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東京タワーに登るなら

その日、ウサギとカメは東京タワーのメインデッキに立って、広がる都市のパノラマに心を奪われていた。空は青く澄み渡り、遠くには海をまたぐレインボーブリッジがくっきりと浮かんで見えた。

メインデッキからのビュー

「それにしても…」とウサギが話し始めた。「今日は外階段が使えないなんて、どうして前もって確認しなかったのかしら」彼女の声は元気がなかった。一方で、カメは安堵の息をついていた。「外階段が使えない日で、本当に良かった」

「やっぱり外階段で登りたかったの。景色がだんだんと変わっていくところを、風を感じながら楽しみたかったのよ。強い人なら、たった2分でここまで駆け上がれるんだから」とウサギは言った。「東京タワー階段競走という大会があるの。いつか出てみたいわ」と、彼女はそっと続けた。

気を取り直し、メインデッキを歩いていたウサギは、ふと、ある表示物に目を留めた。その表示には「Steps or Elevator」と記されていた。「これは、もしかしたら…」彼女の表情がみるみる笑顔に変わっていった。

運命の分かれ道?

カメは慌てた。「ま、まさか歩いて降りるつもりじゃないよね?」ウサギは目をキラリと輝かせた。彼女は黙ってカメの手を取ると、階段に向かって跳ねるように歩き始めた。

そして…。春のやわらかな風が、外階段の二人をやさしく包み込んでいた。

風が気持ちいい  By ウサギ

「ちょっと。さっきから一歩も動いてないけど、大丈夫?」ウサギは、手すりにしがみついているカメの顔を覗き込んだ。

ちゃんと金網があるわ。落ちないから大丈夫よ

「東京タワーのオレンジ色の鉄骨と、真っ青な空とのコントラストが本当に美しいわ」とウサギはギリギリまで金網に近づいた。その笑顔は、カメを見ると苦笑いに変わった。「カメくん、高所恐怖症だったのね」

ようやく階段を下り切ったカメは、ほっと息をつき、東京タワーをじっと見上げた。「やっぱり東京タワーは、下から見るのがいいね」カメは心の底から呟いた。

 めっちゃ怖かった  by  カメ



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