って」と私が言ったところ、子供達はみんな片目を瞑った。

。。。。。。

一瞬、何が起こったか分からず、固まる。何故みんな片目しかつぶらないか。。。

そこで「はっ」と気付いた。しまった。目と言う単語を単数形を使って「目を瞑れ」と言ってしまった。

子供達は私の言う言葉通り、単数形の目、そう片目を瞑ったのだ。

あ、またやってしまった。日本人ママ。

そんなこと言ったら、完璧に外国語を話していらっしゃる海外在住の奥様に怒られるかもしれない。

「はい、私だけの問題です。」

誕生パーティーが終わり、娘が湖で泳ぎたかったらしく、「ママ、お風呂入ってくる」と言いながら湖に入っていった。確かにイタリア語ではお風呂に入るという単語と海水浴 (湖水浴)は「Bagno バンニョ」という同じ単語で表現する。

バイリンガルですら間違いをする。なんとなく「ほっ」としたひと時だった。

それにしても、言語習得は奥深し。何年経っても「イタリア語」を母国語のようには話せない。年をとってアルツハイマーになると、習得した言葉を忘れる人がいるそうな。それだけは避けたい、と脳トレしている今日この頃であった。




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