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宇宙飛行は538.9の書架に

銀河系のはずれに、宝石のように輝く小さな星が一つ存在する。そこには、夢見るウサギと賢明なカメが暮らしていた。二人には、宇宙のどこかに隠された、永遠の命を秘めた伝説の宝を見つけるという大きな夢があった。

「今夜の星はいつもより輝いて見える」と、夜空を見上げていたウサギが言うと、カメは隣でうなずきながら言った。「そうだね。今夜こそ、地球を離れる絶好のチャンスだ」。 この日のために二人は、図書館の分類番号440の書架で宇宙のことを、分類番号538.9の書架で宇宙飛行のことを学んでいた。

二人乗りの小さな宇宙船に乗り込んだウサギとカメは、未知の星々に向けて進路を取った。 永遠の命についての情報は少なく、それが龍の形をしているということだけが、古から伝わっていた。

「手掛かりが無いから、行き先は宇宙船のAIにまかせましょう」と彼女が言うと、カメは落ち着いた声で応えた。「どんなに果てしない旅になっても、伝説の宝物を見つけられると信じている。」

二人が乗った宇宙船は、永遠の命に導かれるように、龍が宙を舞うように、宇宙空間を駆け巡った。

つづく


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