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私の部屋へようこそ

その日、駒沢公園駅の賑やかさを背に、ウサギは慣れ親しんだ道を歩いていた。この先の駒沢オリンピック公園の陸上競技場は、彼女がかつて自己記録を更新した場所。でも今日は、彼女の足は別の方向へと向かっていた。「ここはもう、昔の風景ではないわね」と彼女はつぶやく。街は変わり、そして彼女もまた変わった。

目指したのは「#flowership」という名のロスフラワーのお店。店の前には小さな階段があり、その上に立ちドアを開けると、花瓶の花が優しく彼女を迎えてくれた。このお店では、イベントのキャンセルなどで使用されずに命を持て余してしまった花が、新たな主を静かに待っていた。

ウサギはそっと花を眺めた。彼らに罪はないが、世の中の都合で見過ごされてしまった。そんな花にウサギは心を寄せる。「こんなにも綺麗なのに」彼女は独り言のように呟いた。そんな彼女を花は黙って見つめている。

ウサギは一つの花に手を伸ばす。「私の部屋に来てくれる?」と、まるで花に話しかけるかのように。もちろん、花から返事などない。でも、その瞬間、ウサギには花が嬉しそうにうなずいているように見えた。

花は丁寧に包まれ、ウサギの手の中で温もりを帯びていく。彼女はその花が喜んでくれている事を願いながら、ともに家路についた。

私の部屋に来てくれて、ありがとう

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