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沖縄への幻想旅行

その日、ウサギとカメは、祭りの賑わいに包まれたラ・チッタデッラにいた。「はいさいFESTA」の会場は、沖縄の離島から持ち寄られた品々で色とりどりに飾られており、二人の馴染み深い、石垣島や宮古島の風を感じさせた。空気はタコライスやソーキそばの香りで満たされ、その一方で、海の波が寄せるかのように、貝殻で作られた繊細なアクセサリーが店頭に並べられていた。

波をすり抜けた光で時を知らせる
Ocean digital clock

中央噴水広場に立つと、二人の耳に三線の音色がゆったりと流れてきた。ウサギは目を閉じ、「まるで本当に沖縄にいるよう。ゆったりと時間が流れる感覚が心地よいわ」と、夢見るように呟いた。

二人が流れに任せて歩いていくと、シーサー焼きカステラのお店が彼女の目に留まった。「コロコロしたシーサーの形が愛らしいわ」と、彼女は心を奪われるように店頭へと駆け寄った。

シーサー焼きカステラの屋台

「あっ、あそこにブルーシールが!」ウサギの目がまるで夜空の星のようにきらめいた。沖縄生まれのさまざまな味のアイスが二人を静かに迎え入れた。彼女はケースの前で、「どれにしようかな」とつぶやきながら、一つ一つを丁寧に眺めた。「これにするわ」弾んだ声で彼女は言った。彼女は指を伸ばし、「琉球紅茶わらび餅」を選んだ。

シーサー焼きカステラ  と  琉球紅茶わらび餅

お祭りの賑わいが通り全体を包み込んでいる中で、ウサギは人混みに紛れながらも、そのアイスにそっと口をつけた。ひと口、ひと口に彼女の目が大きく輝いた。「紅茶とわらび餅の組み合わせ、まさに神がかっているわ…」

周囲の騒音が一瞬にして彼女から遠ざかり、彼女はその味の深みに心を奪われていた。その瞬間、彼女の心は広い沖縄の海へと漂っていた。それは、ほんの少しの間、現実から離れる旅だった。

シーサー焼きカステラは、後ろ姿もかわいい

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