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レガシーハーフマラソン

雨の音が耳を打つ。カメはその中を疲れた足でゆっくりと歩んでいた。傘も持たず冷たさに身を震わせていた。それでも不思議と道端には見守る者たちの姿があった。霞んだビル群が彼の姿を遥か上から見つめているように感じた。

21キロの距離を歩ききると競技場の入口が見えてきた。安らぎを感じる間もなく、カメは冷たくなったシャツを脱ぐために風に晒されたスタンドへと向かった。階段の途中でポケットのスマホが鳴った。その時、彼は自分が独りでないことを思い出した。

「ねぇ。ゴールした?」と、ウサギが優しく声をかけてきた。彼女は既にゴールを迎えていた。そう、カメはウサギが走る姿を思い浮かべながら、自分のペースでゴールを目指していた。走る速さが異なっても、同じレースを走っていることを噛みしめながら、カメはゴールを目指していたのだった。


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